2024年9月13日金曜日

電設協/札幌市で会員大会開く、魅力ある電設業へアクションプラン推進

 日本電設工業協会(電設協、文挾誠一会長)は12日、札幌市中央区の札幌パークホテルで2024年度会員大会を開いた。全国各地から会員約500人が参加。大会前の臨時総会・理事会で新会長に就任した文挾会長=写真=は「業界の喫緊の課題である担い手不足に対応するためには、業界横断的な取り組みによって多くの課題を解決し、魅力ある電設業界をつくり上げる必要がある」と述べ、5月に策定した第4次アクションプラン推進へ機運を高めた。=1面参照
 文挾会長は「われわれ電設業はいかなる状況下でも社会生活を維持するために必要な職業で、その従事者はエッセンシャルワーカーとしてAIに取って代わることはできない」と電設業界の重要性を強調。その上で「多くの若い世代が社会から必要とされている電設業界に入ることを選択し、モチベーション高く、働くためにも第4次アクションプランは断固たる決意を持って着実に進めなければならない」と会員一丸となった取り組みを呼び掛けた。
 大会では本年度のスローガンを「新たな電設業界の構築に向けて第4次アクションプランを始動させよう」とすることを決議。▽主張すべきことは、主張しよう▽疑問に思っていることは確認し解決しないなら提言しよう▽課題解決のためにはほかの組織とも連携しよう-の三つの心構えの下、アクションプランで掲げる▽働き方改革を深化させる▽多様な人材確保・育成と処遇改善方策を強化する▽生産性向上・省エネ・脱炭素化などGX実現に貢献する新技術の開発・普及に積極的に取り組む▽受発注者間の対等な関係の構築に向けた条件整備と関係者・関係期間とのコミュニケーションを充実させる▽会員サービスを充実させるとともに、広報・広聴活動を強化し社会への発信力を強化する-の五つの重点取り組み事項を推進することを採択した。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167051
via 日刊建設工業新聞

回転窓/デジタルネイティブの変化

 米アップルがiPhoneの新機種を20日に発売する。独自の生成AIを組み込み、多彩な新機能を搭載するそうだ▼電話の通話終了時に重要なポイントを要約する機能を用意。自然言語を使って特定の写真を探すことも可能に。撮影した画像の整理作業が楽になりそう▼2010年以降に生まれた「α世代」の65%は、中学生になるまでにスマートフォンを所有している--。マーケティング・リサーチを手掛ける日本インフォメーション(東京都中央区、斎藤啓太社長)が10日発表の調査結果だ。Z世代より確実に早まっている▼α世代にとっては、プログラミング教育も当たり前。時代とともに変革の主人公は移り変わる。デジタルネーティブ世代の中でも、AIなどへの対応力に差がついていくだろう▼スマートフォンが席巻しているが、こうした状況がいつまで続くかは不透明。脳へのチップ埋め込みはもう少し先だろうが、ウエアラブル端末が中心となる世界は近そうに思える。中高年層から「付いていけない」とぼやきが聞こえそうだが、手書きからパソコンへの進化に応じてきたはず。変化を楽しむ姿勢で臨みたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167046
via 日刊建設工業新聞

国交省・藤巻浩之水管理・国土保全局長/流域治水の旗振り役に

 国土交通省水管理・国土保全局長に7月就任した藤巻浩之氏は12日、日刊建設工業新聞など専門紙の取材に応じた=写真。能登半島地震をはじめ自然災害が頻発する中、「被災地の創造的復興をインフラの分野から支えていきたい」と抱負を語った。気候変動による降雨量の増加などを踏まえ、国が「旗振り役」となり流域治水をけん引していく考えも示した。
 2018年度から継続してきた国土強靱化施策について、これまで発生していた河川の氾濫が減るなど「効果が出ている」と手応えを語る。一方、降雨量の増加で想定を上回る被害も出てきているとして「取り組みの効果が目減りしないよう、流域治水をさらに進化させていきたい」という。
 具体的にはダムや遊水池を新たに整備するだけでなく、既存施設の機能強化も推進し、防災力を高めていく考えを示した。災害リスクの低い場所への集団移転など、地方自治体や住民と連携した防災の重要性も強調。「他の人の力を借りながら、あらゆる手段を駆使して治水安全度を向上させていきたい」と語った。
 治水だけでなく、利水や環境との一体的な取り組みを進める「流域総合水管理」にも力を入れる。兵庫県豊岡市の円山川では洪水対策に並行して湿地を整備。コウノトリの繁殖地となり、地元に経済効果が波及した。「それぞれの流域、河川の特性に応じて強みを生かす」ことを念頭に置き、「治水、利水と環境のウインウインの関係をつくっていきたい」と話した。
 河川国道事務所長を務めるなど、建設業界とも「一体不可分」のキャリアを歩んできた。工事現場の課題を発注者が把握する重要性を指摘。受注者への聞き取りを含め「現場の河川国道事務所に頼りにしてもらえるような組織運営をしていきたい」と述べた。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167049
via 日刊建設工業新聞

静岡県/新県立中央図書館整備、9月補正予算案に債務負担268億円設定

 静岡県は、東静岡駅南口の県有地に全面移転する新県立中央図書館整備事業について、9月補正予算案に267億9800万円の債務負担行為(2025~27年度)を設定した。10月11日に閉会する9月定例議会の議決を経て速やかに入札公告の手続きに入る。建設資材価格の高騰や働き方改革などの要因を反映し工事費を精査したほか、工期も当初より2カ月程度延長した。28年7月ごろの開館を目指す。
 施設はS造9階建て延べ約2万平方メートル。従来の図書館の枠を越え、子どもから大人までが「学び、交流し、創造する」新たな知の発信拠点とする。新たな機能として1~2階を交流機能とし、イベントやセミナールーム、会議室、実験室などを配置。図書館で借りた本を参考に実験や料理などが行えるスペースを設置した。屋外で読書ができるテラスも各階に設ける。ルーバーや床、本棚などには県産材を活用する。3階はペデストリアンデッキで東静岡駅と接続する。
 収蔵能力は約200万冊(現施設は約90万冊)、開架冊数は約80万冊(同約20万冊)。想定来館者数は年間約100万人を見込んでいる。設計や備品、システム費などを含めた総事業費は約298億円。建設地は静岡市駿河区東静岡2。駐車場を含めた敷地面積は約2・4ヘクタール。基本・実施設計はC+A・アイダアトリエ・日建設計(エンジニアリング)JVが担当。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167053
via 日刊建設工業新聞

大成建設/建設事業の環境への影響を可視化、30年度までに事業の3割で適用へ

 大成建設は2026年度までに、建設事業が自然環境に及ぼす影響を定量評価する「ネイチャーポジティブ(NP)手法」を確立、運用する。自然資本と言われる動物や植物、水、土、空気の5要素について、それぞれ工事の前後でどのような影響を及ぼすか、客観的に実証された評価手法によって可視化。投資家などさまざまなステークホルダーに対する情報開示を支援し、投融資の獲得につなげる。30年度までに同社が設計、施工するプロジェクト全体の30%程度でNP手法の適用を目指す。
 最新の企業活動や財務情報などをまとめた24年版報告書「大成建設グループ 統合レポート2024」(https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240905_10077.html)で説明している。
 NP手法の開発には23年度から取り組んでいる。建設事業全体で見た自然資本への配慮や経済的要素から定量評価。顧客に対しNPへの影響や貢献度合いを指数として算出し、工事前後の比較評価を可視化し提示できるようにする。プロジェクト用地内の土地改変を含むオンサイトと、調達に関するオフサイトの2パターンに分けて評価できる仕組みを構築する。多くの工事に適用できるようシンプルな入力で科学的評価を可能にしていく。
 NPは22年にカナダで開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で提示された概念。今後、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に沿った対応が義務化されるとの見方もあり、企業活動や経営姿勢に対する新たな評価指標として位置付けられる可能性もある。
 同社は26年度と30年度にそれぞれ50件以上、NPに貢献するプロジェクトの推進目標も掲げている。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167035
via 日刊建設工業新聞

2024年9月12日木曜日

スコープ/東日本高速会社がCN推進戦略策定、建設工事の調達時に加点

 ◇円滑な交通でCO2削減
 東日本高速道路会社が二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指し、「カーボンニュートラル推進戦略」を策定した。道路サービスによって生じる年間800トン超のCO2排出量のうち、9割以上が道路通行時や構造物の建設工事に起因。4車線化を推進したり、建設工事の調達段階でカーボンニュートラル(CN)に取り組む企業を加点評価したりして2050年までにCN達成を目指す。
 東日本高速会社によると、環境省のガイドラインに基づいて算定した「サプライチェーン(供給網)排出量」は13年度が約892万トン。その後、電気や燃料の使用法を見直すなど排出量の削減に取り組んできた結果、22年度は約845万トンと13年度比で約5%の削減となった。
 CN推進戦略は東日本高速道路グループの各社が取り組む。自社の事業活動によって排出された燃料由来のCO2量をスコープ1、事務所などの電気使用に起因する量をスコープ2に分類。排出量の大部分を占めるスコープ3は構造物の建設時などの上流部と高速道路を走行する自動車といった下流部で排出削減に取り組む。施策内容はCNの推進に向けた「緩和策」、気候変動が避けられない状況を想定した「適応策」の二つに分けた。
 緩和策ではスコープ1~3をターゲットにした施策として七つの項目(エネルギー使用量の最小化、再生可能エネルギーの活用など)を設定する。
 再エネ活用では約550カ所のSA、PAに太陽光発電設備を新設するとともに、バイオマスガス化発電の運用も始める考え。電気通信大学ら4者が開発した円筒形太陽電池を道路空間に設置するための実証実験を行う。東日本高速会社は同大学との包括連携を通じ、多種多様な箇所に設置可能な同電池の普及拡大につなげる。
 トンネル内の照明をLEDに切り替えたり、建物をZEB化したりして電気使用量の削減に努める。高効率設備を採用した「eco事務所」に加え、遮熱塗装や複層ガラスサッシを使用した「ecoインター」を積極的に整備する。壁面緑化や温度上昇を抑えるため、歩道に保水性ブロックを施した休憩施設「ecoエリア」も設置する。
 スコープ3の上流段階では、高速道路の建設や管理に必要な調達段階で脱炭素に向けた施策を展開する。CO2排出量を低減するコンクリート材料や中温化舗装といった新技術・新工法を採用しやすくするため、25年度中に技術基準の見直しに乗り出す。
 現在、CNに取り組んだ施工会社を工事完了後に成績評定で加点する取り組みを試行的に行っている。東日本高速会社は試行結果を踏まえ、「総合評価方式のように入札段階でインセンティブを付与する」(技術本部)など現状よりも効果的な制度を検討する考え。CNに貢献できる提案内容として同社は、環境配慮型の建設機械や重機へのバイオ燃料活用などを挙げている。
 下流段階では走行時でのCO2排出量削減を目指し、ミッシングリンクの解消や暫定2車線区間の4車線化を加速。スムーズな交通環境を実現する。環境に配慮した次世代自動車の普及を後押しするため、電気自動車(EV)急速充電器の高出力化や充電口数の大幅増設を計画する。
 持続可能な高速道路の実現を目指し、防災・減災対策などの適応策も講じていく。特に気候変動に伴う豪雨災害により、甚大な被害を受ける道路インフラは少なくない。こうした状況を踏まえ、同社はICなどをかさ上げして浸水被害の軽減を図る。大規模な自然災害を想定し、自衛隊や消防、警察などの前線基地としてSAなどの休憩施設を活用する。
 スコープ1、2の目標は中間に当たる30年度までにCO2排出量を13年度比で50%以上削減。50年度には実質ゼロを目指す=グラフ参照(報道発表資料から)。スコープ3は、国の地球温暖化対策計画で設定している目標(30年度までに13年度比で46%削減)の達成に向けて施策を推し進める。
 CN推進戦略は社内組織の環境委員会が、サプライチェーンを通じた排出状況や施策の実施状況をモニタリングして取締役会に報告する。同社やグループ会社を取り巻く事業環境を把握し、状況に応じて戦略内容を見直す。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167006
via 日刊建設工業新聞

JACのインドネシアでの取り組み・上/世界水準の現場安全アピール

 ◇体験イベントで響く「ヨシ!」
 世界4位の2・8億人が暮らし、うち半数が30歳未満という若い労働力を抱えるインドネシア。特定技能外国人の送り出し国としてベトナムに次ぐシェアのインドネシアで、建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)が日本の建設業の魅力を積極的に発信している。工業高校の巡回訪問や各地で開く職種説明会など“草の根”で進めるPR活動の集大成として、日本の建設技術や安全衛生環境の体験イベントを盛大に開催。専門工事業団体や現地の送り出し機関も巻き込み、こちら側から現地の若者らにアウトリーチ(手を伸ばす)していく活動を加速する。=2面に関連記事
 首都ジャカルタ近郊の巨大なコンベンションセンターでJAC主催の「日本の建設業務体験会」が8月24日に開かれた。東西に細長いジャワ島と、海を隔てたスマトラ島から高校・大学関係者ら約100人が来場。足場や鉄筋、型枠の体験コーナーを設け、日本の安全対策や施工技術に触れてもらった。
 全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)や日本型枠工事業協会(日本型枠、三野輪賢二会長)の会員などが自ら実演し生徒らに手ほどきするなど、目で見て実感できる内容とした。
 国際的な労働市場に詳しく、当日は日本の労働安全衛生環境の説明役として参加した弁護士の杉田昌平氏は「こうしたイベントは世界的に見ても画期的」と評価する。雇用側の業界団体が真正性の高い情報を直接発信することで「日本に働きにくるルートの透明性が高まる」。さらには世界トップレベルの安全ルールという「日本にある本来的な価値を世界の労働市場に示すことになる」と話す。
 会場内ではフルハーネス型安全帯を装着した生徒らの「ヨシ!」という声が響いた。最初は見よう見まねの「指さし呼称」も、はっきりと声に出してやると危険箇所に意識を向ける意味がよく分かる。
 こうした体験は、事故が多く安全性に乏しい現地で染みついた建設現場のイメージを覆すものだ。異国の建設業界への就労を心配する家族への説得材料にもなる。JACの山本博之専務理事はコンテンツ制作で足場体験に力を入れた理由として「まずは日本の安全を認知してもらう。そのための発信が大事だ」と強調する。
 インドネシア労働省から事務方トップのアンワル・サヌシ事務次官も会場に駆け付け、指さし呼称や鉄筋結束を自ら体験した。開幕式典であいさつしたサヌシ氏は、国内で労働力が豊富な状況が続く中、海外市場の需要に適応したスキルや知識を持つ人材を育成する必要性に言及。「まじめ」「一生懸命」という日本語でインドネシア人の国民性を紹介しながら、日本政府との間で「人材に関する相互利益、相互理解の架け橋を築く」と展望を語った。
 国土交通省からは蒔苗浩司官房審議官(不動産・建設経済局担当)が参加し、体験イベントを通じ日本の建設業の魅力が伝わり「今後もインドネシアから特定技能労働者が増えると期待する」と述べた。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)日本政府代表部の紀谷昌彦大使は、今回を皮切りに近隣諸国でも同様の取り組みを展開することに期待感を示し「日本との経済連携や人材交流が広くASEAN全域に広がり一層深まっていく」と意義を語った。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167011
via 日刊建設工業新聞

相鉄HDら/横浜駅西口大改造構想を発表、20年代後半から相鉄ムービル建替へ

 相鉄ホールディングス(HD)と相鉄アーバンクリエイツは11日、「横浜駅西口大改造構想」を発表した。2040年代の実現を目指して官民連携の新たな都市像を描いた。20年代後半から相鉄ムービル(横浜市西区南幸2の1の22)の建て替え工事に着手する計画。構想の本格始動に向け、横浜市や地域関係者らと連携しながら検討を深める方針だ。
 上位計画の「エキサイトよこはま22」を踏まえ、国際競争力のある国際都市・横浜の玄関口として魅力あるまちづくりを目指す。現在の横浜駅西口の魅力に「Well-being(豊かさ)」を加えた「Well-Crossing」をコンセプトに掲げる。
 公共空間の整備では現在、車で占められている駅前空間を、イベントなども開催可能な人が集える空間に変える。河川空間は安全を確保した上で親水空間を設ける。車と歩行者が交錯する空間を、ウオーカブルな歩行者優先の空間とする。
 エキサイトよこはま22は横浜駅周辺地区の国際化対応、環境配慮、駅の魅力向上、災害時の安全性確保などの課題を解決し、「国際都市の玄関口としてふさわしいまちづくり」を目指すための指針。市と地元組織、鉄道事業者らで組織するエキサイトよこはま懇談会が09年に策定した。
 策定から15年が経過し、区域内の再開発事業の進展や脱炭素など社会情勢の変化を受けて、戦略に新たな視点を加える検討を進めている。
 同地区は1952年に相鉄グループが土地を取得して開発がスタート。73年に大規模商業施設「相鉄ジョイナス」、88年に「相鉄ムービル」、98年に「横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ」などが開業した。開発着手から70年が経過し、安全性や機能面から新たな都市開発の必要性を指摘する声が高まっていた。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167003
via 日刊建設工業新聞

佐藤工業/トンネル切羽監視システム開発、ステレオカメラの撮影画像から変位判定

 佐藤工業は山岳トンネル工事の生産性と安全性を高めるため、ステレオカメラによる切羽の監視システムを開発した。発破装薬時に切羽前面から7~8メートル離れた位置に設置。切羽の撮影画像から得られるエリアごとの距離変化データをパソコン画面に表示し、時間間隔で比較することにより切羽全面の変位をシステムが判定する。切羽の監視責任者向け補助ツールとして活用する。
 システムはステレオカメラに加え、ノートパソコンや警報装置(積層式表示灯)で構成する。距離が遠い撮影対象ほど測定誤差が生じやすいステレオカメラの特性に考慮し、分割して撮影する切羽面のエリアごとに測定距離を平均化。誤差を低減し平均的な変位を捉える。
 撮影エリア内に写り込んだ作業員や機械を除外する機能も組み込んでいる。あらかじめ設定した切羽変位の限界値を超え肌落ちなどの予兆が観測される場合、警報装置で瞬時に音と光で作業員に知らせる。
 同社によると、山岳トンネル工事の切羽監視は一般的にトンネル坑内の照度や照明角度、切羽面の湧水状況や凹凸度合いなどが異なる状態で行うことになる。今後は実現場での測定を通じて、データの蓄積や測定精度の向上につなげる。より安全性が高い切羽面変位の限界値設定にも役立てる。
 切羽の安全対策を巡っては、2016年12月に厚生労働省が肌落ち災害防止対策ガイドラインを策定し18年1月、24年3月に改正した。施工者が講じることが望ましい事項の一つとして切羽変位計測が位置付けられており、同社はステレオカメラに着目した。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167014
via 日刊建設工業新聞

2024年9月11日水曜日

大阪・関西万博/「いのちを響き合わせる」パビリオン発表、大林組のアプリで共鳴体験

 2025年日本国際博覧会協会(十倉雅和会長)は10日、東京都内で会見を開き、大阪・関西万博で宮田裕章慶応大学医学部教授がテーマ事業プロデューサーを手掛けるシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」の概要を明かした=写真。テーマは「いのちを響き合わせる」。宮田氏は「技術の本質を『共鳴』であると捉え、人と人、人と世界、人と未来の三つに対する問いを共有させる」と説いた。
 パビリオンは境界や屋根、壁がなく、万博会場中央にある静けさの森と一体となるのが特徴。アートを軸にした体験を通じて、持続可能な未来の調和について考えてもらう。設計は建築ユニット「SANAA」(妹島和世氏、西沢立衛氏)、施工は大林組が手掛ける。
 来場者は、パビリオン内で新たな気付きを提供するアプリケーション「Better Co-Beingアプリ」(開発・大林組)、振動で会場内を誘導する「ふしぎな石ころ『echorb(エコーブ)』」(同・村田製作所)を使い▽人と人との共鳴▽人と世界の共鳴▽人と未来の共鳴-の三つの共鳴体験ができる。
 echorbは触覚や力の感覚を通じて情報を伝える「3Dハプティクス(3D触力覚技術)」を搭載し、振動などで来場者を案内する。同アプリは万博期間を通じて来場者の体験をアーカイブ化。カメラをかざすと言語が浮かび上がり、他者との感じ方の違いや多様な価値観に気付ける仕組みとなっている。
 宮田氏は「ここで体験したことが一期一会になる。未来のつながりの中でどう新しい価値を作るのかということが非常に大事になってくる。時代の転換点の中で共に未来を考えられる内容になっている」と語った。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166975
via 日刊建設工業新聞

中建審に標準労務費WG設置/基本方針で合意、実際に活用される基準に

 改正建設業法で規定された「労務費に関する基準(標準労務費)」の作成や運用に向けた検討が本格的に始まった。中央建設業審議会(中建審)の下にワーキンググループ(WG)を設置し、10日に東京都内で開かれた初会合=写真=で議論の前提となる基本方針について委員間で合意した。具体的な金額設定など基準作成の議論に終始せず、実際に契約当事者間で活用されるよう運用面に重点を置く。=2面に関連記事
 WGの設置は、改正業法の一部規定が1日施行し中建審に標準労務費の作成・勧告権限が付与されたことを受けた措置。建設工事の発注者・受注者、元請・下請といった立場が異なる委員で構成する。利害関係から生じる目線の違いを踏まえ、国土交通省は会合で、標準労務費の▽目的▽活用・運用▽作成-の三つの観点から基本方針案を提示。まずは検討の方向性で認識を共有し、次回から個々の論点を詰めていく。
 標準労務費の活用方法を分かりやすく示し、中小事業者や一人親方も含む契約当事者にあまねく理解・活用してもらうことで運用面の実効性を高める。具体的な基準の作り込みでも「正確さ」よりも「使いやすさ」を重視。現行の契約実務に沿って1トンや1平方メートルといった単位施工量当たりの金額で設定することを基本とし、工種や規格の違いによる細分化は最小限にとどめる。これにより標準労務費に基づく見積もりと書面での契約を業界慣行とする。
 制度の理解・活用を一方的に周知するのではなく、業界団体と連携した活用促進に取り組む。下請による技能者への賃金の支払いを担保する方策も同時に措置。建設Gメンなどによるルール順守の検証を通じ、まじめな事業者や発注者が不利益を被らないようにする。
 適切な労務費・賃金の目安は、公共工事設計労務単価に相当する賃金を支払うための原資が行き渡る水準とする。生産性向上のインセンティブが失われない仕組みとし、労務費の低減によるコスト競争の余地を残す必要性も確認。設計労務単価を基礎とした労務費の行き渡りと賃金の支払いを前提としつつ、受注者が物的労働生産性(単位時間当たりの施工量)を向上させ労務費を下げた場合、その分を競争力として発揮できるような工夫を講じる。
 最初から完全な基準を目指さず、いったん公表した後でも必要に応じ修正を加える「アジャイル(俊敏な)型」の考え方を取り入れる。すべての職種・工種で一斉に作成するのではなく、準備が整った職種から順次、検討する考え。各専門工事業団体などと意見交換を別途実施し、WGに成果を反映させていく。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166977
via 日刊建設工業新聞

堺市/石津水再生センターに雨水ポンプ場建設、11月から整備方針検討

 堺市は石津水再生センター内(西区石津西町)に雨水ポンプ場を建設する計画で、11月に整備方針の検討に入る。2026年度末までに検討を終え、水再生センター内施設の一部改築も含めた具体化へ準備を進める。詳細なスケジュールは未定。地球温暖化に伴う気候変動で激甚化、頻発化している豪雨災害への対応力を強化する。
 雨水ポンプ場は水再生センター構内の第1・2系水処理施設北側に計画。消火器庫や脱臭ファン、土砂置き場など既存10施設を撤去し新設する。合流式雨水排除ポンプ場として毎秒36立方メートル(雨天時計画雨水量)の排水能力を想定し、流入渠として施工済みの石津バイパス(BP、口径5000ミリ)とつなぐ。BPから雨水ポンプ場に雨水を引き込む接続部分の整備も検討する方針だ。
 1972年2月に稼働した石津水再生センターは石津川河口の臨海埋め立て地に位置し、左岸地域の鳳や浜寺地区、中央部市街地の下水処理を担う。施設の老朽化が進んでおり、雨水ポンプ場の新設に合わせ最終沈殿池や管理棟など構内施設の改築も計画している。市上下水道局は本年度当初に下水道施設での老朽化・災害対策として、気候変動による将来的な降雨量増加を考慮し計画を見直す方針を打ち出していた。
 現在、雨水ポンプ場の整備方針検討業務の委託先を決める入札手続き中で、10月24日に開札する。民間事業者の意向調査を一括し、民間の技術力や創意工夫を生かせる公民連携手法導入の可能性も探る。履行期限は27年3月18日。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166971
via 日刊建設工業新聞

清水建設/高面積フロア建築物の天井工事を効率化、電動台車で自由にステージ足場移設

 清水建設は、建築物の天井設備や内装工事に用いるステージ足場を任意方向にけん引する電動台車「ステージ足場移動台車」を開発した。最大で積載資材を含め重量3トン、床面積100平方メートル規模の大きなステージ足場をそのまま移設する。施工フロア内に足場を敷き詰める必要がなくなり、段階的に足場を移し替えていく従来作業の手間が軽減。足場資材の使用量も抑制できる。施工フロアが重層する同社施工の超高層ビル現場を念頭に、フロア面積が広い建築物の天井工事を効率化する。
 ステージ足場移動台車は、ナブテスコの協力を得て製作した。4輪のメカナムホイールを装備したバッテリー式の電動台車になる。車輪にはナブテスコ製のメカナムホイール(全方向車輪)を採用。車体の向きを固定したまま前後、左右、斜め方向と自在に走行する。
 ステージ足場との連結には車体上面に設けた単管ベースを利用し、ステージ中央の脚部に固定した単管を単管ベースに差し込みねじ留めする。足場の重量に応じたカウンターウエートを車体に積載し走行準備が整う。移動操作には無線式コントローラーを採用するため、操作者がステージ上からも操縦できる。
 清水建設によると、一般的に建築物の天井工事では複数の移動式室内足場をユニット化したステージ足場上で作業を進める。ステージ面積を拡張すれば作業効率が高まる一方、使用する足場資材の数量が増え搬出入や組み立て・解体など実作業以外のハンドリングも煩雑になる。特に施工フロアが重層する超高層建築物では足場資材のフロア間移送にも膨大な手間がかかるため、現場運営の課題となっていた。そこでステージ足場の効率的な運用を実現するためのツールとしてステージ足場移動台車を開発した。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166972
via 日刊建設工業新聞

大和ハウス工業/商業部門などの開発目標示す、26年度に売上高1・25兆円

 大和ハウス工業の流通店舗事業本部は10日、今後の事業展開の方針を明らかにした。資材価格や労務費の上昇に伴って建築コストが上がっているが、テナント店舗の売価などには十分に転嫁できていない状況。商業分野では今後、過去に開発した施設を買い取り再販したり、建て替えたりする「BIZ Livness」事業に注力する。商業施設のほかホテル、オフィスなどを扱う同本部では、2026年度に売上高1兆2500億円を目標に掲げる。
 同日東京都内で記者発表会を開いた。同本部の施策は同社のほか▽大和リース▽大和ハウスリアルティマネジメント▽ロイヤルホームセンター▽スポーツクラブNAS▽大和ハウスパーキング-の関連会社5社とともに推進。目標値も各社の事業を合算している。
 23年度の売上高は1兆1815億円で、営業利益は1436億円、営業利益率は12・2%だった。24年度は売上高1兆2200億円、営業利益1440億円、営業利益率11・8%を目標に据える。26年度には売上高1兆2500億円、営業利益1600億円、営業利益率12・8%へ拡大を目指す。
 大和ハウス工業の下西佳典取締役兼専務執行役員流通店舗事業本部長は、23年度の非住宅建築の建築工事費が15年度比で124%に上がったとする調査結果を紹介。「肌感覚ではもっと急激に上がっている」と話した。売価への価格転嫁が難しいことも影響し、流通大手も新規出店を控えている状況があるという。
 同社は過去に開発して開業後20年以上たつ商業施設をターゲットに、リニューアルや建て替え需要の掘り起こしを急ぐ。リニューアルで誘客力が戻れば、新築の減少に伴う売り上げの減を補える可能性がある。対象となる施設は国内に約2000件。約150件で条件協議に入っている。
 オフィスは近年新規供給が少ない地方都市に焦点を当て、高付加価値な物件を供給する。下西氏はアドグレイス大宮(さいたま市大宮区)やグラノード船橋(千葉県船橋市)を例示した。ホテルはコロナ禍の収束に伴って引き合いが戻っているといい、大都市圏や観光資源が多いエリアを中心に、適所を着実に確保していく。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166968
via 日刊建設工業新聞

2024年9月10日火曜日

回転窓/注目のトンボ研究

 〈町中や列を正して赤蜻蛉(とんぼ)〉(小林一茶)。台風シーズンの8~9月にかけ、町中を飛び回るトンボをよく見かける。台風一過で群れなす光景に出会うと、台風と一緒に移動してきたのかと思うことも▼専門家の話によると、もともと幼虫(ヤゴ)から羽化して成虫になる時期と台風の襲来が重なり、天候が回復して一斉に飛び交うそう。熱帯や亜熱帯地方から南風に乗って海を渡り、長距離移動するウスバキトンボは、沖縄の方言名で「カジフチダーマー」(風吹きトンボ)。昔から台風に乗ってやってくるとの言い伝えもある▼トンボの語源は「飛ぶ棒」「飛ぶ穂」などと言われる。漢字では中国由来のトンボ(蜻)とカゲロウ(蛉)が合わさり、その意味は「薄い羽のある虫」だとか▼6日に成年皇族となられた秋篠宮家の長男悠仁さまは、幼い頃からトンボの調査を続けられてきた。進学先でも昆虫の生態などの研究を希望されているという▼国内には約200種のトンボが生息し、大型のものは「ヤンマ」、赤とんぼなどの小型を「アカネ」とも呼ぶ。古くから人々に親しまれてきたトンボ。今後の研究成果が注目される。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166944
via 日刊建設工業新聞

新会長/日本建設機械工業会・山本明氏、一致団結し環境変化に対応

 1990年に発足した日本建設機械工業会(建機工)。これまでの歴史を継承しながら、経済発展や国民生活の向上、災害対応などに貢献していく。労働力不足を踏まえた建設業界での生産性向上や、気候変動の懸念が高まる中でカーボンニュートラル(CN)への対応も求められている。取り巻く環境の変化を見据えつつ、業界一丸となって課題解決に取り組んでいく。
 --就任の抱負を。
 「建設施工におけるCNやDX、国際競争のさらなる激化、少子高齢化による労働力不足など取り巻く環境が著しく変化している。個社ではできないことに対して、一致団結してやっていく必要がある。行政にもしっかり要望していく。建設業界も盛り上げていきたい」
 --市場環境は。
 「2024年度の出荷金額は4年ぶりの減少となる見込みだ。欧米の金利上昇による影響が大きい。国内は金利上昇への懸念でマインドが落ち始めている。25年度は前年度比1%増を予測しており、過去2番目となる見通しだ。大きな目で見ると、まだまだ世界的にはインフラ投資は続く。日本も人口減少はあるが、設備の老朽化が進んでいる。公共投資を進めざるを得ない状況が続くだろう」
 --重視する点は。
 「震災からの復興への貢献、環境・省エネルギーに対する対応、グローバル展開の支援、新しい技術への対応という四つの重点施策に取り組む。建機の稼働現場では労働力不足や働き方改革が進んでいる。建機の遠隔操作や自動運転など新たな技術の実用化に向けた取り組みが加速している」
 「大きな流れの中でGXが進んでいくだろう。新技術や製品を社会実装していく上で、関連法令や助成金活用といった多くの課題がある。水素を活用していくにもインフラ整備が必要だ。行政や他の関連業界との連携も強化して取り組んでいく」
 --人材確保に対しては。
 「採用という観点で見た時に、もっともっと魅力ある職場作りをしていかなければいけない。建機の仕事が楽しいということをアピールすることが必要だ。広報活動も最重要視していく」
 --今後に向けては。
 「ガラパゴス化している規制がある。各社の要望をまとめて、グローバルルールに基づいた規制緩和をお願いしていく。そうした流れを通じてベースとしての競争力を上げると同時に、各メーカーがCNや電動化、自動化で先進性を持った物を作っていくことが重要だ。日本は最もオペレーターに寄り添った開発が進んでいると思う。働きやすく安全で安心して乗れる建機を、世界にもっとアピールしていきたい」。
 (5月23日就任)
 (やまもと・あきら)1987年大阪大学大学院工学研究科金属材料工学専攻修了、神戸製鋼所入社。2015年執行役員、17年常務執行役員、20年専務執行役員、22年4月コベルコ建機副社長執行役員、同6月社長。22年から建機工副会長。「進んでいる業界のアイデアも見ながら魅力を発信していきたい」と意気込む。兵庫県出身、62歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166942
via 日刊建設工業新聞

大阪府/バリアフリー化の条例基準強化へ、小規模店舗出入り口段差解消

 大阪府は小規模店舗の出入り口の段差解消やマンション駐車場の区画幅拡大などバリアフリー化の義務付けへの条例基準を強化する。4日に開いた福祉のまちづくり審議会で各項目の対応方針案を提示した。今後、具体的な基準などを検討し年内に必要な条例改正素案をまとめる。2025年度の公布を目指す。
 条例基準の見直しなどを検討している項目は▽小規模店舗の出入り口▽共同住宅の駐車場▽トイレの大人用介護ベッドなど▽劇場などの客席-の四つ。条例改正にそぐわない項目はガイドラインの見直しや充実で対応する。
 小規模店舗の出入り口と道路との段差解消は、現行200平方メートル以上(延べ床面積)とするバリアフリー化の義務付け対象基準を引き下げる。改修が困難な既存施設では店舗入れ替えのタイミングでのバリアフリー化改修や可搬式スロープによる対応などをガイドラインで促す。
 共同住宅の駐車場は大規模物件で幅の広い駐車区画整備の義務化を目指す。府内のマンションでは総駐車台数が100台以下の物件で車いす使用者駐車区画の設置割合が1割未満にとどまっており、101台以上の大規模物件の設置割合(5割)と比べて極めて低い現状がある。
 トイレの大人用介護ベッドは現行1万平方メートル以上(延べ床面積)の建築物に1カ所以上の設置を義務付けている。今後は対象規模の引き下げと大規模な建築物での複数設置の基準化、ベッドサイズの大型化を検討。トイレでは火災時の光警報装置(フラッシュライト)の設置義務化も検討する。
 劇場や映画館などの客席は車いす使用者用客席数への府の建築基準法施行条例の基準を削除し、バリアフリー法と福祉のまちづくり条例に基づく基準に一本化。
 総客席数のおおむね0・5%以上を基本に、小規模な施設も対象としつつ車いす使用者用客席の設置を促進する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166953
via 日刊建設工業新聞

仙台市/国際センター駅北複合施設基本設計業務、受託候補者は藤本壮介建築設計事務所

 仙台市は「(仮称)国際センター駅北地区複合施設基本設計業務」の委託先を決める公募型プロポーザル(WTO対象)で受託候補者に藤本壮介建築設計事務所(東京都江東区)を選定した。次点は、山田紗子建築設計事務所(東京都新宿区)+BPDL+佐藤慎也研究室JV(構成=山田紗子建築設計事務所、バウ・フィジック デザインラボ〈東京都千代田区〉)。12月上旬に契約し、履行期間は2025年11月28日まで。業務委託提案上限額は3億5351万8000円(税抜き)。26年度に実施設計、27年度に工事着手。31年度の開館を目指す。概算工事費は約336億円(税込み)と試算している。
 プロポーザルには77者が応募。75者が1次審査を通過し、69者が技術提案書を提出した。第1段階で30案、第2段階で11案を選び、公開プレゼンテーションに進む5案に絞り込んだ。受託候補者、次点以外の最終審査には北澤伸浩建築設計事務所(横浜市都筑区)、昭和tデYetBJV(昭和設計、tデ一級建築士事務所〈名古屋市中区〉)、日建設計が参加した。審査委員長は青木淳氏(AS主宰、京セラ美術館長)が務めた。
 建設地は地下鉄東西線の国際センター駅に近接するせんだい青葉山交流広場(青葉区青葉山2の1ほか)の敷地面積1万8748平方メートル。延べ床面積は最大3万2000平方メートル程度とし、音楽ホールは2000席規模の大ホールと音響を重視した350席程度の小ホール、災害文化の創造拠点となる震災メモリアル機能や広場エリアを設けた複合施設を整備する。
 受託候補者に選定された藤本壮介建築設計事務所は複合施設のコンセプトに「たくさんの/ひとつの響き」を掲げ、多様な記録と活動がつながる場所を提案した。技術提案書によると、地下1階地上4階建て延べ3万1388平方メートルの規模で、大ホール空間をコンサート時のサラウンド型、合唱コンクール時のプロセニアム型、オペラ、舞台演劇時の4パータンに加え、壁を開放することで建物全体がサラウンド型の劇場に拡張。メモリアルコンサートなど年数回を想定し、音楽を介して建物全体で5000人規模の人がつながる場所を打ち出した。メモリアル施設は、東日本大震災の記憶や経験は「ひとくくりにでできないもの」として、常時展示やアーカイブ、市民活動と多目的交流、企画展示などの機能が有機的な連動を図るようグラデーショナルな配置とした。
 仙台市青葉区の日立システムズホール仙台で8日に開いた最終審査を終え、青木委員長は「音楽ホールと震災メモリアルが融合する先例がないタイプの建築であり、ここにしかない、日常的に行ってみたい場所になることが求められた。5案全てが高いレベルだった」と総評。受託候補者は「震災に対するそれぞれの経験や観点を空間につくり込み、音楽を通じフレキシブルに対応する計画で、新しい公共的な場所という意味でもふさわしい。仙台に事務所を置きプロジェクトに関わる姿勢」を高く評価した。審査結果を受け、郡和子市長は「今日、重要な一歩を踏み出した。対話を重ね、杜(もり)の都のシンボルとして、仙台にしかない施設整備を着実に進めていきたい」と締めくくった。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166954
via 日刊建設工業新聞

清水建設/超高層現場に高効率昇降機、大容量・高速化を実現

 清水建設は国内最高の垂直搬送性能を備えた工事用エレベーター「SEC5000-RS」を、三成研機(埼玉県日高市、野田裕二社長)やエスシー・マシーナリ(横浜市瀬谷区、樋口義弘社長)と共同開発した。超高層ビルの建設現場で資機材の搬送や作業員の移動を効率化する。1号機は清水建設を代表企業とするJVが高さ284メートルのビルなどを施工している日本橋1丁目中地区第1種市街地再開発事業(東京都中央区)の現場で実装済み。2、3号機は同社が東京駅前で施工する国内最高層385メートルのトーチタワー新築工事の現場(同)に適用することが決まっている。
 新たな工事用エレベーターは清水建設が基本機能の企画と設定、実機の性能調査を担当。三成研機が実験装置の基本設計と製作、エスシー・マシーナリが仕様の検討や実験をそれぞれ担当した。
 仕様は内寸が幅5・8メートル、奥行き2・16メートル、高さ3メートル。最大積載荷重を5・0トンとし、高さ300メートルまでの垂直搬送性能を実現した。汎用(はんよう)されている最大積載荷重3・0トンタイプに比べ搬器床面積は1・6倍の12・53平方メートルになる。ボード積載量に換算すると3倍の6山(1山当たり800~900キロ)、作業員換算で約1・7倍の76人が積載できる。
 昇降速度は駆動装置の高機能化で分速110メートル、10%の高速化を実現。積載荷重に応じた可変速制御にも対応し、3トン時まで分速110メートル、3~4・5トン時に同100メートル、4・5~5トン時に同90メートルと変速。軽積載時に駆動装置に生じる余力を昇降速度のアップに割り当てる仕組みとなる。
 搬器の大容量化や可変速制御に合わせて高機能化させた駆動装置の騒音軽減にも工夫を凝らし、従来の3・0トンタイプより低騒音とした。
 清水建設は大都市圏の賞高層ビル現場を中心に、今回開発した工事用エレベーターの拡大を目指す。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166946
via 日刊建設工業新聞

ID&EHD/より良い都市へ総合的に支援、民間への提案型営業強化

 ID&Eホールディングス(HD)は、都市をより良くしていくための対応策を提案する「グッドシティ・イニシアチブ」と呼ぶ取り組みを始めた。特設ウェブサイトを開設済みで、ロンドンや東京など世界10都市から将来的な都市構想のワークショップを実施していく。スマートシティーなどを念頭に、民間らへの提案型営業につなげていく。都市の課題解決につながるソリューションをワンストップで提供してきた総合力を、より上流から発揮する方向性だ。
 主要事業会社である日本工営や海外子会社で建築設計を手掛けるBDPらグループ各社が連携する。実施に当たっては、人と人との結び付きや効率的な移動の確保、戦略的で地域に根付いたデザインなど都市が抱える10の課題と、それらへの見解を提示。ウェブサイトでは課題に対する取り組み事例や、グループが持つ都市向けソリューションも紹介している。
 ベストプラクティスを研究するために都市の定点観測も進める。▽ロンドン(英国)▽マンチェスター(同)▽東京(日本)▽上海(中国)▽デリー(インド)▽ロッテルダム(オランダ)▽トロント(カナダ)▽ニューヨーク(米国)▽リマ(ペルー)▽ダブリン(アイルランド)-の10都市からプログラムを始める。
 同社は2024年7月から3カ年を対象とする中期経営計画で、事業間の共創による事業領域拡大や、民間市場への本格参入を掲げている。ID&EHDの新屋浩明社長は6日に東京都内で開いた決算説明会で、「技術力を結集し提案型の営業をやっていく。地域開発や再開発は官へのアプローチが大きかった。民間投資の意欲も旺盛で、大企業にもアピールしていく方向性だ」と述べた。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166945
via 日刊建設工業新聞

2024年9月9日月曜日

凜/ガイアート東北支店・宍戸小夏さん、出会った縁を大切に

 宮城県利府町で進む宅地造成工事の現場で施工管理業務を担当している。大学で専攻したのは教育学。建設業とは畑違いの分野だが、好奇心旺盛な性格もあり卒業後に「ものづくりに携わりたい」と思い、建設系派遣会社に登録した。
 初めての建設現場はガイアートが手掛けていた新設コンクリート舗装工事。「作業員の方とのコミュニケーションが楽しく、頑張ってみようという気持ちになった」。時間が経過しても思いは変わらず会社からの勧めもあり、出会った「縁を大切にしよう」と4月から正社員として新たな一歩を踏み出した。
 技術者としての仕事は学びと出会いの連続で「すべてが新鮮で楽しい」とはにかむ。娘の意外な選択に最初は「務まるのか」と心配顔だったお母さんも、今では「かっこいいよ」と背中を押してくれるようになった。自分に期待し、助けてくれる周囲の人たちへの感謝を忘れず、点滴穿石の気持ちで努力したいと思っている。
 当面の目標は、できるだけ早く資格を取得し「仕事を任され、信頼される技術者になる」こと。女性の活躍をできるだけ多くの人に知ってもらうため、けんせつ小町のリーダー役も全うしたいと願っている。前向きな気持ちがあれば毎日が充実する。
 文系出身でも活躍できる仕事として、女性も「安心して挑戦してほしい」と明るく話す。
 (ししど・こなつ)




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166913
via 日刊建設工業新聞

19年台風15号から5年/千葉県が建協・自治体と連携強化、初動対応など教訓生かす

 千葉県の広い範囲で大規模な建物被害や停電をもたらした2019年9月の台風15号から5年を迎えた。情報収集や初動体制などの問題が浮き彫りとなったことから、県は建設業協会や各自治体との連携を強化。今年8月の非常に強い台風7号発生時には早くから災害対策本部を立ち上げた。5年前の教訓を生かし、「アクションをしっかりと取ることができた」と四童子隆県土整備部長は語る。
 「令和元年房総半島台風」と命名された台風15号は、千葉市で観測史上1位となる最大瞬間風速57・5メートルの記録的な暴風をもたらした。全壊した家屋は391棟、半壊・一部破損は7万6483棟に上る。浸水の被害も大きく、230棟に及んだ。強風によって送電線の鉄塔や電柱の損傷・倒壊、倒木などで配電設備が故障。首都圏をはじめとする地域で大規模な停電が発生し、最大約93万4900戸が被害を受けた。
 復旧に向け、国の要請を受けた千葉県建設業協会や関東甲信越地方の建設業協会は、ブルーシートの調達や被災家屋への設置作業を実施した。倒木の撤去や自衛隊と連携した活動を行うなど、地域の守り手としての活動に取り組んだ。
 電力網の復旧には難航した。現場の被害状況の確認作業などに時間がかかったことで停電が長期化。これに伴い断水や通信障害の規模が拡大したため、地域住民の生活に大きな影響を与えた。
 災害復旧に遅れが出た背景には、自治体の被災情報の収集体制がうまく整っていなかったことや、初動体制に遅れがあったことがある。県は非常時にリエゾン(現地情報連絡員)として県職員を市町村に派遣する制度を導入。自治体への応援態勢を構築することで、被災情報の共有・連絡体制を強化した。
 房総半島台風の経験から得られた教訓は、8月中旬に発生した非常に強い台風7号の対応に生かされている。事前に国土交通省関東地方整備局が音頭をとって関係者会議を立ち上げ、大規模停電発生時の迅速な復旧に向けて準備。初動対応に遅れがないよう、台風が千葉県に上陸する前から災害対策本部を設置した。市町村との連携では、地域リエゾンの派遣を実施し、各自治体の災害対策本部に参加。県との連絡体制を強固にした。幸いにも台風はそれる結果となった。
 四童子県土整備部長は「(各機関と)情報共有して臨めたのは大事なポイントだ」と振り返る。続けて同下旬に発生した台風10号に対しても、規模は異なるものの災害対応の体制を整えた。
 この5年で県が培ってきた災害対策が、近年の台風に生かされ始めている。地域間や業界団体との連携をさらに深め、より確実な対応が求められる。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166907
via 日刊建設工業新聞

東京都/武蔵野公園にスケートボード場整備、25年度に利用開始

 東京都は府中市の都立武蔵野公園で、11月上旬までにスケートボード場の建設工事に着手する。広さは約1100平方メートル。地面を舗装し、ハーフパイプ状のランプのほか、ターンの練習ができるクオーターランプなどを設置し、初心者でも楽しめる施設にする。年度内に完成し、2025年4月以降の利用開始を目指す。都民から公園の中で気軽にスケボーを楽しみたいという声が寄せられていた。
 武蔵野公園の所在地は府中市多磨町2。スケボー広場は園内の東側にある噴水前のスペースに、南北方向に長い長方形の形で整備する。周囲をフェンスで囲み、他の公園利用者との接触事故を防ぐ。東西に設置したフェンスの外側には園路を確保し、スケボー広場利用者以外の動線を確保する。
 広場はスケボーのほか、インラインスケート、ローラースケートにも対応。ランプのほか、ジャンプ台やレールなど初級者向けのセクションを14基設置する。利用できる人数などは他の施設も参考にしながら今後決める。
 今回整備する噴水前の広場は従来、一定のルールの下でスケボーの利用が可能だった。都は8月下旬、近隣住民に向けて現地で工事の説明会を開催。担当者によると「特に反対の意見はなかった」という。
 今回整備するスケボー場の基本・実施設計は緑政計画研究所が担当。都は施工者選定の入札公告を早期に公表する予定だ。工事契約は10月下旬~11月上旬を見込んでいる。工事費用は未定。
 都立公園で初心者でも利用できる専用広場を配置しているのは現在、世田谷区の駒沢オリンピック公園だけ。都は多摩地域の都立公園にも専用広場を1カ所造る方向で検討を続けてきた。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166915
via 日刊建設工業新聞

ユアテック/安全確保と品質向上で技術開発加速、電線圧縮接続作業など支援

 ユアテックは、工事施工の最前線に立つ作業者の安全確保や生産性向上を目的に、支援技術の開発に力を注いでいる。高所で行う電線や光ファイバーの接続など日常的に多い作業をターゲットに専用器具の新規開発や性能向上などを推進。架空送電線工事に従事する作業員(ラインマン)向けにも、動きやすさなど重視した新しいスーツの実用化を目指している。
 実用化が近いもののうち電線の圧縮接続作業に使用する工具は、高所作業車のバケット内で使用する。片手に圧縮工具を持ちもう片方で電線とバルーンスイッチを支える方法は、作業者の負担が大きく指を挟んだり、気温の変化などでスイッチが誤作動したりするケースもあった。
 これまでの事故事例や現場の要望を踏まえ、長年使われていたバルーンスイッチを2段階操作の無線スイッチに変更。作業負担を軽減しつつ指を挟む事故の回避につなげる。開発と現場試行を繰り返し2年程度の時間で実用化が可能なレベルに到達。高所作業車の更新に合わせ順次切り替えてく計画だ。
 ラインマンが500キロボルトの超高圧架空送電設備で工事を行う場合の作業スーツも改良に取り組んでいる。送電線の工事は静電気がたまった状態で作業をすると、強力な放電が起こって事故になる場合がある。このため導電性作業服の着用が義務付けられているものの、通常の作業服の上に導電性のある作業服を重ね着していたため、夏場の暑さや作業前の準備、動きにくさなどに課題があった。
 ラインマンは高所作業に従事し、高い技術や高度な技能が求められる。スペシャリストを支える取り組みとして、同社は作業服の重ね着が解消できる新型スーツを開発した。要求性能を満たす機能の一体化はハードルが高く、実用化レベルに到達するまで「4~5年がかかった」(技術開発センター)という。作業服の切り替えに合わせ更新していく計画で、送電線工事従事者の負担軽減につなげていく。
 テレビ共聴用光ケーブルの引き込み作業で使用するケーブル掴線器も現場導入が可能な段階にある。光ケーブルを住宅などに引き込む時、作業員は細いケーブルを手で持ち、落とさないようにしながらつなぐ。ケーブルは適度な緩みが必要で、引っ張りすぎると断線する恐れもある。
 細いケーブルが保持できる専用の工具があれば両手が自由になって作業効率が高まり、生産性の向上や作業負担の軽減につながる。既に試作品を現場に貸し出しており、年度内には製品化が可能な段階にある。新しい掴線器を協力会社などに購入してもらい現場の働き方改革に役立てる計画という。
 引き続き同センターと各部門が連携し、テーマの抽出や研究・技術開発の進捗などを情報共有し、効率的な時流に合った取り組みを推進する。屋内外を問わず深刻化している夏場の熱中症対策も重要項目に位置付け、大学との共同研究などで効果的な方策を探る。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166920
via 日刊建設工業新聞

2024年9月6日金曜日

大阪府/モノレール延伸事業の債務負担330億円に増額、28~30年度に期間延長

 大阪府都市整備部は大阪モノレール延伸事業の債務負担行為の限度額を約180億円増額し、総額約330億円とする補正予算を財政当局に要求している。対象期間も2028~30年度に延長する。これらの変更を含む24年度一般会計補正予算案(2号)は19日に開会する9月定例府議会に上程される。
 増額と期間延長は事業費の増加や開業目標の延長などに対応するもの。府の建設事業評価審議会が「事業継続が妥当」と判断したことから、これまでの限度額149億8207万円に180億4793万円を追加した上で本年度に必要な工事を発注する。予算が承認されれば、支柱や鋼軌道桁の建設工事などを追加発注していく。
 大阪モノレール延伸事業は、現在の終着駅の門真市駅(門真市新橋町)から南へ延伸し、東大阪市若江西新町までの約8・9キロを結ぶ計画。松生町駅、門真南駅、鴻池新田駅、荒本駅、瓜生堂駅(いずれも仮称)の5駅を新設する。このうち荒本駅の駅舎建設工事(一般競争入札〈WTO対象〉)は現在公告中。入札参加申請を17日まで受け付けている。11月14日に開札する。
 全体の事業費は前回事業評価時の約786億円から約1442億円とほぼ倍増する。29年度としていた開業時期も33年度に延長。23年度末時点の主な進捗率は詳細設計が約8割完了、支柱建設工事が約6割発注済み。用地買収は約8割が契約済みとなっている。
 同部では大阪モノレール延伸事業以外に、自動運転バスの導入に向けた走行試験を実施する新モビリティ推進事業も盛り込んでおり、6586万円を要求。環境整備工事費に1591万円、走行試験経費に4995万円を配分する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166845
via 日刊建設工業新聞

マツダ/広島地区社員寮を統合建て替え、設計・施工はフジタ

 マツダは4日、広島地区にある技能系従業員向け社員寮について、既存の五つの寮を統合し、広島市南区小磯町(現第1小磯寮)に新たな寮を建設すると発表した。RC造10階建ての居住棟と平屋の食堂棟で構成、総延べ床面積は約2万9000平方メートル。設計・施工はコンペで選定したフジタが担当する。10月から既存施設を解体し、2025年4月に本格着工、27年10月に完成させ4月の運用開始を目指す。
 広島市南区にある技術系従業員向け社員寮は築50年以上が経過しており、入寮する従業員の住環境の改善による従業員満足度の向上や人材確保に資する魅力的な住環境の提供が課題となっていた。今回建設する新寮では、各個室の居住空間や設備の充実を図るとともに、交流の場となるラウンジやトレーニングルームなども設置し、快適で充実した寮生活を送れるようにする。地域貢献として、独立した建物となる食堂棟を開放し近隣住民も利用できるようにする。
 統合対象となる寮は、大州寮・松風寮(南区大州)、第1小磯寮・第2小磯寮(南区小磯町)、大原寮(南区向洋大原町)。新寮は、第1小磯寮跡地に整備する。マツダでは、今後も「ひと中心」の価値観の下、働きやすさと働きがいを追求することで従業員が誇りを感じて働ける環境づくりを進めるとしている。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166839
via 日刊建設工業新聞

いであ/メコン川のプラスチックをモニタリング、経済的・簡便な手法を構築

 いであは、メコン川を流れるプラスチックのモニタリングで経済的かつ簡便な手法を構築した。河川を流れる直径5ミリ以上のマクロプラスチックと、同5ミリ以下のマイクロプラスチック、魚類生体内に含まれるマイクロプラスチックが対象。マクロプラスチックへの対応では、三つのモニタリング方法を組み合わせた方法を採用した。水質調査や漁業調査に組み込みやすく、結果が比較可能な手法を提案し、実務者への実地研修も行った=写真(いであホームページから)。
 カンボジアら4カ国が加盟する国際機関「メコン川委員会(MRC)」が、河川のプラスチック汚染の実態把握や、モニタリングに関する統一的な手法を規定した文書(プロトコル)の作成、実地研修を柱としたプロジェクトを進めている。その一環で業務を受注していた。
 マクロプラスチックに対しては、生物採取用ネットによるサンプリングと漁網でのサンプリング、既存構造物での目視調査を組み合わせて実施する。マイクロプラスチックに関しては、日本の環境省による「漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和ガイドライン」を参考にしたサンプリング方法を採用。水草の繁茂が激しいことを踏まえ、航路の選択や水草流入時の対処法を加えるなど工夫を凝らした。
 魚類生体中のモニタリングは、下流全域で生息し、かつ1年を通して捕獲される魚類を対象に選定。さまざまな食性や生息域を持つ種を含めることで、摂取量の違いを考察できるようにした。
 メコン川は海洋へのプラスチック流出量が世界で最も多い河川の一つと言われている。MRC加盟国でモニタリングが実施されれば、より明確に汚染状況を把握でき、その結果を政策にフィードバックして、より効果的な汚染源対策が可能になるとみている。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166837
via 日刊建設工業新聞

ポリウス/国産建設用3Dプリンター量産へ、25年夏納品分・9月11日から予約受付

 建設用3Dプリンターを手掛けるPolyuse(ポリウス、東京都港区、岩本卓也代表取締役、大岡航代表取締役)は5日、国産建設用3Dプリンター「Polyuse One」の先行受注販売の予約を開始すると発表した。量産製造モデルで、11日から受け付ける。導入への総合的支援を含めた販売価格(税込み、送料込み)は3300万円を想定するが、オプションなどにより変わる可能性がある。先着30台。2025年夏ころから順次納品する予定だ。
 耐久試験や検査を実施済みで、自由度の高い積層意匠を実現する。キャスターにより容易に移動でき、折り畳めるタイプとなっている。据え付けや折りたたみの時間は5分程度で柔軟に現場に対応する。
 展開時の3Dプリンターの大きさは、全幅3980ミリ×奥行き3590ミリ×高さ2650ミリ。造形サイズは全幅3000ミリ×奥行き2500ミリ×高さ1900ミリ。重量は560キロ。
 同社は建設用3Dプリンターの試作機を10台規模で展開し、土木・建築分野で施工実績を積み重ねてきた。昨年には国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されている。
 11~13日に大阪市住之江区のインテックス大阪で開かれる建設DX展(RXJapan主催)で展示する。25年5月にも先着70台で受注予約を受け付け、26年春ころから納品する予定としている。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166843
via 日刊建設工業新聞

2024年9月5日木曜日

スコープ/複合噴射攪拌協会、「リングジェット」「HCM」の2工法を広く普及へ 

 新しい深層混合処理工法の普及を目指して「複合噴射攪拌協会」(山崎淳一会長)が活動を本格化させている。機械撹拌(かくはん)と複合的な高圧噴射を併用することで、小型の機械で大口径の地盤改良ができる点が特徴。生産性向上や環境負荷の軽減も期待できる。発注者や建設コンサルタントらにPRし認知度を高めて、幅広い場面で貢献していく。
 扱うのは、円筒状の高強度改良体を形成する「リングジェット工法」と、撹拌翼を組み合わせて大口径改良体を効率よく造成する「HCM(ハイブリッド・コントロール・ミキシング)工法」。大口径での改良が増えているが、大型機械の使用が主流で施工場所などに制約がある。脱炭素社会への貢献も求められている。こうした課題を解決していく狙いだ。
 リングジェット工法は、セメントスラリー式小型地盤改良機で、改良径1800ミリで円筒状(リング状)の高強度改良体を構築する。撹拌翼端部の3カ所から下向きに高圧噴射する。円筒形状にすることで圧縮強度が高まり、支持力が30%増加する。曲げ剛性も2倍になる。既に軟弱地盤対策の現場に適用されている。
 断面全体を改良する従来のスラリー撹拌工法と比較して、造成量が減るのもポイントだ。改良径1600ミリの従来工法と比較すると、撹拌時間を40%削減し、固化材量を20%減らすことができる。セメント使用量や施工時間の短縮により、カーボンニュートラル(CN)にも寄与する。
 HCM工法は、固化材スラリーを噴射できる特殊ノズルと、より広い範囲でスラリーを噴射する撹拌翼を組み合わせた機械で施工する。短時間で改良体を構築できる。改良径1600ミリや、同2200~2400ミリに対応する。固化材スラリーを高圧で噴射するため、土塊が砕かれて均一に混合でき、品質が高まる。
 改良体の外周から1メートルの離隔で、地中変位は最大数ミリに抑えられ、周辺地盤への影響を低減できる。施工機械の運転に伴う単位改良土量当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が最大50%程度削減できるとしている。
 両工法とも適用先には、盛り土の安定・沈下対策や構造物の支持力確保、橋台背面の側方移動防止対策などを見据える。
 リングジェット工法の模型実験などを支援した愛知工業大学の渡邉康司准教授は「合理的な施工が実現できる。さらに良い工法になることを期待している」と話す。カタログや技術積算資料を作成しており、積極的にPR活動を展開していく。

 □山崎淳一会長に聞く/高効率施工で強靱化と脱炭素に貢献□
 今後の展望について、山崎淳一会長(三信建設工業社長)に聞いた。
 --協会設立の狙いは。
 「今までなかった技術を広めていくことがメインの目的だ。機械撹拌では、大きな機械で大口径の改良体を深くまで造ることが主流になっている。しかし、日本は広いところばかりではない。施工条件を考えた時に、より小さな機械で施工できる工法の必要性が高い。課題解決に貢献したい」
 --リングジェット工法への取り組みは。
 「従来技術は円柱状で改良するが、リングジェットは外側を中心に円筒状にするのが特徴だ。同じ外形でも曲げ剛性を高めて、より少ない改良材で同様の支持力を確保する。結果的により小型な機械で施工ができる。技術資料や積算資料を作成済みで、設計の基本的な考え方もまとめた。第1号工事もできており、実績を積み上げていく」
 --HCM工法に対しては。
 「小型の機械でより大きな径の改良体を造る目標で開発した。外側に噴射することで、より大きな改良体を形成する。実大実験を行い、これまでの機械噴射と同等の性能や品質が得られることを確認済みだ。周囲の変位をかなり抑制できるのも特徴で、周りへの影響を抑えながら近接施工できる」
 --今後に向けては。
 「国土強靱化が求められている中で、より適応性の高い技術を提供していくことがわれわれの役目だ。セメント量を削減できるため、CNに大きく貢献できる。材料価格の上昇に対してもメリットがある。7月に第1回総会を開き、事業計画と予算が承認された。発注者や設計者に知ってもらうため、これから講習会を実施していきたい」
 「NETIS(新技術情報提供システム)への登録も目指す。スタートは二つの工法だが、新しい技術ができてくることも期待している。将来的に機械撹拌や高圧噴射と並ぶように複合噴射攪拌システムが発展できるよう取り組みたい」。




from トップニュース – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166802
via 日刊建設工業新聞

2024年9月4日水曜日

回転窓/国際空港の魅力向上を

 関西国際空港が1994年9月4日の開港から30周年を迎える。当時は世界でも珍しい完全24時間運用の海上空港。アジアと米欧を結節するハブ空港として成長してきた▼運営する関西エアポートによると、国際線を利用した7月の外国人旅客数は単月で過去最多の約167万人。来年4月に開幕する国際博覧会(大阪・関西万博)の影響でさらに増えるだろう▼ハブ空港化が経済に波及する効果は大きい。世界各国のメガ空港では国際線の発着を増やすため、滑走路の増設や旅客ターミナルの拡張などが競うように相次いでいる▼周辺のアジア各国を見ると、シンガポールのチャンギ空港で第5旅客ターミナルが計画中。香港国際空港では22年に供用した第3滑走路に合わせ新旅客ターミナルが建設されている▼海外のメガ空港はチャンギ空港にある高さ40メートルの屋内滝のように見どころ満載なスポットが充実し、深夜に営業する商業施設や飲食店も多い。単なる利用だけではなく空港そのものが目的地として魅力にあふれる施設になっている。日本もインバウンドのさらなる増加には世界に誇れる国際空港の存在が欠かせない。




from トップニュース – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166763
via 日刊建設工業新聞

2024年9月3日火曜日

回転窓/天下の回り物の価値

 新しいデザインのお札が発行されて2カ月。財布の中には新旧デザインのお札が混在するようになり、店舗での支払時にどのお札を渡せばいいのかと一瞬戸惑ってしまう▼肖像をはじめとするお札の様式は財務省、日本銀行、国立印刷局の3者で協議し、最終的には日銀法に基づき財務大臣が決定する。同局のウェブサイトによると、日本初の肖像入りのお札は、1881(明治14)年に発行された「改造紙幣壱円券」。古代神話に登場する神功皇后が描かれた▼肖像の選び方に法令等の制約はないが、なるべく精密な写真を入手でき、品格があって国民各層に知られ、その業績が広く認められている人物だとか。肖像の採用は、顔や表情のわずかな違いにも気が付く人の目の特性を利用した偽造防止も理由の一つ。現在のお札は明治以降の人物から選ばれている▼世の中はキャッシュレス時代で電子マネーの利用が常態化し、現金を使う機会は減りつつある。それでも現金の持つ価値はデジタルのものより重く感じる▼金は天下の回り物-。人の間を巡る紙幣・貨幣を対面で受け渡すことで、お金の大切さや稼ぐ苦労も実感できよう。




from トップニュース – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166748
via 日刊建設工業新聞

2024年9月2日月曜日

回転窓/頼れる和製ミント

 今年の夏も厳しい暑さで制汗・デオドラント商品の売れ行きが好調だったよう。スプレーやシートタイプのものなど多くの種類が売られている▼中でも汗を拭き取り、肌をサラサラにして清涼感が得られる汗ふきシートの人気は高い。ゼネコンの方によると、汗ばむことの多い現場では季節を問わず、若手を中心とした人たちに欠かせないアイテムだという▼日本で昔から香料や抗菌、制汗、気分転換になどさまざまな用途で使われてきたのがハッカ油。シソ科の多年草の総称である「ミント」の一種ハッカから抽出する。香り成分が虫よけにもなる▼ミントの学名「Mentha」は、ギリシャ神話の妖精「メンタ」に由来する。一説に冥王の妃から嫉妬されたメンタは踏みつぶされ、湿地のハーブに変えられてしまう。悲しい筋書きだが「打たれてなお芳香を増す美しい少女のたとえは、なんとよくできた物語なのかと思わずにはいられない」と前田京子氏は『はっか油の愉しみ』(マガジンハウス)に書いている▼9月の気温も全国的に平年より高い見込み。暑さに気がめいる時は、和製ミントのハッカに頼るのもいい。




from トップニュース – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166717
via 日刊建設工業新聞