2024年9月30日月曜日

回転窓/秋バテにご注意

 ようやく秋らしい気候になってきたかと思えば、夏バテならぬ秋バテに注意が必要だという。寒暖差の大きさから自律神経が乱れると、だるさや疲れが抜けないなどの不調を来しかねない▼こうした時季にこそ大切にしたいのが眠り。夜にぐっすり眠ることが大切なのは言うまでもないが、昼間のちょっとした仮眠がもたらす効果も大きい。仮眠法を紹介する書籍などもあり参考となる▼代表的な効果は頭がスッキリして脳の疲労を回復でき、仕事の能率や生産性を高められること。15~20分ほどの短い時間でいい。米航空宇宙局(NASA)のリポートでは、宇宙飛行士が昼に26分間の仮眠を取ったところ、認知能力が34%、注意力が54%も向上した(『パワーナップ仮眠法』坪田聡著、2015年)▼米国の発明王トーマス・エジソンは1日の睡眠が4時間以下と短かったようだが、仕事の合間に仮眠していたと伝えられる。白熱電球や蓄音機など数々の大発明には、仮眠がうまく生かされていたのかもしれない▼仮眠も時間帯など取り方が間違っていては効果を期待できない。正しい仮眠法を知って秋バテ撃退といこう。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167482
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凜/大林道路東北支店山形営業所・横谷優奈さん、経験を力にスキルアップ

 学生時代に大林道路の山形営業所が担当する現場を見学する機会があった。現場代理人としてテキパキと指示する女性技術者。まぶしいくらい輝いていた姿を見て「この会社しかない」と直感した。学生時代に抱いた「いつかは自分もあの人のようになりたい」という思いは、今も変わっていない。
 「ものづくりはクリエーティブな仕事」という気持ちで入社を決めた。中部地方の現場から山形に赴任したのは5月。高速道路の舗装工事など山形県内で稼働する現場の支援役として、書類作成などを担当している。「ミスなく作業を進めていくため天候や健康管理も含めて気を配るのが役目」。周囲への顧慮を怠らず業務にまい進している。
 交通規制が伴う夜間工事で警備員の配置を調整する役割も任された。時間に制限がある状況で作業を効率的に進めるには、警備員の配置が大切なポイントになる。「初めての夜勤で緊張したが勉強になった」そうで、周囲の評価も「物おじせずベテランの作業員にもしっかり指示が出せていた」と上々だった。
 入社前に憧れた先輩社員の姿を追いかけ「一つずつ経験を積み重ね仕事の幅を広げたい」と思いを巡らす。資格の取得はもちろんだが、「次は首都圏で工事がしたい」という気持ちも心に秘めている。そのためにも日々成長。「自分なりに工夫することで楽しく仕事ができるはず」と前を向く。
 (よこや・ゆうな)




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167480
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人材協/「建設業職種メーカー」制作、自分に合った職種簡易診断

 国土交通省や建設業団体でつくる建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協、事務局・建設業振興基金〈振興基金〉)は、若年者入職促進などの情報発信を目的としたウェブサイト「建設現場へGO!」の新たなコンテンツとして、建設業のさまざまな職種を楽しみながら知ることができる「建設業職種メーカー」=画像はトップページ=を制作した。八つの質問に直感的に答えるだけで、自分の性格や志向に合った職種を診断、紹介してくれる。
 同サイト(https://genba-go.jp/)にバナーを設けた。誰でもすぐに利用できる。建築設計業から各専門工事業までバリエーションに富んだ15種類のうち一つが回答に応じ選ばれる。建設業への「入り口」として小中学生などに使ってもらうのが狙い。診断結果をSNSで友人らとシェアしたり、同サイト内の別コンテンツでより深く建設業や各職種を知ってもらったりする。人材協はこれを初弾に若年層にアピールするコンテンツを拡充する予定。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167486
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大阪府建築審査会/クラフトビール工場建築計画同意へ、施設整備に弾み

 クラフトビールを醸造・販売するヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)が大阪府泉佐野市のりんくうタウンで手掛けるビール工場兼見学施設「大阪ブルワリー(仮称)」の建築計画が、24日に開かれた大阪府建築審査会で審議され、同意の方向となった。建設事業費を賄うため募集中のふるさと納税型クラウドファンディングの寄付額も既に目標額を大きく上回る30億円超まで積み上がっており、今後の施設整備に弾みが付きそうだ。
 計画地は府が泉佐野市に30年間の定期借地として貸し付けた敷地8256平方メートル(りんくう往来北1ほか)。近隣商業地域で建ぺいが率80%、容積率が300%。施設規模はS造2階建て延べ2025平方メートル。ビールの試飲や工場見学も楽しめる観光型エンターテインメント施設となる。
 年間約900キロリットルのビール製造を予定し、飲食・物販スペースから大きなガラス越しに醸造室を眺められるようにする。外観は自然に囲まれたデザインを取り入れ、屋外でもビールを楽しむことができるスペースを備える。
 2021年度に市から誘致提案を受けたヤッホーブルーイングが事業化した。2月から実施設計を進めており、11~12月に建設地の障害物撤去工事に着手し、26年中の開業を目指す。設計・施工は前田建設が担当。
 ふるさと納税型クラウドファンディングは泉佐野市が実施しており、寄付額の4割を事業者に交付する。
 審査会ではクラフトビール工場を近隣商業地域に建設することに関して、地域住民への影響や環境負荷の有無などを審議。同工場が観光拠点やにぎわいを創出する施設として公益性の高い役割を果たすことが強調されるとともに、騒音や臭気、振動などの環境面での影響が少ないと報告された。出荷に伴うトラックの往来は1日平均1、2台程度と、周辺の交通への影響も軽微であることが確認された。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167489
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清水建設ら/ジオポリマーコンクリ副産物活用率96%に、CO2排出やコストも低減

 清水建設と神戸製鋼所、ポゾリスソリューションズは、原材料に用いる産業廃棄物の活用率を大幅に高められる「ジオポリマーコンクリート」を共同開発した。主原料としてジオポリマーの活性フィラー(粉体)に利用する石炭灰(フライアッシュ)や高炉スラグ微粉末に加え、コンクリの骨材と練り混ぜ水にも産業副産物を有効活用することで活用率を最大化。重量比ベースで従来の20%から最大96%まで高めた。
 産業副産物を原材料とするジオポリマーコンクリは、製造段階で多量の二酸化炭素(CO2)発生を伴うセメントの代替材料として広がりつつある。3社が今回開発した資源循環促進型のタイプは流動性や強度を決定する反応メカニズムを分析することで、骨材と練り混ぜ水にそれぞれ、製鉄所から産出されるスラグ骨材とアルカリ廃液を活用する独自の配合技術を構築。産業副産物をコンクリの骨材や練り混ぜ水にも有効活用できるようにした。
 ジオポリマーコンクリの特性として、活性フィラーとアルカリ活性剤の反応速度が速く高い流動性を長時間保持できなかった課題にも対応。ポゾリスソリューションズが開発したアルカリ活性剤と分散剤によって流動性の保持時間を確保する。常温で硬化するためコンクリ製品への適用時に必要とする高温養生が不要となり、CO2排出量や製造コストも低減する。コストは従来に比べ半分以下まで下げられる見通しだ。
 清水建設と神戸製鋼所は今後、副産物利用率が95%超のジオポリマーコンクリを「オール・バイプロ・ワン」、95%以下を「バイプロワン」として社会実装に取り組む。コンクリ製品への適用や実証や現場施工に向けた製造システムの構築を進める。




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2024年9月27日金曜日

ゼネコン、道路舗装会社/ハイウェイテクノフェアで床版取り換えや遠隔技術PR

 建設各社が高速道路の老朽化対策や長寿命化に向けた技術開発に力を注いでいる。高速道路の老朽化対策などをテーマにした「ハイウェイテクノフェア2024」(主催・高速道路調査会)が26日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開幕した。ゼネコンや道路舗装各社が多数出展。床版取り換え工事の急速施工やアスファルト補修の効率化技術、トンネル関連技術が目立つ。建設機械の遠隔技術などをアピールしている社も多く見られた。会期は27日まで。
 ゼネコンではIHIインフラ建設や青木あすなろ建設、安藤ハザマ、大林組、奥村組、鹿島、熊谷組、鴻池組、五洋建設、清水建設、大成建設、竹中土木、鉄建建設、東急建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、ピーエス・コンストラクション、不動テトラ、前田建設、三井住友建設らが出展。道路舗装会社は大林道路、ガイアート、佐藤渡辺、大成ロテック、東亜道路工業、日本道路、福田道路、前田道路、三井住建道路らがPRしている。
 展示ブースでは、床版の更新技術が多くを占める。鹿島は既存床版の撤去から新設床版の架設まで一連の作業を同時並行で行う「SDRシステム」や、高速道路橋床版のリニューアル工法を紹介。大成建設も高速道路の床版更新技術や車両進行(橋軸)方向の床版接合を効率化する施工法「Head-barジョイント」などを来場者にPRした。
 大林組は中空床版取り換え技術「HOLLOWAL」をプレゼンテーションを交えながら解説。清水建設は橋梁リニューアル工事の生産性向上技術を説明した。
 トンネル施工の効率化や建機の遠隔操作技術も多数出展。前田建設は山岳トンネルのリニューアル技術や覆工コンクリートの再生技術などをアピール。西松建設は山岳トンネル重機の遠隔システム「Tunnel RemOS」をデモンストレーションし来場者に紹介している。
 世紀東急工業はアスファルトフィニッシャーの遠隔操作・自動操舵(そうだ)システムを実演した。環境負荷を低減する舗装材や簡易施工を実現する舗装材などのPRも目立ち、大成ロテックは雨でも施工可能な全天候型の高耐久常温アスファルト混合物をPRしている。
 このほか、アクティオやエクシオグループ、応用地質、オリエンタル白石、国際航業、JFE建材、住友大阪セメントなど建設関連企業も独自技術やサービスを紹介している。




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回転窓/自民党総裁選と国土強靱化

 自民党は27日、総裁選の議員投票などを行い、新総裁を選出する。過去最多の9人が立候補し、重視する政策などに大きな注目が集まっている▼経済や社会保障、外交、憲法改正など課題は多いが、注目すべきは防災対策だ。1月に巨大地震に見舞われた石川県の能登半島では、今月に入り豪雨災害が発生。複合災害への備えが十分に必要であることが改めて浮き彫りとなった▼総裁選の公約を見ると多くが防災やインフラに言及。石破茂元幹事長は防災省の創設や事前防災の徹底を掲げた。小泉進次郎元環境相は国土強靱化に向けた首都機能再編の検討を表明。高市早苗経済安全保障担当相は「令和の国土強靱化対策」を推進するとした▼連立政権を組む公明党も代表選を告示。元国土交通相の石井啓一幹事長が立候補しており、28日の党大会で新代表に就く予定だ▼自然災害から完全に守り抜くことは難しいが、目指すべき水準に到達できていないことはしっかりと認識すべきだろう。10月1日に臨時国会が召集され、新内閣がスタートすることになる。新たな連立政権がぶれることなく国土強靱化を加速することを期待したい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167411
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賃上げ幅は3~6%が最多、総合評価の加点措置に6割が不満/全建会員調査

 建設業の処遇改善に向けた動きが続いている。全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の調査によると、回答した会員企業のうち2024年度に賃上げしたのが約8割と、23年度と同水準を維持。上げ幅は「3~6%」が最も多く、3月に全建など建設業4団体と政府が申し合わせた24年度に「5%を十分に上回る」賃金上昇を目指し対応していることが分かった。ただ総合評価方式で賃上げした企業の加点措置に対しては「安定した受注量の確保が見通せない」などを理由に、約6割が不満に感じている現状も浮き彫りとなった。
 「発注関係事務の運用状況等に関するアンケート」を7月に実施。会員企業2202社から回答を得た。
 賃上げした企業の割合は、23年度80・8%、24年度79・5%となり、約8割の水準を維持していた。上げ幅は「3~6%」が32・1%(前年度調査と比べ1・8ポイント上昇)と最多。次いで「1~2%」が28・3%(3・2ポイント上昇)、「6%以上」が7・0%(0・4ポイント上昇)となった。「賃上げを実施していない」は20・5%(1・3ポイント上昇)だった。
 賃上げしなかった企業にその理由を聞いたところ、「予定していた利益が確保できなかった」(42・2%)が最も多く、次が「その他」(29・0%)だった。「その他」の自由記述では、受注量の減少や物価高騰・人件費上昇などに苦慮する声が集まった。「24年度から月給を据え置き、週休2日にしたことで労働日数が減少し、時間単価が増額した」など、実質的な賃上げを行っているためという理由も挙がった。賃上げを実施しなかった企業の中には現在検討中という回答もあり、賃上げに意欲があることがうかがえた。
 賃上げした企業を総合評価方式で加点する措置の受け止めを聞いたところ、「(やや)満足」が41・0%、「一部不満」が30・5%、「不満」が28・5%となり、「一部不満」と「不満」の合計が約6割を占めた。
 「一部不満」「不満」と回答した企業の理由(複数回答)を見ると、「安定的な受注量の確保が見通せない」が64%で最も多く、「賃上げ加点を受けても競争環境が厳しく受注に至らない」が46・7%で続いた。自由記述では「毎年賃上げを続けると体力がない会社がつぶれる懸念がある」「ほぼ全ての会社が賃上げを実施しているので優位になれない」といった不安の声が寄せられた。




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大島三丁目1番地地区再開発(東京都江東区)、25年度都計決定/準備組合

 ◇29年度着工めざす
 東京都江東区で活動する大島三丁目1番地地区市街地再開発準備組合(櫻井靖男理事長)が再開発事業のスケジュールを定めた。2025年度に都市計画手続きを進め、同年度の都市計画決定(区決定)を見込む。27年度に事業計画の認可を得て本組合を設立。28、29年度ころ権利変換計画の認可を取得し、既存建物の解体に着手する。29年度の新築着工、32年度の竣工を目指す。再開発施設は延べ9万平方メートルの規模になり、住宅などで構成する複合施設になる。
 計画地は大島3の1ほか(敷地面積1・4ヘクタール)。再開発施設は42階建て延べ9万平方メートルの規模とし、中低層部には商業施設やクリニック、高齢者施設、保険相談所、都税事務所を配置。高層階は多世代が住める住宅とする。準備組合には事業協力者として野村不動産と三菱地所レジデンス、首都圏不燃建築公社の3社が参画している。
 準備組合は20年にまちづくり方針の案を区に提出したが、22年の都市計画マスタープランの改定を踏まえ、「浸水対応型まちづくり」や「オープンスペースの連続性とさらなる回遊性の向上」といった項目に配慮して内容を再検討した。
 24年度時点の最新の計画によると、施設は従来計画と比べて最高高さを1メートル高くしている。建物をかさ上げすることで浸水を抑え、2階の一部を一時避難場所として提供。準備組合によると、約300人が収容可能な規模になるという。
 敷地東側には広場を設ける。広場に面した1、2階の一部は吹き抜けのピロティ空間として整備。地震や火災時の一時避難場所のほか、イベントスペースとしても提供し、地域貢献につなげる。広場とピロティ空間は連続的につながり、余裕のあるオープンスペースが確保できる。




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鹿島/スマート床版更新システムを1車線規制の実工事に初導入、必要期間を70%短縮

 鹿島は道路橋の床版取り換え工事に伴う交通規制を大幅に短縮できる「SDRシステム」を、幅員方向を分割する現場に初めて導入した。既設床版の撤去から新設床版の架設まで一連の作業にかかる期間は、標準的な工法で21日間だが、同システムでは6日間で完了。床版取り換えに必要な期間を約70%短縮した。
 同システムは床版取り換えの▽既存床版の撤去▽主桁ケレン▽高さ調整▽新設床版の架設-の4工程を、それぞれの専門班が各エリアで同時並行で行う。2019年と22年に行った実証実験では作業時間が標準的な工法と比べ、全断面取り換えで83%、幅員方向分割取り換えで90%短縮できることを確認。各専門班が単一の工程を担当することで作業分担が明確になり、集中して作業を行えるため、安全に工事を進めることもできる。
 導入した「広島自動車道(特定更新等)伴高架橋(上り線)他1橋床版取替工事」(西日本高速道路会社発注)では、5、6月の1期工事で追い越し車線側122・1メートルの床版を取り換えた。標準的な工法で21日間(1日当たり3枚)かかっていた一連の作業が、6日間(1日当たり平均10枚、最大20枚)で済み、床版取り換え期間を約70%短縮した。
 9月から2期工事として走行車線の幅員方向の分割床版取り換えを実施予定。鹿島は1期工事で得た知見を生かし、安定した期間短縮効果が得られるよう同システムの改良を重ねる。




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2024年9月26日木曜日

回転窓/世界の名建築を訪ねて

 ヨーロッパには歴史的価値の高い建築が数多く存在する。先日、ベルギーの首都ブリュッセルと2024年五輪・パラリンピック大会の興奮冷めやらない仏パリを旅した▼ブリュッセルではアール・ヌーヴォー様式を初めて建築デザインに取り入れたとされる建築家ヴィクトール・オルタが設計した自宅を訪問。1898年竣工の邸宅は内装だけでなく家具にまで細かな装飾が施され、オルタのこだわりが感じられる▼パリ近郊の住宅地にあるラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸(1924年竣工)は、近代建築三大巨匠の一人であるル・コルビュジエが設計した。吹き抜けのある邸内は2、3階の部屋をスロープでつなぎ、くすんだ紺と白の壁を配置。当時は最先端だったに違いない▼時代は違えど二つの建築物には共通点もある。装飾性であったり、素材を鉄筋コンクリートに変えたりするなどそれまでの常識にとらわれず、独自の視点で建築デザインを試みている▼小規模建築は部屋の隅々まで見ることができるため、建築家の意思を体感しやすい。世界には何度も訪れたくなる建築がたくさんある。そんな名建築にまた出会いたい。




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新社長/中日本高速道路会社・縄田正氏、安全な道路空間を提供 

 経営方針の最上位に据える安全性向上のため、不断の取り組みを進める。耐震補強やリニューアルとともに、利便性向上や災害時のネットワーク確保に向けた4車線化やミッシングリンクの解消にも注力する。当面の課題は建設業の2024年問題。「発注者だけで事業は成り立たない。受注者と一体になって仕事をしたい」と現場環境の整備にも力を込める。
 --就任の抱負を。
 「社会貢献が第一の企業理念。そのために最優先すべきは安全性の向上だ。安全な道路空間をしっかりとお客さまに提供する」
 「事業を円滑に進めるためには、受注者と一体となって仕事をするという意識を持ち、現場の状況を把握する必要がある。資材価格や労務費が相当上がっている中で、事業費が不足するということにならないよう関係機関、特に国土交通省には実態をしっかりと伝えていきたい」
 「これまでも風通しの良い職場環境の構築を心掛けてきた。社員にはコンプライアンスの順守とともに、率直に意見やアイデアを出すことを期待する」
 --当面の課題は。
 「建設業の2024年問題への対応が求められる。まずは3月に策定した工事円滑化ガイドラインを現場にしっかり浸透させたい。本社の担当者が現場事務所を回って内容を周知し、発注者やグループ会社、受注者間での共有に努める。取り組みが進む中でのフォローアップも大切だ。現場からの意見を吸い上げコミュニケーションを取ることで、ガイドラインの実効性を高めたい」
 --主要プロジェクトは。
 「安全性向上に直結する耐震補強やリニューアルはもちろん、ミッシングリンクの解消も重要なプロジェクトだ。また、東海北陸自動車道の4車線化対象区間はセパレート形式のため、新設に近い事業になる。長大トンネルや橋梁の整備を含んでおり、受注者の関心も高い。若い技術者に活躍してもらい、新設事業の経験を積むことができる現場になってほしい」
 「ミッシングリンクが残る東海環状自動車道も早期につなげたい。さまざまな方向からのルートを確保しておくことは、発生が危惧される南海トラフ巨大地震のような自然災害への備えとしても大切。施工難易度が高い区間もあるが、着実に進めたい」
 --中長期的に注力する分野は。
 「高速道路空間をどのように変化・進化させていくかを検討する必要がある。今後、自動運転や自動物流など、さまざまな視点で検証や研究、実証が進むだろう。それらの動きに柔軟に対応し、可能性を模索したい」。
 (6月25日就任)
 (なわた・ただし)1983年京都大学大学院工学研究科修了、建設省(現国土交通省)入省。東北地方整備局長、中日本高速道路会社代表取締役兼専務執行役員建設企画本部長などを経て現職。コリンズ(工事実績情報)には発案段階から携わった。趣味はスポーツ。学生時代はアメフトに打ち込んだ。バイクも好き。福岡県出身、66歳。




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中部整備局/「つながる中部42・6」活動始動、24年度開通予定区間をPR

 中部地方整備局は、「つながる中部42・6」と題し、管内の新たな道路ネットワーク誕生に向けたPR活動を始める。ロゴマークを作成し、24日に特設サイトも開設した。本年度に開通を予定する4路線総延長42・6キロの各道路事業について、各事務所や中日本高速道路会社と連携し、整備効果や進捗状況などを積極的に発信する。
 本年度の予定を見ると、東海環状自動車道は、山県IC~大野神戸IC(岐阜県山県市~大野町)の18・5キロといなべIC~大安IC(三重県いなべ市~同市)の6・6キロの開通を目指している。蒲郡バイパス(BP)は、豊川為当IC~蒲郡IC(愛知県豊川市~蒲郡市)の9・1キロの開通を想定。同区間が開通すれば名古屋都市圏と愛知県豊橋市を結ぶ延長72・2キロの名豊道路が全線開通する。
 北勢BPは日永八郷線~国道477号BP(三重県四日市市~同市)の4・1キロ、島田金谷BPは旗指IC~大代IC(静岡県島田市~同市)の4・3キロが新たに結ばれる予定だ。各事業、物流の効率化や交通渋滞の解消、地域の活性化、災害に強い道路機能の確保などに貢献する。
 ロゴマークは42・6キロの開通で中部の道路ネットワークが拡充し、人やモノ、情報、地域の連携につながるイメージを表現した。特設サイトでは各事業の概要や進捗状況を紹介。中部整備局のX(旧ツイッター)や各事務所のユーチューブチャンネルにもアクセスでき、事業の詳細を知ることができる。PR活動として今秋から、各現場の進捗を動画として発信するほか、現場見学会の開催なども予定する。
 中部整備局道路部の柴田康晴道路計画課長は「管内の開通延長42・6キロはここ10年で最長。これまでも各事務所など個別で事業を紹介してきたが、一体的なPRのため今回の広報に至った。地域をはじめ多くの方に見ていただき、開通する道路を使ってもらいたい」と力を込めた。




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堺市/下水道施設のウオーターPPP導入へ可能性調査、25年度早々に導入方針

 堺市は上下水道施設などの維持管理や修繕、更新を一体的に民間に委ねる「ウオーターPPP」の導入に向けた可能性調査に着手する。下水道施設を対象とし、2024年度に現状の課題を整理した上で最適な手法を絞り込む。企業の参画意向も把握し、25年度早々に導入方針を示す予定だ。下水道施設の管理と更新を一体的にマネジメントすることで、コストの最適化やサービス向上につなげる。
 導入可能性調査をPwCアドバイザリーが担当する。市の下水道施設の維持管理や建設改良事業の現状分析と課題の洗い出しを行い、実施可能なPPP/PFI手法を複数比較検討する。その際に複数の事業や施設、業務を一括する「バンドリング」や自治体をまたがって運営の効率化を目指す「広域化」のほか、「他分野連携」「DX・新技術の活用」などの手法も考慮する。事業者の公募方式やスケジュールもまとめる。
 政府は公共インフラの適切な維持管理や更新のため、23年度に「PPP/PFI推進アクションプラン」を改定。下水道については施設の所有権を行政が維持しながら運営権を民間企業に委託するコンセッション(公共施設等運営権)方式への段階的な移行を目指し、ウオーターPPPの導入を進めるとしている。
 国土交通省は汚水管改築に対する自治体への交付金について、27年度以降にウオーターPPP導入を要件化する方針で、市もこの方針を受けて具体的な検討に乗り出す。中小規模の自治体も取り組めるよう、要件化ではコンセッション方式だけでなく、維持管理と更新の一体的マネジメント業務を性能発注で長期契約(原則10年)する方式でも認めるとしている。
 市が導入を検討する下水道施設は次の通り。
 【管路施設】本管(合流、汚水、雨水)約3200キロ
 【終末処理場(機械、電気、建築、土木)】三宝水再生センター▽石津水再生センター▽泉北水再生センター
 【マンホール形式ポンプ場】宅内マンホール含む約280カ所
 【ポンプ場】古川下水ポンプ場▽竪川下水ポンプ場▽出島下水ポンプ場▽戎橋下水ポンプ場▽湊石津下水ポンプ場▽浜寺下水ポンプ場。




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大成建設/PCaPC床版の幅員方向接合技術を開発、施工性向上と工期短縮実現

 大成建設は、1車線規制で取り換えが可能なプレキャスト・プレストレストコンクリート(PCaPC)床版を幅員方向で接合する技術を開発した。車両進行(橋軸)方向の床版接合を効率化する施工法「Head-barジョイント」を、幅員(橋軸直角)方向の床版接合にも適用。従来工法に比べて施工性向上と工期短縮を実現し、交通への影響を最小限に抑えながら床版取り換え工事を行える。26、27日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれる「ハイウェイテクノフェア2024」に出展する。
 新技術はHead-barを採用したことで床版接合部内の配筋が不要となり、床版間の幅(間詰幅)が従来工法の4分の1以下になる。間詰材の打設数量を縮減し、小型の間詰め材製造機械と打ち込み機材を用いて迅速に間詰め作業が行える。
 PCa床版の設置も容易なことから、現場での施工性が大幅に向上し、工期短縮を実現する。従来工法では幅員方向の継ぎ目にプレストレス(圧縮力)を導入し床版を接合していたが、接合部への配筋が必要になるなど施工性に課題があり、工期短縮が困難となっていた。
 床版同士の接合部に充填する高強度繊維補強モルタルは引張力を負担できるため、接合部へのプレストレスを導入しなくても耐久性を確保できる。床版接合部は、設計供用期間100年相当の疲労耐久性を持つと実証試験で確認済み。要求性能を満たす高い安全性を確保している。
 既に床版取り換え工事に導入している。同社は今後、全国の道路橋のRC床版取り換え工事に対して新技術を積極的に提案、適用したい考え。床版取り換え工事のさらなる生産性向上を目指す。




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2024年9月25日水曜日

自民党総裁選/事前防災強化で各候補共通、強靱化中期計画の早期策定も主張

 過去最多の9氏が立候補した自民党総裁選の投開票が27日に迫ってきた。能登半島が1月の地震に続いて豪雨災害に見舞われる中、国土強靱化をはじめとした防災政策が主要な争点となった。24日の党主催の討論会では、デジタル技術を活用した災害予知や老朽化したインフラの検知などソフト対策も組み合わせ、事前防災対策を強化すべきとの声が多く挙がった。「国土強靱化実施中期計画」を早急に策定・着手すべきとの主張もあった。
 自然災害やインフラ老朽化への危機意識は各氏で共通する。高市早苗氏は「令和の国土強靱化」を掲げ、気候変動を踏まえた対応を訴える。小林鷹之氏は「事前防災にかじを切り、できる限り財政出動していく」と強調。ドローンやセンサーによるインフラ劣化判定など新技術の活用を加速する政策提案も小泉進次郎、河野太郎両氏をはじめ複数候補から挙がった。
 林芳正氏はインフラ整備などのよりどころとなる国土計画を常時アップデートし「従来の利便性や経済性だけではなく、環境や防災、住みやすさなどに理念を変えながら事前防災に向けた諸施策を考える」と主張。茂木敏充氏は「まずは道路のミッシングリンク解消を一気にやることが大事」と具体的に指摘した。
 加藤勝信氏は老朽化対策などを担う建設業界の担い手確保に対応する必要性に言及し「毎年コンスタントに公共事業を維持していくことが経営継続につながる」と強調。石破茂氏は国として災害対応の体制が不十分と指摘し「(予報・予知に携わる)気象庁の体制を格段に上げていく」とした。上川陽子氏は「教訓を徹底的に分析し次の災害に当たる」などと主張している。
 小泉、小林両氏は防災対策の一環で首都機能の分散化を主張。全国規模の復旧・復興に当たるための復興庁の組織拡充、防災や危機管理の司令塔となる省庁新設を提案する候補も多い。
 相次ぎ被災する能登半島への対応では小林、加藤、河野の3氏らが「(予備費だけではなく)補正予算を早期に編成し、復旧・復興への国の意志を明確に示すべき」との考えを示した。一方、茂木氏のように「スピード感では予備費。徹底的に活用し被災者に安心感を与える」との主張もあった。公費解体の加速による住宅再建、地盤隆起被害を受けた漁業などのなりわい再建を急ぐべきとの考えは各氏で共通する。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167330
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近畿整備局ら/北近畿豊岡道・豊岡道路2キロが開通、災害時拠点へのアクセス向上期待

 兵庫県北部の但馬地域と丹波地域を結ぶ北近畿豊岡自動車道(延長73キロ)のうち、但馬空港IC~豊岡出石IC間(豊岡市、2・0キロ)が23日開通した。災害時の拠点となる公立豊岡病院へのアクセス向上や観光振興などが期待される。同日午後4時に供用を開始した。今回の開通で北近畿豊岡道未開通区間は2023年12月に起工式を行った豊岡出石IC~(仮称)豊岡北JCT・IC間(豊岡市、5・1キロ)を残すだけとなった。
 近畿地方整備局と兵庫県、豊岡市の共催による豊岡道路の開通式が戸牧(とべら)トンネル内で開かれ、国や県、地元自治体の関係者、国会議員、県会議員ら約210人が出席した。同日は豊岡出石ICに接続する県道も開通した。
 冒頭、長谷川朋弘近畿整備局長が「地域の期待に応えられるよう北近畿豊岡自動車道の一日も早い全線開通を目指し引き続き事業を推進する」との山本巧国土交通省道路局長の式辞を代読。服部洋平兵庫県副知事は「災害に強い高規格道路のネットワーク化は広域防災の観点から重要だ。災害時に豊岡市街、豊岡病院へのアクセスが確保され、地域の防災機能が大きく向上する」と開通を祝った。
 関貫久仁郎豊岡市長は「命の道がさらに拡充する。地域住民の安全・安心が高まる」と喜んだ。
 谷公一衆院議員や末松信介参院議員、足立敏之参院議員らによるあいさつに続き、施工会社を代表して株本建設工業の田中万晶さんが「今後も地域社会に貢献できるインフラ整備に長く携わっていきたい」と決意を述べた。
 この後テープカットとくす玉開披、通り初めで開通を祝った。
 豊岡道路は16年度に事業化。17年度から用地取得を進め、18年度に工事着手した。戸牧トンネル(602メートル)や佐野トンネル(189メートル)のほか、上佐野橋(46メートル)や上佐野高架橋(176メートル)などを整備し、全体の6割近くを構造物で占める。総事業費は約256億円。工事着手から約6年で開通した。
 北近畿豊岡道で最後の区間は豊岡道路(II期)。20年度に事業化し、用地買収や調査設計、工事を進めている。開通時期は未定。豊岡北JCTと接続する山陰近畿自動車道の城崎道路(7・4キロ)は権限代行事業となり、設計作業を進めている。




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国交省・楠田幹人住宅局長/一つ一つの課題に対応、省エネ基準適合義務化など

 国土交通省住宅局長に7月就任した楠田幹人氏が日刊建設工業新聞など専門紙の取材に応じた=写真。2025年4月から原則すべての新築住宅に省エネ基準の適合義務化や能登半島地震からの復旧など、住宅を取り巻く環境は重要な局面を迎えている。「一つ一つの課題にしっかり向かい合っていきたい」と意気込みを語った。
 住宅の数が世帯数を上回る状況で新築を増やすだけでなく、既存ストックを活用していく重要性を強調。特にマンションでは、建物と居住者双方の高齢化が進む「二つの老い」が課題になっている。適切な管理や修繕によって長寿命化を促しつつ、円滑に再生に取り組めるよう支援する。
 1月の能登半島地震の教訓を踏まえ、住宅の防災施策の見直しや強化を進める。老朽化した木造住宅の倒壊が相次いだことから、耐震化の費用支援や高齢者への啓発の強化など「より踏み込んだ対策」に取り組む。建物倒壊の原因究明や、木造住宅密集地域の火災対策についても「必要な予算をしっかりつけて、取り組んでいきたい」との考えを示した。
 25年4月に改正建築物省エネ法が施行され、原則すべての新築住宅に省エネ基準適合が義務付けられる。建築主や行政機関向けの説明会などを開くなど、施行を見据えた啓発活動を強化している。手続きのサポート体制を25年1月までに全都道府県でつくり、円滑な施行につなげる。
 建設業の生産性向上や人手不足への対応の観点から、BIM普及の重要性も指摘した。中小企業への導入支援など「国が音頭を取っていかなければならない」との認識を示した。
 住宅を施工する担い手の確保に向け、「標準労務費」の設定といった待遇改善の取り組みにも意欲を示した。工事の契約や見積もりなどの実情を把握した上で「住宅特有の問題点をどうやってクリアするのか、よく議論しながら取り組んでいきたい」とした。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167328
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大林道路/橋梁RC床版補修を1車線規制で高速施工実現、超高強度セメント複合材活用

 大林道路は超高性能繊維補強セメント系複合材料の「スティフクリート」を用いた高速道路の橋梁RC床版補修で、1車線規制での高速施工を初めて実現した。対象は中日本高速道路金沢支社が発注した「北陸自動車道(特定更新等)杉崎第1橋床版増厚工事」(福井県越前市)の現場。5月25日~7月11日の作業で新たに開発した国内最大級の製造能力を持つ車載型の専用大型プラントを使用し、1車線規制帯内での施工を可能にした。
 スティフクリートは2021年、道路橋のRC床版増厚補強向けに大林組やUBE三菱セメントと共同開発した。大林組が開発した常温硬化型超高強度繊維補強コンクリ「スリムクリート」を改良。薄層で高い耐久性を確保できる機能を維持しつつ「早期強度の発現性能」と「早期硬化時間の制御性能」を加えた。
 施工後3時間で交通開放時に必要な1平方ミリ当たり24ニュートン(N)以上の圧縮強度を確保。現場条件に合わせて配合を微調整でき外気温や勾配に関係なく品質や出来形を確保する。
 北陸自動車道(特定更新等)杉崎第1橋床版増厚工事では、新たにトラック架台に積載した1立方メートルミキサー2台と排出コンベヤーで構成する車載型の専用大型プラントを開発、活用し製造能力が向上。2台のミキサーでスティフクリートを交互に製造。排出コンベヤーによってミキサーからキャリアダンプまで運ぶことで連続的な製造や打設を可能にした。システム化されているため、製造に必要な作業員も従来の20人から8人に削減できた。
 施工能力も大幅に向上し、1時間当たり3立方メートル製造し打設できるようになった。従来、1車線の規制帯内で小規模ミキサーを使っていた時は同1立方メートルの製造が限界だった。施工中に規制帯の外から材料を搬入する工事車両も不要となる。
 大林道路は交通量が多い区間の高速道路リニューアル事業を念頭に、交通量の少ない夜間限定の高速施工も可能になるとして施工速度が大幅に向上したスティフクリートを積極提案していく。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167314
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千葉市/幕張海浜公園3ヘクタールを民活導入で再整備、事業予定者は三井不らグループ

 千葉市は、県立幕張海浜公園内の3ヘクタールのエリアを民間活力を導入して再整備する。同公園の活性化や魅力向上を目的に、交流・飲食などの機能を持った施設のオープンを計画している。施設整備と運営の事業予定者として、三井不動産を代表とするグループのカイマクパートナーズを選定した。2025年12月ごろに事業計画をまとめる見通し。26年1月にも着工し、27年夏ごろの供用開始を目指す。
 20日、「幕張海浜公園活性化施設整備・運営事業」の事業予定者を公表した。カイマクパートナーズの構成企業は新日本建設、西武造園。10月にも基本協定を締結し、同公園内の再整備を進めていく。事業期間は同協定で定める。20年以内を想定する。
 同公園の所在地は美浜区ひび野2の116ほか(面積71・9ヘクタール)。芝生公園や出会いの広場が広がるAブロック、にぎわいの広場や花時計、大芝生広場が配置されたBブロック、日本庭園「見浜園」があるCブロックで構成する。公園管理者の県と協議の上、19年4月から市が主体的に管理・運営している。
 再整備はにぎわいの広場を含むBブロックを対象とする。同グループの提案によると、コンセプトは「ひとも緑も健やかに。~ウェルネスライフの幕開け~」。広場を中心に▽イベントやマルシェを開催するアクティブエリア▽バーベキューや野外活動ができるコミュニティエリア▽ステージイベントを呼び込むステージエリア-の3エリアを設ける。
 広場に開かれた施設として、スポーツテーマとした「Park WEST」、カフェや多目的フィットネススタジオを誘致した「Park EAST」を整備。円形広場に沿って同公園全体と周辺をつなぐ「リングパス」や、明るく快適な緑の園路「コモレビフォレスト」の構想も描いた。




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2024年9月24日火曜日

横浜市/国内最大級2メートル管をくり抜き分岐、西谷浄水場再整備で報道公開

 ◇設計・施工は大成建設JV
 横浜市が進めている西谷浄水場(保土ケ谷区)の全面再整備事業で19日、国内最大級となる口径2メートルの既設管を断水せず新設管に切り替える「不断水分岐工事」が報道公開された。同日は最大の見どころとして特殊な機械や部材を使用し、既設本管をくり抜き新設管と連絡できるようにするための「穿孔(せんこう)」作業が行われた。同工事を含む浄水処理施設全般の設計と施工は大成建設・水ingエンジニアリング・シンフォニアテクノロジー・NJSJVが担当している。
 西谷浄水場は日本近代水道の発祥の地、横浜を代表する水道施設の一つ。市内の中心部に位置し、みなとみらいなど都心臨海部を含め市内給水量の4分の1程度を賄う。そのため断水が許されない状況にある。
 今回の不断水分岐工事では場内を通る口径2メートルの既設本管のうち、新設するろ過池に重なる一部を断水せず新設管に切り替える。敷地の東側と北側でそれぞれ埋設深さ10メートル程度の立坑を構築。8月19日から本格的な分岐作業に着手し、既設本管の上から分岐用の特殊な管やバルブなどを設置した。続いて特殊機械の穿孔機で既設本管をくり抜いた後、機械を取り外し蓋(ふた)を取り付けて完了する手順になる。
 市によると、国内で不断水分岐の施工技術と実績があるのはコスモ工機と大成機工の2社。両社は今回の現場にも2次協力会社として入っており、東側の施工をコスモ工機、北側を大成機工が担当する。いずれも1次協力会社としてデックが参画している。
 同日公開された現場は先行するコスモ工機が施工する東側。断水せず既設本管の任意の場所から分岐管や弁を設置できる、同社特有の「インサーティング工法」が採用されている。同日はほぼ1日がかりで特殊カッターを備えた穿孔機を回転し、既設本管上部からC字型にくり抜く穿孔作業が行われた。同社担当者によると、準備段階では3Dスキャナーを用いて周辺状況を確認してから作業に支障を来さないようにした。
 11月には北側の穿孔作業も行われ、年内には新設管の通水が始まる予定。浄水処理施設全般の整備は2032年度まで続く。
 案内役を務めた同JVの蒲谷大輔監理技術者(大成建設)は「異業種JVの技術を最大限発揮し、水質を維持しながら施工していきたい」と話している。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167280
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スコープ/東日本高速東北支社、夜間工事で新入社員向けOJT

 ◇戸田建設施工の歩道橋撤去現場を見学
 高速道路は産業の発展やまちづくり、観光振興など幅広い分野に波及効果をもたらす。社会・経済活動に欠かせない重要なインフラの整備や維持管理は、技術系や事務系など広範な領域の人材がそれぞれの立場で役割を果たし、力を結集することで成り立っている。東北エリアを所管する東日本高速道路東北支社は、次代を担う人材の育成策として、福島県内で施工している老朽化対策工事で新入社員向けのOJTを実施。マニュアルや机上の研修だけではなかなか身に付かない知識やスキルを実践で補った。
 今春入社の若手社員を集めOJTを行ったのは、東北自動車道の国見IC~白石IC区間にあり、高速道路本線と国道4号をまたいでいる「狐壇(きつねだん)歩道橋」を撤去する工事。歩道橋を管理する宮城県白石市、国道を所管する国土交通省との連携が不可欠な上、昼夜連続した走行車線の交通規制や高速道路と国道の夜間通行止めも実施するなど、道路工事のさまざまな要素を凝縮したプロジェクトといえる。
 戸田建設が施工する「東北自動車道狐壇歩道橋撤去工事」を6月25日、7月30日の深夜に見学したのは、今春入社で配属先が福島管理事務所の木村愛華さん、門脇由歩さん、花田一秀さん、古賀浩輝さんの4人をはじめ東北支社管内で働く新入社員たち。工事は道路の直上で老朽化した長さ約55メートルの歩道橋を切断し撤去する。
 6~9月に計5回、高速道路と国道を夜間通行止めにして作業を実施。午後10時~午前6時という限られた時間で決められた工程を完了する必要があり、福島管理事務所の茅原佑樹所長は「全体をマネジメントするには丁寧な事前準備が重要になる」と話す。
 事前に決めた段取りを緊迫感が漂う深夜の現場で着実に消化していく工事関係者。普段は総務で働き、初めて夜間工事に立ち会った木村さんは「近隣にお住まいの方が家族連れで見学に来られるなど、関心の高さを知ることができた。今回の経験を生かし、より多くの人に高速道路の役割や事業の目的を伝えたい」と話した。
 現場では巨大な歩道橋を切断・撤去するため、道路上で大型のクレーンを組み立て、ベント設備と仮設桁を設置し作業を行った。仮設構造物を支える地面の耐力を十分に確保しつつ、万が一の地震に備えた対応も必要なため、作業前には地盤を入念に調査し地盤改良も行った。
 「クレーンで橋桁をつり上げ細かく調整しながら橋桁を設置する作業は緊張感があった」と話すのは管理部門に在籍する門脇さん。工事を間近で見て「安全対策の重要性を実感した」といい、「交通管理や道路管理の業務は社外の方と接する機会も多い。管理課が果たすべき役割をしっかり学びたい」と気持ちを新たにしていた。
 工事は上部工の撤去を終え、今後、橋台や橋脚など下部構造物を取り除く工程に移る。現場の指揮を執る戸田建設の高浜誠作業所長は工事の難所をクリアしたことに安堵(あんど)しつつ、今後を見据え「交通量が多い中で第三者災害、周辺への配慮を怠らず最後まで安全対策を徹底する」と気を引き締めていた。
 発注者と受注者という立場の違いはあっても、工務部門で技術者として歩み始めた花田さんにとって、高浜所長から学ぶことは少なくないはず。「打ち合わせや調整など万全の事前準備があってこそ安全に作業ができると実感した」と花田さん。「交通量の多い福島管内で経験を積み土木技術者として視野を広げたい」と前を向く。
 夜間工事の見学は施設部門で働く古賀さんにも貴重な経験で、「時間や工事進捗を逐一確認している点が印象的だった」そう。将来的には「工事の発注から竣工まですべての工程に関われるようになりたい。先輩の仕事を見て聞いてしっかり学び、挑戦する姿勢を持ち続けたい」と意気込んでいた。
 高速道路の工事は多くの関係者が連携して計画を練り上げ、緻密に工程を組み立て、安全を最優先にして作業を前に進めていく。沿線住民や道路利用者の理解と協力も欠かせない。東北エリアでは数多くの工事が各地で同時進行し、計画中の事業も多数ある。
 プロジェクトを支えるのは人。経験に裏打ちされた知識を若手にしっかりと伝え、実務を通じて成長を後押しすることは組織の将来にとっても極めて重要だろう。「社員全員が高速道路事業に社会的意義を感じ業務に当たる」(茅原所長)ためにも、OJTの充実は欠かせないといえる。




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国交省/住宅税制のEBPM推進へ有識者会議が初会合、25年夏に中間まとめ

 国土交通省は住宅税制のEBPM(証拠に基づく政策立案)を推進するため、政策の効果を検証する有識者検討会を立ち上げた。住宅ローン減税や固定資産税の減額措置などが、いかに住宅の購入につながったのかを分析していく。2025年夏にも中間取りまとめを公表する。
 20日に「住宅税制のEBPMに関する有識者会議」(座長・清水千弘一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部教授)の初会合を東京都内で開いた=写真。冒頭、国交省の楠田幹人住宅局長は「住宅政策の検討に当たり、客観的なデータに基づいて、政策の効果をしっかり検証していくことが重要だ。税制を含めて、今後の住宅取得の支援について議論していきたい」と話した。
 会合では、国交省が住宅支援政策の活用状況を報告した。ローンを組んで住宅を購入した際に所得税などの負担を減らす「住宅ローン減税」の23年度の適用件数(推計値)は42万6097件。内訳は新築35万2451件、既存7万2496件、買い取り再販1150件だった。合計の減収額は過去10年で最も高い1兆18億円になった。
 委員からは政策の効果検証として「ローン減税が消費者の行動変容につながり、購入の検討につながったのかを調査すべき」との声が聞かれた。価格の変化に対して需要がどれだけ変化したのかを把握すべきとの声も上がった。
 新築住宅にかかる固定資産税の減額措置は212万戸に適用し、1003億円の減収だった。有識者からは、耐震化率の向上が政策の目的であることから「建て替えによる新築の数を把握していくべき」との指摘や「新築住宅が災害リスクの低い土地に建設されたのか重要」との声も聞かれた。




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物価調査会/土木工事費指数10月から試験公表、9種類で規模・都市別に

 建設物価調査会(白土昌則理事長)は、土木工事費の変動状況や地域差を把握できる指数の公表を始める。「土木工事費指数」として10月から試験的な公表を予定。利用者の意見を取り入れながら本格的な公表に向け作成形態などを整理する。現時点では道路や治水など九つの工事種類ごとに、最大で8区分の工事規模別で指数を作成する方向で準備を進めている。当面は主要10都市に限った公表となるが、将来的に47都道府県の各都市に拡張することも視野に入れる。
 既に公表している「建築費指数」「建設資材物価指数」に続き三つ目の指数のラインアップとなる。以前から寄せられていた現場のニーズに対応した。過去に建設した構造物を現在建設した場合の工事費の算定や、工事期間中の工事費の変動予測、資材価格など工事費に影響を及ぼす変動要因の把握などに役立ててもらう。
 準備中の工事種類は▽公共事業全体▽治水▽道路全体▽道路改良▽道路舗装▽道路橋梁▽道路補修▽下水道▽災害復旧-の9種類。工事規模は▽規模合計▽1000万円未満▽1000万円以上▽5000万円以上▽1億円以上▽5億円以上▽10億円以上▽20億円以上-の最大8区分を用意する。10月から試験的に公表するのは規模合計だけで、2025年4月からは工事規模別でも対応する。
 地域性が異なる都市別にさまざまな工事規模に対応した指数とすることで利用者のニーズに応える。全国統一の指標で工事規模の区分もない国土交通省の「建設工事費デフレーター」とは違った使い勝手を追求する。
 物価調査会が19日に東京都内で開いた「建設物価懇談会」で準備状況を説明し、建設業関連団体などの担当者らに情報提供した。




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新金岡C住宅団地(堺市北区)、マンション建替組合設立/旭化成不レジらが参画

 旭化成不動産レジデンス、大和ハウス工業、長谷工コーポレーションの3社は19日、堺市北区の新金岡C住宅団地を建て替えるマンション建替組合の設立が同市に認可され、15日に総会が開かれたと発表した。建て替えの対象は8棟232戸。敷地を二つに分け、段階的に施工する。3社は事業協力者として参画する。後工区を保留敷地として参加組合員に売却することでマンション建て替え事業の早期完了を目指す。
 計画地は北区新金岡町三丁の敷地1万8056平方メートル。住棟はRC造4階建てで8棟の総延べ床面積は1万3570平方メートル。築56年が経過し、建物や設備の老朽化に加え、今後は空き住居が増加し、管理組合の維持が困難になると予想されている。大規模修繕も必要になる。
 建て替えに向けては2015年2月に検討委員会を設置し、管理組合を中心にコンサルタントや事業協力者の協力を得て、合意形成のための説明会などを重ねてきた。23年3月に建て替えの決議を行い、一部の棟で要件を満たさず否決されたが、その後も合意形成活動を続け、3月の再決議で可決された。アドバイザーはユーデーコンサルタンツが担当する。
 計画では先工区の敷地にある住棟を解体し、後工区の敷地にある住棟の空き住戸を仮住居に充てる。先工区に現入居者用の住棟を建て、事業全体の期間を短縮することで、区分所有者の負担を軽減する。引っ越しが完了後、後工区の敷地を保留敷地として参加組合員に売却し、建替組合の早期解散を目指す。
 参加組合員には旭化成不レジ、大和ハウス工業、長谷工不動産が入り、建物の設計と施工は長谷工コーポレーションが担当する予定。
 新金岡C住宅団地がある新金岡駅周辺エリアは昭和40年代を中心に住宅開発が進んだが、街びらきから50年以上たち、堺市は居住機能に加え、商業や子育て、医療・福祉などの機能を誘導し、定住につながる拠点づくりを推進している。同市の新住宅市街地開発事業内では初の建て替え事業になるという。




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九電工/ビジネスチャット介し生成AIの活用拡大、DXへ取り組み加速

 九電工がDXへの取り組みを加速している。LisBが手掛ける現場向けビジネスチャット「direct(ダイレクト)」を介して、生成AIを用いたチャットボット(自動応答システム)の活用を拡大。初弾として、日常会話のようにチャットに質問を入力すると生成AIが回答する環境を構築した。議事録の自動生成ツールの利用も開始。今後は現場画像から安全面での問題を指摘するツールや、FAQ(よくある質問)に自動回答するツールも取り入れていく方向だ。
 LisBが19日に東京都内で開いたユーザー向けイベントで、九電工が取り組みを紹介した=写真。議事録生成ツールは、会議のテキストデータを取り入れた上で、要約や課題抽出など実施したい作業を選ぶと、自動的にまとめてくれる。社内マニュアルを作成し、周知を進めている。今後は職種別のフォーマット作成などを見据える。
 安全面の課題を指摘する画像解析AIボットは、写真を送るだけで自動的に安全巡回を行うイメージだ。検証段階で、同社の安全巡回の知見などを取り込んで精度を高める。FAQへの自動回答は、安定的に求める回答が出力されるよう開発を進める。同社は夜間などに作業するケースも多く、どのような時間帯でも問い合わせに対応できる体制の構築につなげる。
 九電工はさらなる業務効率化に向け生成AIを活用していく上で、「社員全員がデジタルツールに強いわけではなく普及が難しい」(DX推進部)ことが課題だった。このため同社で1万人以上が利用し、協力会社の職長なども使っているダイレクトを用いることにした。「生成AIは可能性に満ちあふれている。社内に浸透しているダイレクトを通じて取り組めることが大きい」(同)との見解を示した。




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2024年9月20日金曜日

回転窓/荒川放水路通水100周年

 東京都内で14日に遠泳大会が開かれた。舞台は荒川。川泳ぎの猛者たちが1・5キロを泳ぎ切った▼東京・下町の方にとって荒川は原風景の一つかもしれないが、その歴史は浅い。理由は人工的に造られた川だから。きっかけは1910年に発生した大洪水だ。堤防の決壊などが相次ぎ東京水没と言われる事態となった▼甚大な被害を教訓に明治政府が人工河川として整備したのが現在の荒川放水路。パナマ運河建設に従事した土木技師の青山士が陣頭指揮を執った。「この世を私が生まれた時よりもより良くして残したい」。青山はこの言葉をモットーにしていた▼荒川と隅田川の分岐点には、増水時に流量を調節する岩淵水門(東京都北区)を設けた。現在は2代目が活躍中だ。当初整備された初代水門は8月、重要文化財に指定された▼来月12日は通水開始100周年の節目。水門周辺で安全祈願や企画展示、見学・体験会などのイベントが予定されている。これまで一度も決壊することなく流れ続け、沿川都市の発展を支えてきた。この当たり前をしっかり引き継ぐ--。そうした決意を現代に生きるわれわれは持ち続けるべきだろう。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167207
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近畿整備局ら/大阪湾岸道路西伸部連絡会議が初会合、関係5者で進捗共有

 大阪湾岸道路西伸部の事業進捗状況を関係5者で情報共有する「大阪湾岸道路西伸部事業連絡調整会議」が18日に発足し、神戸市内で初会合が開かれた=写真。事業主体の近畿地方整備局浪速国道事務所(事務局)と同神戸港湾事務所、阪神高速道路会社が事業の経緯や施工上の課題への対応状況などを報告。兵庫県と神戸市から事業者に事業スケジュールの情報共有などが要望された。
 会合には近畿整備局から田中倫英道路部長と古土井健港湾空港部長、阪神高速会社の大儀健一計画部長、兵庫県の宇野文章土木部次長、神戸市の長谷川憲孝港湾局長ら関係機関の幹部が出席した。
 事務局側は2016年度の事業化から23年度の海上部橋梁(新港・灘浜航路部)の基本構造決定までの経緯を説明。24年度は新港・灘浜航路部で直轄港湾事業による杭載荷試験、六甲アイランド地区では有料道路事業で橋梁下部工、直轄道路事業で橋梁上下部工を実施中であることを報告した。
 施工上の課題対応として、六甲アイランド地区で地質調査の結果、地震に対する抵抗力を確保するため下部工の大型化や杭本数の増加など橋梁構造を見直し、工事を進めていることを報告。新港・灘浜航路部では海底断層の影響を踏まえ、19年度に橋梁形式を5径間連続斜張橋に変更、基礎の詳細設計を経て施工検討中であることを説明した。
 同航路部の上下部工は耐風・耐震対策を見直しつつ、今秋に詳細設計に着手する予定を示した。阪神高速会社によると現在はECI方式で行う詳細設計の委託先の契約手続き中という。
 西側区間のポートアイランド地区や海上部橋梁(神戸西航路部)、和田岬地区は現段階で詳細設計が未完了。今後は海上部橋梁の基本構造検討や、地質調査を踏まえた構造物の耐震・耐風対策の検討が必要とした。
 連絡調整会議は必要に応じて今後も随時開催する予定。




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北海道倶知安町/プール絵本館複合施設、概算事業費37億円・25年6月着工めざす

 北海道倶知安町は、老朽化が進む町営プールと青少年センター(絵本館)、世代交流センターを一体で建て替える「倶知安町営プール絵本館複合拠点施設」の基本設計をまとめた。新施設はRC造2階建て延べ2468平方メートルの規模で、概算事業費に37億6410万円(税込み)を試算。2025年6月の着工、27年3月末の完成を目指す。
 旭37の1にある町営プール(SRC造平屋一部2階建て延べ977平方メートル)は1981年竣工で老朽化が進み、耐震性も不足している。また町内2カ所の学校プールも老朽化に伴い利用を休止しており、学校授業での活用も想定した新プールの整備が必要となっている。南3条東4にある青少年センター(S造2階建て延べ502平方メートル)は67年竣工、世代交流センター(S造2階建て延べ1221平方メートル)は69年竣工といずれも老朽化が進んでいることから、これらを一体化し複合拠点施設を整備する。
 基本設計・実施設計は山下設計が担当。建設地は南3条東4で青少年センターと世代交流センター、文化財保管庫を解体し、跡地に複合拠点施設を建設する。施設は敷地西側に寄せた配置とし、中央に一般駐車場と「みどりの広場」、建物北側に駐輪場と利用者の憩いの場となる「ポケットパーク」、建物南側にバックヤードと職員駐車場、大型バス待機場を整備する。
 新施設はRC造2階建て延べ2468平方メートルの規模を想定する。プールは25メートル×7レーンのメインプールと6メートル×4メートルの幼児用プールを整備。絵本館は開架書庫3万1260冊、閉架書庫7560冊の計3万8820冊の蔵書を計画する。
 環境面では高性能断熱材高性能サッシ、外断熱工法の採用など省エネルギー化を図るとともに、太陽光発電や地中熱ヒートポンプなど再生可能エネルギーも導入し、ZEB Oriented相当の実現を目標とする。
 概算事業費(税込み)の内訳は、建設工事費に29億9240万円(うち建築工事19億8610万円、電気設備工事2億7450万円、機械設備工事7億3180万円)、設計・工事監理費に1億7550万円、外構整備費に1億5070万円、解体工事費に3億7670万円、備品費に6880万円を見込む。
 今後は25年3月末までに実施設計を完了し、同6月の着工、27年3月末の完成を目指す。その後、外構工事を進め、工事全体は27年10月末の完了を予定している。




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竹中工務店ら/円滑に移動式クレーンを遠隔操作、運転席を忠実に再現

 竹中工務店はタダノ、建設会社のアルモ(高松市、河田宣人社長)と共同で移動式クレーンの遠隔操作システム「CRANET(クラネット)」を開発した。高松市に設けた専用コックピットから約70キロ離れた徳島市内の建設現場にある移動式クレーンを操作し、材料の移動や積み込み、積み下ろし作業が円滑に行えることを確認。12月まで試験運用を行い、2025年度中の本格運用を目指す。
 クラネットのコックピットは実際の移動式クレーンの運転席を忠実に再現。運転席周りに設置した複数のカメラ映像をリアルタイムで専用モニターに表示し、揚重物を目視確認しながら操作する運転席と遜色のない作業環境を実現した。モニターには動作信号や異常信号を常時表示する。
 作業状況に応じて建設現場内を移動するクレーンに対応するため、通信システムは光ファイバーなどの有線を使わない完全無線通信を採用。クレーン操作に必要な高速で安定した通信環境を確保する。データ通信規格は最新の移動式クレーンの情報信号に使われるCANに対応している。
 オペレーターは建設現場に出向く必要がなく、事業所内で身体に負担をかけず快適に作業が行える。移動時間の短縮など働き方改革の推進に加え、事業所内に複数のコックピットを設置すれば熟練オペレーター1人で多数の若手オペレーターを指導教育できるなど、次世代への技術伝承や建設業界の魅力向上にも貢献する。将来的には他の工事用機械への適用も視野に入れる。




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2024年9月19日木曜日

回転窓/待ち遠しい開幕

 来年4月13日に開幕する2025年国際博覧会(大阪・関西万博)で、日本発の出展内容や店舗が明らかになってきた▼一つは日本博覧会協会と協賛企業・団体が出展する「未来の都市」をテーマとした最大級パビリオン。巨大模型や最先端の映像技術を活用し、未来の水中工事や二酸化炭素(CO2)を吸収し続けるカーボンプール(CP)コンクリートを用いた社会が疑似体験できる▼出展場所は未定だが、日本政府は国内で保管している世界最大級の火星由来の隕石(いんせき)を初めて一般公開する。1970年の大阪万博では、米国館のアポロ12号が持ち帰った「月の石」が注目を集めた。宇宙開発の対象が月から火星へと広がる時代の変遷を実感できそうだ▼来場者には食事も楽しみ。インバウンドからも人気の大手回転すしチェーン、くら寿司は135メートルの回転レーンを備えた店舗を出す。万博の参加国・地域にちなんだ料理も提供される▼会場の建設現場ではシンボルとなる1周約2キロの大型木造建築物「大屋根リング」がつながり、13日に記念式典が開かれた。開幕まで半年余り。万博という夢の空間を訪れるのが待ち遠しい。




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東京・中央区/無電柱化推進計画を24年に策定、優先整備路線で地中化加速

 東京・中央区は区内道路の無電柱化を加速するため「中央区無電柱化推進計画」(2024~33年度)を年内にも策定する。区内道路では約半数で無電柱化が完了。ただ国道や都道が先行する一方、区道は遅れており、大規模災害時に道路閉塞(へいそく)が懸念される。区は優先整備路線12路線を選んでおり、今後共同溝の整備を急ぐ方針。計画期間内は年平均329メートルのペースで進め、期間末に約3・3キロで地中化完了を目指す。
 区内では銀座エリアなどを中心に1950年代以降、電線管理者による無電柱化が進んだ。3月末時点で区内の道路183キロのうち、約46%に当たる86キロが完了している。うち国道と都道の進展率は100%。一方区道で整備を終えたのは156キロのうち58キロで、進展率は約4割にとどまる。
 区道には歩道幅員が2・5メートル未満の道路もあり、地上機器の設置スペースが取れないため進展率はどうしても上げ止まる。歩道幅員2・5メートル以上の道路だけ見ても進展率9・1%と低い。区は3月、設置可能な道路の中から優先整備対象を選定。東京メトロ半蔵門線水天宮前駅周辺を通る「中日第243号線」など12路線が対象で、計画期間内に共同溝の整備を集中的に進める。
 歩道幅員2・5メートル未満の道路でも沿道の市街地再開発事業などと連携し、地中化を模索する。公開空地が生まれれば、地上機器が設置できる可能性がある。区は区条例に基づく協議で電線地中化を促したり、東京都の「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」に基づく協議で働きかけたりし、民間と連携しながら地中化を促進する。
 こうした取り組みを通じ、24~28年度の5年間で1159メートル、29~33年度の5年間で2136メートルの整備完了を目指す。それでも完了するのは全156キロのうち62キロにとどまり、区は34年度以降も地中化を継続する。
 電柱は開発に伴って新設されるケースもある。13年の道路法改正では占用物が緊急輸送道路や避難路をふさぐ恐れがある場合、道路管理者が区域を指定して占用を禁止・制限できる制度を新設。区も制度を活用した、電柱新設の制限を検討している。




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野村不ら/天神二丁目北(福岡市)で新たに3棟解体、竹中工務店で着手

 野村不動産らは、福岡市中央区の天神明治通り地区の「天神二丁目北ブロック」で新たに3棟のビル解体工事に着手した。施工はいずれも竹中工務店で、工期は2025年11月末まで。同地区では、3棟の敷地に隣接する「福岡天神センタービル」(敷地面積約4100平方メートル)の建て替えに向けた解体が竹中工務店の施工で行われており、一体的な整備が期待される。事業計画は関係者間で協議中で、25年中の公表に向けた準備を進めている。
 解体対象は野村不所有の「野村不動産天神ビルI」(敷地面積約80平方メートル)と「同II」(同約90平方メートル)、野村不と竹中工務店が発注者となっている「伊藤ビル」(同約380平方メートル)。
 福岡天神センタービルでは23年9月から解体が進んでいる。工期は今回着手した3棟と同じ25年11月末まで。建て替えに当たっては、市によるビル建て替え誘導プロジェクト「天神ビッグバン」の容積率緩和措置(天神ビッグバンボーナス)の適用を目指している。
 天神二丁目北ブロックは、南北を明治通りと昭和通り、東西を渡辺通りと都市計画道路舞鶴薬院線に挟まれた12、13、14番街区の計約2・9ヘクタールが対象区域。センタービルなどがある14番街区の最大容積率は700%。市の地区計画によると、容積率の最高限度は900%に変更し、まちづくりの取り組みに応じて最大1300%まで緩和する。
 明治通り沿いの天神地下街につながる幅4メートル、長さ約240メートルの地下歩行者通路を整備。現在、センタービルがある付近には幅4メートルで地下部の長さ約25メートル、地上部の長さ約35メートルの南北歩行者通路を設け、通路北側に地上500平方メートル、地下100平方メートルの立体広場を整備する。
 建物のセットバックでは敷地境界線から建物外壁までの距離の最低限度を区域の西側と南側の明治通り沿いは2メートルに制限。屋根や外壁などは周辺の環境と調和するよう形態や意匠、色彩に配慮する。




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NEDO、住友大阪セメント/低炭素型半たわみ舗装材を開発、CO2排出量58%削減

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と住友大阪セメントは「次世代低炭素型半たわみ性舗装」の開発と試験施工に成功した。NEDOのグリーンイノベーション基金事業を活用して開発。セメント製造から施工、供用、廃棄までのライフ・サイクル(LC)全体で、従来の半たわみ性舗装に比べ二酸化炭素(CO2)排出量を約58%削減する。開発にはNIPPOが協力。引き続き試験施工を重ねるとともに、CO2削減率の向上を目指し開発に取り組む。
 住友大阪セメントが18日に東京都内で会見し発表した。新技術は半たわみ性舗装用セメントミルク材のセメント中のクリンカ比を3~4割低減し、CO2排出量を削減する。カルシウムを含む廃棄物と、セメント工場の排ガス中のCO2から製造した人工石灰石を用いて固定化も図る。人工石灰石は半たわみ性舗装用セメントミルク材に用いるカーボンリサイクルセメントの増量材と、開粒度アスファルト混合物の骨材の一部として使用する。
 炭酸化反応を従来品の2倍以上に高めることで、舗装の施工、供用両段階でのCO2固定量も向上。供用限界の20年を経過した後は解体し、路盤材などとして再利用する。半たわみ性舗装内部に固定された大気中のCO2は半永久的に固定される。
 住友大阪セメントは、これまでに国内で半たわみ性舗装が公共、民間合わせ年間50万平方メートル以上施工されていると推計する。この全てを今回開発した舗装に変更することで、年間2000トン、20年で4万トンのCO2排出を削減できると試算。炭素も年間130トン、20年で2600トン除去できると見込む。
 同日の会見で、同社の小堺規行常務執行役員セメント・コンクリート研究所長兼サステナビリティ推進室長は「こうした次世代低炭素型半たわみ性舗装は世界で初めてであり、日本が発信できる技術になる」と強調した。




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日本道路四国支店/女性が使いやすいトイレ考案、現場配属を機に課題洗い出し

 日本道路四国支店(岩崎秀紀支店長)が誰もが働きやすい職場づくりに力を入れている。これからスタートする高速道路の舗装補修工事の現場に女性技術者を配置するのに合わせ、現場の課題を洗い出し。女性にとって既存のトイレは使いづらいとの声を受け、専用トイレを導入することにした。=1面参照
 トイレカーで多くの実績を誇る日本道路グループのエヌディーリース・システム(東京都港区、大野智教社長)が展開する自走式快適トイレ「トイレカーNEO」を改良した。1500CCライトトラックのベースは踏襲しつつ、外観からトイレの表記を外すなど利用者に配慮。内装には四国支店の社屋と同じ木目調を採用した。扇風機やポータブルバッテリーを搭載するなど、居心地の良さも追求した。
 18日に高松市の支店に西日本高速道路四国支社の関係者らを招き、「トイレカーNEO For Women」をお披露目した。10月にも同社発注の「令和6年度高知自動車道高知高速道路事務所管内舗装補修工事」の現場に配備される。一般道に比べトイレの確保が難しいとされる高速道路の現場。初めて現場を率いる支店の亀山かすみ現場代理人・監理技術者は「普段使いのできるトイレが導入されて嬉しい」と話す。




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2024年9月18日水曜日

回転窓/セカンドキャリアで輝く

 パリ五輪・パラリンピックを競技生活の集大成として臨んだ選手は少なくない。結果が振るわずとも涙を見せず、周囲を気遣ってか笑顔でいるベテラン選手の姿には胸を打たれる▼現役生活に幕を下ろしたアスリートのうち、指導者や解説者などこれまで蓄積したスキルが生かせる仕事に就くのは一握り。多くが異なる分野でセカンドキャリアを形成せざるを得ないという▼文部科学省が五輪やパラリンピックなどに出場した日本代表選手の教員登用を支援すると発表した。教員免許を持っていなくても、優れた専門性を持つ人に都道府県が教科限定の免許を与える「特別免許状制度」の仕組みが活用される▼文科省が教職に関心のあるアスリートのリストを作成し、同制度の活用を自治体に促す。公立学校で採用を決めた場合、2025年度から教員定数を増やす措置も予定。世界の大舞台で活躍した経験と知識を教育に生かしてもらいたい▼転職しやすい柔軟な労働市場へと変わりつつある。こうした状況を人手不足克服の好機とするため、異業種から転職する人も新たなキャリアで輝いていける産業にならなければいけない。




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2024年9月17日火曜日

マンガで防災意識向上を/本紙・阪本繁紀記者が東日本大震災テーマに作品制作

 マンガを通じて地域の防災・減災への意識を高めたい--。東日本大震災をテーマにした漫画作品『ある光』を8月に出版した東京都中野区の漫画制作サークル「和歌山下津漫画制作同好会」。同好会の代表で、日刊建設工業新聞社編集局の阪本繁紀記者がプライベートの時間を使って取材や制作を進めてきた。今後南海トラフ地震で津波被害が見込まれる地域を中心に、防災学習に役立てるなど、防災・減災や復興まちづくりに対する意識を深めてもらいたいとの願いを込めている。
 主人公は東北沿岸で暮らす音楽好きの女子高生。将来に葛藤を抱きながらも、家族や友人の後押しで夢を追う決心をする。そうした日常が2011年3月11日を境に一変。大地震と巨大津波が、親しい人たちの命と、思い出の詰まったふるさとを奪い去る。主人公は悲しみを受け止めつつ自分の進むべき道を歩み、成長していくストーリーだ。
 物語は「いわき震災伝承館みらい館」(福島県いわき市)や、同市の語り部の会、地方自治体の職員、元自衛官などへの取材を基に組み立てた。震災後に東北沿岸で進められた高台造成事業や復興道路・復興支援道路の整備、復興まちづくりなどの取り組みにも触れている。
 8月に南海トラフ地震の臨時情報が発令されるなど、大地震や巨大津波による災害リスクへの対応が急務となる。作品は地域の未来を担う若い世代にも読みやすいよう、マンガ形式を採用。主人公の視点から震災の恐ろしさや苦難、未来への希望を実感してもらえるよう構成している。
 問い合わせは同会のメール(KisyuProspers@gmail.com)へ。

関東地方整備局利根川上流河川/埼玉県加須市で治水の日慰霊・継承式典開く

 ◇カスリーン台風の教訓語り継ぐ
 関東地方整備局利根川上流河川事務所は13日、第30回「治水の日」慰霊・継承式典を埼玉県加須市のカスリーン公園で開いた。1947年9月のカスリーン台風による犠牲者を弔い、教訓を語り継ぐ式典。当時利根川が決壊した場所に立つ「決潰口跡の碑」に遺族が献花し参加者全員で黙とうをささげ、犠牲者を悼んだ。加須市、久喜市の両市長と利根川上流河川事務所長が、同じような水害を二度と起こさないよう連携して取り組むとする決意文を読み上げた。
 国土交通省は利根川が決壊した9月16日を「治水の日」と定め、1992年から毎年式典を開き、犠牲者の冥福を祈るとともに災害の教訓を後世に伝えている。式典はコロナ禍による中断があったものの、今年で30回目の節目を迎えた。
 式典で岩崎福久関東整備局長は「気候変動により、いつ大規模な水害が発生してもおかしくない。流域のあらゆる関係者が水害を我がことと捉え、流域治水に取り組むことが重要だ。関東整備局としても地域の安心安全のため、過去の水害からの強い思いを受け止め防災・減災の取り組みを強力に進める」と力を込めた。その上で「7月に利根川水系の河川整備方針を改定した。荒川水系でも早期に見直しができるよう検討を進めたい」と語った。
 加須市の角田守良市長は「われわれは過去の教訓から学び、不断の努力を続けていかなくてはならない。利根川、渡良瀬川のさらなる治水対策に、国、沿線自治体と連携し、ハード・ソフト両面から取り組んでいく」と話した。




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回転窓/海を渡ったリンゴ

 果物の中でもリンゴがおいしい季節を迎えた。近くの店には早生種の「サンつがる」「きおう」が並び、これから収穫時期の異なる多くの他品種も出荷されていく▼品種ごとに生食やジュース、お菓子に適するなどの個性を持つリンゴ。甘味と酸味の強弱が示された食味チャートを見れば、自分好みの品種を選ぶことができる▼約90年前の1931年10月、青森県三沢村(現三沢市)の淋代海岸から「ミス・ビードル号」で太平洋無着陸横断初飛行を目指して出発する米国人飛行士2人に、村人が手渡したのは地元のリンゴ「紅玉」。そして横断飛行が成功すると、特設滑走路の整備など村人たちの献身的な協力に対し、返礼としてリンゴの穂木5本が贈られた▼その品種は鮮やかな紅色をした果皮の米国産「リチャードデリシャス」。穂木は県のりんご試験場で品種改良に利用され〈「リンゴ王国青森」の基礎を築いた〉(テイクオフみさわホームページより)という▼収穫の秋は台風などの風水害が多い季節でもある。リンゴが取り持った両国親善の史実に触れながら、各産地の“秋の実り”が被害を受けないよう願うばかり。




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デジタルライフライン実現会議/25年春に工程表や指針作成、インフラ管理DX推進

 政府がインフラ管理などにデジタル技術を駆使する取り組みに一段と力を入れる。関係省庁は12日、第2期デジタルライフライン全国総合整備実現会議(議長・齋藤健経済産業相)の初会合を開き、デジタル技術を社会実装するための具体策やルールを定めるロードマップ、ガイドラインを来春に策定する方針を確認した。地下インフラの空間情報をデジタル化し、相互共有や業務を自動化するインフラ管理DXなどを進める。
 同会議は国土交通省などの関係省庁と学識者、企業関係者で構成。政府の「デジタルライフライン全国総合整備計画」は第1期の実現会議が検討し、約10年間を想定した計画として2023年度に決めた。第2期は第1期から取り組むインフラ管理DX、ドローン航路、自動運転サービス支援道、奥能登版デジタルライフラインの四つの運用などを踏まえ、全国展開への対応を整理。各省庁と連携し、フォローアップワーキングや関連検討会で議論する。
 インフラ管理DXはさいたま市と東京都八王子市の200平方キロメートル以上で地下の通信や電力などの空間情報をデジタル化し相互共有などを進める。埋設物の照会、応急復旧への活用などを想定。インフラ関係会社が参加し相互共有のためのインフラ管理DXシステムの仕様策定と設計・開発などを行う。設備情報を統一フォーマットで管理する仕組みの整備や、システムの運用主体・方法も検討する。
 ドローンは運航と航路を巡る検討を進める。1級河川沿いの通信環境や離発着場の仕様などを議論しつつ、河川巡視・点検業務の一部をドローンの映像やAI分析で代替する対応の在り方も詰める。既に国交省の地方整備局などが映像を取得する経路の手引を策定するための実証試験の準備に入っている。
 自動運転は新東名高速道路・駿河湾沼津SA~浜松SA間の優先レーンと、茨城県日立市大甕駅周辺でデータ収集や実装を促しながら、優先レーンの有効性なども検討する。奥能登は地震の教訓を生かし、被災者管理やドローン利用の取り組みを進める。
 それぞれに短・中長期の重要業績評価指標(KPI)と重要目標達成指標(KGI)を設ける。インフラ管理DXは全国の主要都市50カ所で展開、ドローンは1級河川上空(約1万キロメートル)、送電網上空(約4万キロメートル)の航路設定などを視野に入れる。10年間の経済効果は2兆円を見込んだ。




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東建/土日一斉閉所実現へ東京経営者協会に要望、民間発注者への活動強化

 東京建設業協会(東建、乘京正弘会長)は現場の土日一斉閉所の実現に向けて民間発注者への要望を強化する。12日に東京経営者協会(冨田哲郎会長)に土日閉所の取り組みの後援を求めた。東建の会員企業は受注工事の8割以上を民間工事が占める。公共工事と比べて民間工事は4週8閉所の取り組みが低調であることを踏まえ、民間企業による組織や団体に建設業の働き方改革に対する理解を呼び掛ける。
 同日、乘京会長、清水琢三副会長が都内で東京経営者協会の冨田会長に面会。東建による土日一斉閉所キャンペーンの後援に関する依頼書を手渡し、キャンペーンの内容について会員企業にも周知することを求めた。面会後、取材に応じた乘京会長は「建設業の現状について理解していただけた」と手応えを実感。清水副会長は「残業や担い手の確保といった課題は認識していただけている。少しずつ理解を広げていきたい」と語った。
 全国建設業協会(全建)、日本建設業連合会(日建連)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体は建設現場の土日一斉閉所に向けて共同で「目指せ!建設現場土日一斉閉所」運動を展開している。全建傘下の東建は「東京キャンペーン」と称して公共・民間を問わず4週8閉所、土日閉所の完全週休2日の実現を目指している。
 東建は東京経営者協会を皮切りに民間発注者への要望を続けていく考え。東京商工会議所への要望も予定している。




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高知工科大/データ&イノベーション学群新学舎整備(高知市)、10月着工

 高知工科大学は、永国寺キャンパス(高知市永国寺町2の22)に計画しているデータ&イノベーション学群新学舎の建設工事に10月1日に着手する。S造5階建て延べ約4300平方メートルの規模で、文理統合型のDX人材を育成・輩出する産学官連携拠点となる。2026年2月の完成を目指す。
 設計は内藤建築事務所・杢建築事務所JV、施工は建築主体が宮崎技建・三谷組JV、電気設備は荒川電工・高知クリエイトJV、機械設備は高知クリエイト・関西設備JVが担当。
 地域連携棟の東駐車場に建設する。1階はコワーキングスペースとプレゼンテーションコート、2階は討議スペースで3~4階が学生研究スペースとなる。設計費は7810万円(税込み、以下同)、3工事合わせた建設費は19億5910万円。
 蝶野成臣学長らが出席し12日に建設地で安全祈願祭が行われた。26年4月の供用開始を予定している。データ&イノベーション学群は4月に開設した。1期生は62人。




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SalesMarker/アクセス履歴から潜在顧客を把握、効率的な営業を後押し

 SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を手掛けるSalesMarker(セールスマーカー、東京都港区、小笠原羽恭代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)が、インターネットのアクセス履歴などを生かして営業活動につなげる「インテントセールス」と呼ぶ新たなソリューションを展開している。企業データベース(DB)やウェブ上での行動履歴データを用いて、自社サービスを求める潜在顧客を調べることが可能。広告やメールの配信などと連携しながら、効率的な営業を後押しする。
 同社が展開するソリューション「セールスマーカー」は、売り込み先となるような企業のウェブ検索行動からニーズを把握し、アプローチできる。例えば「営業支援ツール」など自社サービスにつながるキーワードを入力すると、近い時期に何度も検索している企業を調べることができ、高いニーズを持っている可能性がある企業を見つけ出せる。独自のアルゴリズムで分析して購買意欲を把握し、確度の高い営業につなげてもらう。
 活用する企業DBは510万件規模、ウェブ行動履歴データは50億件規模となっている。企業の部署単位や人物情報のDBも用意しており、直接電話するような対応も支援する。顧客関係管理ソリューション「Salesforce」などのツールとも連携可能で、総合的な営業・マーケティングを実現する。
 建設プロジェクトなどの営業活動では、より上流の段階で情報を把握することが重要と言われている。同社は「施主のニーズをいち早くキャッチすることで有利に入り込むことができる」(担当者)とみており、建設業界でも積極的に展開していく方向だ。




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2024年9月13日金曜日

電設協/札幌市で会員大会開く、魅力ある電設業へアクションプラン推進

 日本電設工業協会(電設協、文挾誠一会長)は12日、札幌市中央区の札幌パークホテルで2024年度会員大会を開いた。全国各地から会員約500人が参加。大会前の臨時総会・理事会で新会長に就任した文挾会長=写真=は「業界の喫緊の課題である担い手不足に対応するためには、業界横断的な取り組みによって多くの課題を解決し、魅力ある電設業界をつくり上げる必要がある」と述べ、5月に策定した第4次アクションプラン推進へ機運を高めた。=1面参照
 文挾会長は「われわれ電設業はいかなる状況下でも社会生活を維持するために必要な職業で、その従事者はエッセンシャルワーカーとしてAIに取って代わることはできない」と電設業界の重要性を強調。その上で「多くの若い世代が社会から必要とされている電設業界に入ることを選択し、モチベーション高く、働くためにも第4次アクションプランは断固たる決意を持って着実に進めなければならない」と会員一丸となった取り組みを呼び掛けた。
 大会では本年度のスローガンを「新たな電設業界の構築に向けて第4次アクションプランを始動させよう」とすることを決議。▽主張すべきことは、主張しよう▽疑問に思っていることは確認し解決しないなら提言しよう▽課題解決のためにはほかの組織とも連携しよう-の三つの心構えの下、アクションプランで掲げる▽働き方改革を深化させる▽多様な人材確保・育成と処遇改善方策を強化する▽生産性向上・省エネ・脱炭素化などGX実現に貢献する新技術の開発・普及に積極的に取り組む▽受発注者間の対等な関係の構築に向けた条件整備と関係者・関係期間とのコミュニケーションを充実させる▽会員サービスを充実させるとともに、広報・広聴活動を強化し社会への発信力を強化する-の五つの重点取り組み事項を推進することを採択した。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167051
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回転窓/デジタルネイティブの変化

 米アップルがiPhoneの新機種を20日に発売する。独自の生成AIを組み込み、多彩な新機能を搭載するそうだ▼電話の通話終了時に重要なポイントを要約する機能を用意。自然言語を使って特定の写真を探すことも可能に。撮影した画像の整理作業が楽になりそう▼2010年以降に生まれた「α世代」の65%は、中学生になるまでにスマートフォンを所有している--。マーケティング・リサーチを手掛ける日本インフォメーション(東京都中央区、斎藤啓太社長)が10日発表の調査結果だ。Z世代より確実に早まっている▼α世代にとっては、プログラミング教育も当たり前。時代とともに変革の主人公は移り変わる。デジタルネーティブ世代の中でも、AIなどへの対応力に差がついていくだろう▼スマートフォンが席巻しているが、こうした状況がいつまで続くかは不透明。脳へのチップ埋め込みはもう少し先だろうが、ウエアラブル端末が中心となる世界は近そうに思える。中高年層から「付いていけない」とぼやきが聞こえそうだが、手書きからパソコンへの進化に応じてきたはず。変化を楽しむ姿勢で臨みたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167046
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国交省・藤巻浩之水管理・国土保全局長/流域治水の旗振り役に

 国土交通省水管理・国土保全局長に7月就任した藤巻浩之氏は12日、日刊建設工業新聞など専門紙の取材に応じた=写真。能登半島地震をはじめ自然災害が頻発する中、「被災地の創造的復興をインフラの分野から支えていきたい」と抱負を語った。気候変動による降雨量の増加などを踏まえ、国が「旗振り役」となり流域治水をけん引していく考えも示した。
 2018年度から継続してきた国土強靱化施策について、これまで発生していた河川の氾濫が減るなど「効果が出ている」と手応えを語る。一方、降雨量の増加で想定を上回る被害も出てきているとして「取り組みの効果が目減りしないよう、流域治水をさらに進化させていきたい」という。
 具体的にはダムや遊水池を新たに整備するだけでなく、既存施設の機能強化も推進し、防災力を高めていく考えを示した。災害リスクの低い場所への集団移転など、地方自治体や住民と連携した防災の重要性も強調。「他の人の力を借りながら、あらゆる手段を駆使して治水安全度を向上させていきたい」と語った。
 治水だけでなく、利水や環境との一体的な取り組みを進める「流域総合水管理」にも力を入れる。兵庫県豊岡市の円山川では洪水対策に並行して湿地を整備。コウノトリの繁殖地となり、地元に経済効果が波及した。「それぞれの流域、河川の特性に応じて強みを生かす」ことを念頭に置き、「治水、利水と環境のウインウインの関係をつくっていきたい」と話した。
 河川国道事務所長を務めるなど、建設業界とも「一体不可分」のキャリアを歩んできた。工事現場の課題を発注者が把握する重要性を指摘。受注者への聞き取りを含め「現場の河川国道事務所に頼りにしてもらえるような組織運営をしていきたい」と述べた。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167049
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静岡県/新県立中央図書館整備、9月補正予算案に債務負担268億円設定

 静岡県は、東静岡駅南口の県有地に全面移転する新県立中央図書館整備事業について、9月補正予算案に267億9800万円の債務負担行為(2025~27年度)を設定した。10月11日に閉会する9月定例議会の議決を経て速やかに入札公告の手続きに入る。建設資材価格の高騰や働き方改革などの要因を反映し工事費を精査したほか、工期も当初より2カ月程度延長した。28年7月ごろの開館を目指す。
 施設はS造9階建て延べ約2万平方メートル。従来の図書館の枠を越え、子どもから大人までが「学び、交流し、創造する」新たな知の発信拠点とする。新たな機能として1~2階を交流機能とし、イベントやセミナールーム、会議室、実験室などを配置。図書館で借りた本を参考に実験や料理などが行えるスペースを設置した。屋外で読書ができるテラスも各階に設ける。ルーバーや床、本棚などには県産材を活用する。3階はペデストリアンデッキで東静岡駅と接続する。
 収蔵能力は約200万冊(現施設は約90万冊)、開架冊数は約80万冊(同約20万冊)。想定来館者数は年間約100万人を見込んでいる。設計や備品、システム費などを含めた総事業費は約298億円。建設地は静岡市駿河区東静岡2。駐車場を含めた敷地面積は約2・4ヘクタール。基本・実施設計はC+A・アイダアトリエ・日建設計(エンジニアリング)JVが担当。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167053
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大成建設/建設事業の環境への影響を可視化、30年度までに事業の3割で適用へ

 大成建設は2026年度までに、建設事業が自然環境に及ぼす影響を定量評価する「ネイチャーポジティブ(NP)手法」を確立、運用する。自然資本と言われる動物や植物、水、土、空気の5要素について、それぞれ工事の前後でどのような影響を及ぼすか、客観的に実証された評価手法によって可視化。投資家などさまざまなステークホルダーに対する情報開示を支援し、投融資の獲得につなげる。30年度までに同社が設計、施工するプロジェクト全体の30%程度でNP手法の適用を目指す。
 最新の企業活動や財務情報などをまとめた24年版報告書「大成建設グループ 統合レポート2024」(https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240905_10077.html)で説明している。
 NP手法の開発には23年度から取り組んでいる。建設事業全体で見た自然資本への配慮や経済的要素から定量評価。顧客に対しNPへの影響や貢献度合いを指数として算出し、工事前後の比較評価を可視化し提示できるようにする。プロジェクト用地内の土地改変を含むオンサイトと、調達に関するオフサイトの2パターンに分けて評価できる仕組みを構築する。多くの工事に適用できるようシンプルな入力で科学的評価を可能にしていく。
 NPは22年にカナダで開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で提示された概念。今後、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に沿った対応が義務化されるとの見方もあり、企業活動や経営姿勢に対する新たな評価指標として位置付けられる可能性もある。
 同社は26年度と30年度にそれぞれ50件以上、NPに貢献するプロジェクトの推進目標も掲げている。




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2024年9月12日木曜日

スコープ/東日本高速会社がCN推進戦略策定、建設工事の調達時に加点

 ◇円滑な交通でCO2削減
 東日本高速道路会社が二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指し、「カーボンニュートラル推進戦略」を策定した。道路サービスによって生じる年間800トン超のCO2排出量のうち、9割以上が道路通行時や構造物の建設工事に起因。4車線化を推進したり、建設工事の調達段階でカーボンニュートラル(CN)に取り組む企業を加点評価したりして2050年までにCN達成を目指す。
 東日本高速会社によると、環境省のガイドラインに基づいて算定した「サプライチェーン(供給網)排出量」は13年度が約892万トン。その後、電気や燃料の使用法を見直すなど排出量の削減に取り組んできた結果、22年度は約845万トンと13年度比で約5%の削減となった。
 CN推進戦略は東日本高速道路グループの各社が取り組む。自社の事業活動によって排出された燃料由来のCO2量をスコープ1、事務所などの電気使用に起因する量をスコープ2に分類。排出量の大部分を占めるスコープ3は構造物の建設時などの上流部と高速道路を走行する自動車といった下流部で排出削減に取り組む。施策内容はCNの推進に向けた「緩和策」、気候変動が避けられない状況を想定した「適応策」の二つに分けた。
 緩和策ではスコープ1~3をターゲットにした施策として七つの項目(エネルギー使用量の最小化、再生可能エネルギーの活用など)を設定する。
 再エネ活用では約550カ所のSA、PAに太陽光発電設備を新設するとともに、バイオマスガス化発電の運用も始める考え。電気通信大学ら4者が開発した円筒形太陽電池を道路空間に設置するための実証実験を行う。東日本高速会社は同大学との包括連携を通じ、多種多様な箇所に設置可能な同電池の普及拡大につなげる。
 トンネル内の照明をLEDに切り替えたり、建物をZEB化したりして電気使用量の削減に努める。高効率設備を採用した「eco事務所」に加え、遮熱塗装や複層ガラスサッシを使用した「ecoインター」を積極的に整備する。壁面緑化や温度上昇を抑えるため、歩道に保水性ブロックを施した休憩施設「ecoエリア」も設置する。
 スコープ3の上流段階では、高速道路の建設や管理に必要な調達段階で脱炭素に向けた施策を展開する。CO2排出量を低減するコンクリート材料や中温化舗装といった新技術・新工法を採用しやすくするため、25年度中に技術基準の見直しに乗り出す。
 現在、CNに取り組んだ施工会社を工事完了後に成績評定で加点する取り組みを試行的に行っている。東日本高速会社は試行結果を踏まえ、「総合評価方式のように入札段階でインセンティブを付与する」(技術本部)など現状よりも効果的な制度を検討する考え。CNに貢献できる提案内容として同社は、環境配慮型の建設機械や重機へのバイオ燃料活用などを挙げている。
 下流段階では走行時でのCO2排出量削減を目指し、ミッシングリンクの解消や暫定2車線区間の4車線化を加速。スムーズな交通環境を実現する。環境に配慮した次世代自動車の普及を後押しするため、電気自動車(EV)急速充電器の高出力化や充電口数の大幅増設を計画する。
 持続可能な高速道路の実現を目指し、防災・減災対策などの適応策も講じていく。特に気候変動に伴う豪雨災害により、甚大な被害を受ける道路インフラは少なくない。こうした状況を踏まえ、同社はICなどをかさ上げして浸水被害の軽減を図る。大規模な自然災害を想定し、自衛隊や消防、警察などの前線基地としてSAなどの休憩施設を活用する。
 スコープ1、2の目標は中間に当たる30年度までにCO2排出量を13年度比で50%以上削減。50年度には実質ゼロを目指す=グラフ参照(報道発表資料から)。スコープ3は、国の地球温暖化対策計画で設定している目標(30年度までに13年度比で46%削減)の達成に向けて施策を推し進める。
 CN推進戦略は社内組織の環境委員会が、サプライチェーンを通じた排出状況や施策の実施状況をモニタリングして取締役会に報告する。同社やグループ会社を取り巻く事業環境を把握し、状況に応じて戦略内容を見直す。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167006
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JACのインドネシアでの取り組み・上/世界水準の現場安全アピール

 ◇体験イベントで響く「ヨシ!」
 世界4位の2・8億人が暮らし、うち半数が30歳未満という若い労働力を抱えるインドネシア。特定技能外国人の送り出し国としてベトナムに次ぐシェアのインドネシアで、建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)が日本の建設業の魅力を積極的に発信している。工業高校の巡回訪問や各地で開く職種説明会など“草の根”で進めるPR活動の集大成として、日本の建設技術や安全衛生環境の体験イベントを盛大に開催。専門工事業団体や現地の送り出し機関も巻き込み、こちら側から現地の若者らにアウトリーチ(手を伸ばす)していく活動を加速する。=2面に関連記事
 首都ジャカルタ近郊の巨大なコンベンションセンターでJAC主催の「日本の建設業務体験会」が8月24日に開かれた。東西に細長いジャワ島と、海を隔てたスマトラ島から高校・大学関係者ら約100人が来場。足場や鉄筋、型枠の体験コーナーを設け、日本の安全対策や施工技術に触れてもらった。
 全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)や日本型枠工事業協会(日本型枠、三野輪賢二会長)の会員などが自ら実演し生徒らに手ほどきするなど、目で見て実感できる内容とした。
 国際的な労働市場に詳しく、当日は日本の労働安全衛生環境の説明役として参加した弁護士の杉田昌平氏は「こうしたイベントは世界的に見ても画期的」と評価する。雇用側の業界団体が真正性の高い情報を直接発信することで「日本に働きにくるルートの透明性が高まる」。さらには世界トップレベルの安全ルールという「日本にある本来的な価値を世界の労働市場に示すことになる」と話す。
 会場内ではフルハーネス型安全帯を装着した生徒らの「ヨシ!」という声が響いた。最初は見よう見まねの「指さし呼称」も、はっきりと声に出してやると危険箇所に意識を向ける意味がよく分かる。
 こうした体験は、事故が多く安全性に乏しい現地で染みついた建設現場のイメージを覆すものだ。異国の建設業界への就労を心配する家族への説得材料にもなる。JACの山本博之専務理事はコンテンツ制作で足場体験に力を入れた理由として「まずは日本の安全を認知してもらう。そのための発信が大事だ」と強調する。
 インドネシア労働省から事務方トップのアンワル・サヌシ事務次官も会場に駆け付け、指さし呼称や鉄筋結束を自ら体験した。開幕式典であいさつしたサヌシ氏は、国内で労働力が豊富な状況が続く中、海外市場の需要に適応したスキルや知識を持つ人材を育成する必要性に言及。「まじめ」「一生懸命」という日本語でインドネシア人の国民性を紹介しながら、日本政府との間で「人材に関する相互利益、相互理解の架け橋を築く」と展望を語った。
 国土交通省からは蒔苗浩司官房審議官(不動産・建設経済局担当)が参加し、体験イベントを通じ日本の建設業の魅力が伝わり「今後もインドネシアから特定技能労働者が増えると期待する」と述べた。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)日本政府代表部の紀谷昌彦大使は、今回を皮切りに近隣諸国でも同様の取り組みを展開することに期待感を示し「日本との経済連携や人材交流が広くASEAN全域に広がり一層深まっていく」と意義を語った。




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相鉄HDら/横浜駅西口大改造構想を発表、20年代後半から相鉄ムービル建替へ

 相鉄ホールディングス(HD)と相鉄アーバンクリエイツは11日、「横浜駅西口大改造構想」を発表した。2040年代の実現を目指して官民連携の新たな都市像を描いた。20年代後半から相鉄ムービル(横浜市西区南幸2の1の22)の建て替え工事に着手する計画。構想の本格始動に向け、横浜市や地域関係者らと連携しながら検討を深める方針だ。
 上位計画の「エキサイトよこはま22」を踏まえ、国際競争力のある国際都市・横浜の玄関口として魅力あるまちづくりを目指す。現在の横浜駅西口の魅力に「Well-being(豊かさ)」を加えた「Well-Crossing」をコンセプトに掲げる。
 公共空間の整備では現在、車で占められている駅前空間を、イベントなども開催可能な人が集える空間に変える。河川空間は安全を確保した上で親水空間を設ける。車と歩行者が交錯する空間を、ウオーカブルな歩行者優先の空間とする。
 エキサイトよこはま22は横浜駅周辺地区の国際化対応、環境配慮、駅の魅力向上、災害時の安全性確保などの課題を解決し、「国際都市の玄関口としてふさわしいまちづくり」を目指すための指針。市と地元組織、鉄道事業者らで組織するエキサイトよこはま懇談会が09年に策定した。
 策定から15年が経過し、区域内の再開発事業の進展や脱炭素など社会情勢の変化を受けて、戦略に新たな視点を加える検討を進めている。
 同地区は1952年に相鉄グループが土地を取得して開発がスタート。73年に大規模商業施設「相鉄ジョイナス」、88年に「相鉄ムービル」、98年に「横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ」などが開業した。開発着手から70年が経過し、安全性や機能面から新たな都市開発の必要性を指摘する声が高まっていた。




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佐藤工業/トンネル切羽監視システム開発、ステレオカメラの撮影画像から変位判定

 佐藤工業は山岳トンネル工事の生産性と安全性を高めるため、ステレオカメラによる切羽の監視システムを開発した。発破装薬時に切羽前面から7~8メートル離れた位置に設置。切羽の撮影画像から得られるエリアごとの距離変化データをパソコン画面に表示し、時間間隔で比較することにより切羽全面の変位をシステムが判定する。切羽の監視責任者向け補助ツールとして活用する。
 システムはステレオカメラに加え、ノートパソコンや警報装置(積層式表示灯)で構成する。距離が遠い撮影対象ほど測定誤差が生じやすいステレオカメラの特性に考慮し、分割して撮影する切羽面のエリアごとに測定距離を平均化。誤差を低減し平均的な変位を捉える。
 撮影エリア内に写り込んだ作業員や機械を除外する機能も組み込んでいる。あらかじめ設定した切羽変位の限界値を超え肌落ちなどの予兆が観測される場合、警報装置で瞬時に音と光で作業員に知らせる。
 同社によると、山岳トンネル工事の切羽監視は一般的にトンネル坑内の照度や照明角度、切羽面の湧水状況や凹凸度合いなどが異なる状態で行うことになる。今後は実現場での測定を通じて、データの蓄積や測定精度の向上につなげる。より安全性が高い切羽面変位の限界値設定にも役立てる。
 切羽の安全対策を巡っては、2016年12月に厚生労働省が肌落ち災害防止対策ガイドラインを策定し18年1月、24年3月に改正した。施工者が講じることが望ましい事項の一つとして切羽変位計測が位置付けられており、同社はステレオカメラに着目した。




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2024年9月11日水曜日

大阪・関西万博/「いのちを響き合わせる」パビリオン発表、大林組のアプリで共鳴体験

 2025年日本国際博覧会協会(十倉雅和会長)は10日、東京都内で会見を開き、大阪・関西万博で宮田裕章慶応大学医学部教授がテーマ事業プロデューサーを手掛けるシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」の概要を明かした=写真。テーマは「いのちを響き合わせる」。宮田氏は「技術の本質を『共鳴』であると捉え、人と人、人と世界、人と未来の三つに対する問いを共有させる」と説いた。
 パビリオンは境界や屋根、壁がなく、万博会場中央にある静けさの森と一体となるのが特徴。アートを軸にした体験を通じて、持続可能な未来の調和について考えてもらう。設計は建築ユニット「SANAA」(妹島和世氏、西沢立衛氏)、施工は大林組が手掛ける。
 来場者は、パビリオン内で新たな気付きを提供するアプリケーション「Better Co-Beingアプリ」(開発・大林組)、振動で会場内を誘導する「ふしぎな石ころ『echorb(エコーブ)』」(同・村田製作所)を使い▽人と人との共鳴▽人と世界の共鳴▽人と未来の共鳴-の三つの共鳴体験ができる。
 echorbは触覚や力の感覚を通じて情報を伝える「3Dハプティクス(3D触力覚技術)」を搭載し、振動などで来場者を案内する。同アプリは万博期間を通じて来場者の体験をアーカイブ化。カメラをかざすと言語が浮かび上がり、他者との感じ方の違いや多様な価値観に気付ける仕組みとなっている。
 宮田氏は「ここで体験したことが一期一会になる。未来のつながりの中でどう新しい価値を作るのかということが非常に大事になってくる。時代の転換点の中で共に未来を考えられる内容になっている」と語った。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166975
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中建審に標準労務費WG設置/基本方針で合意、実際に活用される基準に

 改正建設業法で規定された「労務費に関する基準(標準労務費)」の作成や運用に向けた検討が本格的に始まった。中央建設業審議会(中建審)の下にワーキンググループ(WG)を設置し、10日に東京都内で開かれた初会合=写真=で議論の前提となる基本方針について委員間で合意した。具体的な金額設定など基準作成の議論に終始せず、実際に契約当事者間で活用されるよう運用面に重点を置く。=2面に関連記事
 WGの設置は、改正業法の一部規定が1日施行し中建審に標準労務費の作成・勧告権限が付与されたことを受けた措置。建設工事の発注者・受注者、元請・下請といった立場が異なる委員で構成する。利害関係から生じる目線の違いを踏まえ、国土交通省は会合で、標準労務費の▽目的▽活用・運用▽作成-の三つの観点から基本方針案を提示。まずは検討の方向性で認識を共有し、次回から個々の論点を詰めていく。
 標準労務費の活用方法を分かりやすく示し、中小事業者や一人親方も含む契約当事者にあまねく理解・活用してもらうことで運用面の実効性を高める。具体的な基準の作り込みでも「正確さ」よりも「使いやすさ」を重視。現行の契約実務に沿って1トンや1平方メートルといった単位施工量当たりの金額で設定することを基本とし、工種や規格の違いによる細分化は最小限にとどめる。これにより標準労務費に基づく見積もりと書面での契約を業界慣行とする。
 制度の理解・活用を一方的に周知するのではなく、業界団体と連携した活用促進に取り組む。下請による技能者への賃金の支払いを担保する方策も同時に措置。建設Gメンなどによるルール順守の検証を通じ、まじめな事業者や発注者が不利益を被らないようにする。
 適切な労務費・賃金の目安は、公共工事設計労務単価に相当する賃金を支払うための原資が行き渡る水準とする。生産性向上のインセンティブが失われない仕組みとし、労務費の低減によるコスト競争の余地を残す必要性も確認。設計労務単価を基礎とした労務費の行き渡りと賃金の支払いを前提としつつ、受注者が物的労働生産性(単位時間当たりの施工量)を向上させ労務費を下げた場合、その分を競争力として発揮できるような工夫を講じる。
 最初から完全な基準を目指さず、いったん公表した後でも必要に応じ修正を加える「アジャイル(俊敏な)型」の考え方を取り入れる。すべての職種・工種で一斉に作成するのではなく、準備が整った職種から順次、検討する考え。各専門工事業団体などと意見交換を別途実施し、WGに成果を反映させていく。




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堺市/石津水再生センターに雨水ポンプ場建設、11月から整備方針検討

 堺市は石津水再生センター内(西区石津西町)に雨水ポンプ場を建設する計画で、11月に整備方針の検討に入る。2026年度末までに検討を終え、水再生センター内施設の一部改築も含めた具体化へ準備を進める。詳細なスケジュールは未定。地球温暖化に伴う気候変動で激甚化、頻発化している豪雨災害への対応力を強化する。
 雨水ポンプ場は水再生センター構内の第1・2系水処理施設北側に計画。消火器庫や脱臭ファン、土砂置き場など既存10施設を撤去し新設する。合流式雨水排除ポンプ場として毎秒36立方メートル(雨天時計画雨水量)の排水能力を想定し、流入渠として施工済みの石津バイパス(BP、口径5000ミリ)とつなぐ。BPから雨水ポンプ場に雨水を引き込む接続部分の整備も検討する方針だ。
 1972年2月に稼働した石津水再生センターは石津川河口の臨海埋め立て地に位置し、左岸地域の鳳や浜寺地区、中央部市街地の下水処理を担う。施設の老朽化が進んでおり、雨水ポンプ場の新設に合わせ最終沈殿池や管理棟など構内施設の改築も計画している。市上下水道局は本年度当初に下水道施設での老朽化・災害対策として、気候変動による将来的な降雨量増加を考慮し計画を見直す方針を打ち出していた。
 現在、雨水ポンプ場の整備方針検討業務の委託先を決める入札手続き中で、10月24日に開札する。民間事業者の意向調査を一括し、民間の技術力や創意工夫を生かせる公民連携手法導入の可能性も探る。履行期限は27年3月18日。




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清水建設/高面積フロア建築物の天井工事を効率化、電動台車で自由にステージ足場移設

 清水建設は、建築物の天井設備や内装工事に用いるステージ足場を任意方向にけん引する電動台車「ステージ足場移動台車」を開発した。最大で積載資材を含め重量3トン、床面積100平方メートル規模の大きなステージ足場をそのまま移設する。施工フロア内に足場を敷き詰める必要がなくなり、段階的に足場を移し替えていく従来作業の手間が軽減。足場資材の使用量も抑制できる。施工フロアが重層する同社施工の超高層ビル現場を念頭に、フロア面積が広い建築物の天井工事を効率化する。
 ステージ足場移動台車は、ナブテスコの協力を得て製作した。4輪のメカナムホイールを装備したバッテリー式の電動台車になる。車輪にはナブテスコ製のメカナムホイール(全方向車輪)を採用。車体の向きを固定したまま前後、左右、斜め方向と自在に走行する。
 ステージ足場との連結には車体上面に設けた単管ベースを利用し、ステージ中央の脚部に固定した単管を単管ベースに差し込みねじ留めする。足場の重量に応じたカウンターウエートを車体に積載し走行準備が整う。移動操作には無線式コントローラーを採用するため、操作者がステージ上からも操縦できる。
 清水建設によると、一般的に建築物の天井工事では複数の移動式室内足場をユニット化したステージ足場上で作業を進める。ステージ面積を拡張すれば作業効率が高まる一方、使用する足場資材の数量が増え搬出入や組み立て・解体など実作業以外のハンドリングも煩雑になる。特に施工フロアが重層する超高層建築物では足場資材のフロア間移送にも膨大な手間がかかるため、現場運営の課題となっていた。そこでステージ足場の効率的な運用を実現するためのツールとしてステージ足場移動台車を開発した。




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大和ハウス工業/商業部門などの開発目標示す、26年度に売上高1・25兆円

 大和ハウス工業の流通店舗事業本部は10日、今後の事業展開の方針を明らかにした。資材価格や労務費の上昇に伴って建築コストが上がっているが、テナント店舗の売価などには十分に転嫁できていない状況。商業分野では今後、過去に開発した施設を買い取り再販したり、建て替えたりする「BIZ Livness」事業に注力する。商業施設のほかホテル、オフィスなどを扱う同本部では、2026年度に売上高1兆2500億円を目標に掲げる。
 同日東京都内で記者発表会を開いた。同本部の施策は同社のほか▽大和リース▽大和ハウスリアルティマネジメント▽ロイヤルホームセンター▽スポーツクラブNAS▽大和ハウスパーキング-の関連会社5社とともに推進。目標値も各社の事業を合算している。
 23年度の売上高は1兆1815億円で、営業利益は1436億円、営業利益率は12・2%だった。24年度は売上高1兆2200億円、営業利益1440億円、営業利益率11・8%を目標に据える。26年度には売上高1兆2500億円、営業利益1600億円、営業利益率12・8%へ拡大を目指す。
 大和ハウス工業の下西佳典取締役兼専務執行役員流通店舗事業本部長は、23年度の非住宅建築の建築工事費が15年度比で124%に上がったとする調査結果を紹介。「肌感覚ではもっと急激に上がっている」と話した。売価への価格転嫁が難しいことも影響し、流通大手も新規出店を控えている状況があるという。
 同社は過去に開発して開業後20年以上たつ商業施設をターゲットに、リニューアルや建て替え需要の掘り起こしを急ぐ。リニューアルで誘客力が戻れば、新築の減少に伴う売り上げの減を補える可能性がある。対象となる施設は国内に約2000件。約150件で条件協議に入っている。
 オフィスは近年新規供給が少ない地方都市に焦点を当て、高付加価値な物件を供給する。下西氏はアドグレイス大宮(さいたま市大宮区)やグラノード船橋(千葉県船橋市)を例示した。ホテルはコロナ禍の収束に伴って引き合いが戻っているといい、大都市圏や観光資源が多いエリアを中心に、適所を着実に確保していく。




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2024年9月10日火曜日

回転窓/注目のトンボ研究

 〈町中や列を正して赤蜻蛉(とんぼ)〉(小林一茶)。台風シーズンの8~9月にかけ、町中を飛び回るトンボをよく見かける。台風一過で群れなす光景に出会うと、台風と一緒に移動してきたのかと思うことも▼専門家の話によると、もともと幼虫(ヤゴ)から羽化して成虫になる時期と台風の襲来が重なり、天候が回復して一斉に飛び交うそう。熱帯や亜熱帯地方から南風に乗って海を渡り、長距離移動するウスバキトンボは、沖縄の方言名で「カジフチダーマー」(風吹きトンボ)。昔から台風に乗ってやってくるとの言い伝えもある▼トンボの語源は「飛ぶ棒」「飛ぶ穂」などと言われる。漢字では中国由来のトンボ(蜻)とカゲロウ(蛉)が合わさり、その意味は「薄い羽のある虫」だとか▼6日に成年皇族となられた秋篠宮家の長男悠仁さまは、幼い頃からトンボの調査を続けられてきた。進学先でも昆虫の生態などの研究を希望されているという▼国内には約200種のトンボが生息し、大型のものは「ヤンマ」、赤とんぼなどの小型を「アカネ」とも呼ぶ。古くから人々に親しまれてきたトンボ。今後の研究成果が注目される。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166944
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新会長/日本建設機械工業会・山本明氏、一致団結し環境変化に対応

 1990年に発足した日本建設機械工業会(建機工)。これまでの歴史を継承しながら、経済発展や国民生活の向上、災害対応などに貢献していく。労働力不足を踏まえた建設業界での生産性向上や、気候変動の懸念が高まる中でカーボンニュートラル(CN)への対応も求められている。取り巻く環境の変化を見据えつつ、業界一丸となって課題解決に取り組んでいく。
 --就任の抱負を。
 「建設施工におけるCNやDX、国際競争のさらなる激化、少子高齢化による労働力不足など取り巻く環境が著しく変化している。個社ではできないことに対して、一致団結してやっていく必要がある。行政にもしっかり要望していく。建設業界も盛り上げていきたい」
 --市場環境は。
 「2024年度の出荷金額は4年ぶりの減少となる見込みだ。欧米の金利上昇による影響が大きい。国内は金利上昇への懸念でマインドが落ち始めている。25年度は前年度比1%増を予測しており、過去2番目となる見通しだ。大きな目で見ると、まだまだ世界的にはインフラ投資は続く。日本も人口減少はあるが、設備の老朽化が進んでいる。公共投資を進めざるを得ない状況が続くだろう」
 --重視する点は。
 「震災からの復興への貢献、環境・省エネルギーに対する対応、グローバル展開の支援、新しい技術への対応という四つの重点施策に取り組む。建機の稼働現場では労働力不足や働き方改革が進んでいる。建機の遠隔操作や自動運転など新たな技術の実用化に向けた取り組みが加速している」
 「大きな流れの中でGXが進んでいくだろう。新技術や製品を社会実装していく上で、関連法令や助成金活用といった多くの課題がある。水素を活用していくにもインフラ整備が必要だ。行政や他の関連業界との連携も強化して取り組んでいく」
 --人材確保に対しては。
 「採用という観点で見た時に、もっともっと魅力ある職場作りをしていかなければいけない。建機の仕事が楽しいということをアピールすることが必要だ。広報活動も最重要視していく」
 --今後に向けては。
 「ガラパゴス化している規制がある。各社の要望をまとめて、グローバルルールに基づいた規制緩和をお願いしていく。そうした流れを通じてベースとしての競争力を上げると同時に、各メーカーがCNや電動化、自動化で先進性を持った物を作っていくことが重要だ。日本は最もオペレーターに寄り添った開発が進んでいると思う。働きやすく安全で安心して乗れる建機を、世界にもっとアピールしていきたい」。
 (5月23日就任)
 (やまもと・あきら)1987年大阪大学大学院工学研究科金属材料工学専攻修了、神戸製鋼所入社。2015年執行役員、17年常務執行役員、20年専務執行役員、22年4月コベルコ建機副社長執行役員、同6月社長。22年から建機工副会長。「進んでいる業界のアイデアも見ながら魅力を発信していきたい」と意気込む。兵庫県出身、62歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166942
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大阪府/バリアフリー化の条例基準強化へ、小規模店舗出入り口段差解消

 大阪府は小規模店舗の出入り口の段差解消やマンション駐車場の区画幅拡大などバリアフリー化の義務付けへの条例基準を強化する。4日に開いた福祉のまちづくり審議会で各項目の対応方針案を提示した。今後、具体的な基準などを検討し年内に必要な条例改正素案をまとめる。2025年度の公布を目指す。
 条例基準の見直しなどを検討している項目は▽小規模店舗の出入り口▽共同住宅の駐車場▽トイレの大人用介護ベッドなど▽劇場などの客席-の四つ。条例改正にそぐわない項目はガイドラインの見直しや充実で対応する。
 小規模店舗の出入り口と道路との段差解消は、現行200平方メートル以上(延べ床面積)とするバリアフリー化の義務付け対象基準を引き下げる。改修が困難な既存施設では店舗入れ替えのタイミングでのバリアフリー化改修や可搬式スロープによる対応などをガイドラインで促す。
 共同住宅の駐車場は大規模物件で幅の広い駐車区画整備の義務化を目指す。府内のマンションでは総駐車台数が100台以下の物件で車いす使用者駐車区画の設置割合が1割未満にとどまっており、101台以上の大規模物件の設置割合(5割)と比べて極めて低い現状がある。
 トイレの大人用介護ベッドは現行1万平方メートル以上(延べ床面積)の建築物に1カ所以上の設置を義務付けている。今後は対象規模の引き下げと大規模な建築物での複数設置の基準化、ベッドサイズの大型化を検討。トイレでは火災時の光警報装置(フラッシュライト)の設置義務化も検討する。
 劇場や映画館などの客席は車いす使用者用客席数への府の建築基準法施行条例の基準を削除し、バリアフリー法と福祉のまちづくり条例に基づく基準に一本化。
 総客席数のおおむね0・5%以上を基本に、小規模な施設も対象としつつ車いす使用者用客席の設置を促進する。




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仙台市/国際センター駅北複合施設基本設計業務、受託候補者は藤本壮介建築設計事務所

 仙台市は「(仮称)国際センター駅北地区複合施設基本設計業務」の委託先を決める公募型プロポーザル(WTO対象)で受託候補者に藤本壮介建築設計事務所(東京都江東区)を選定した。次点は、山田紗子建築設計事務所(東京都新宿区)+BPDL+佐藤慎也研究室JV(構成=山田紗子建築設計事務所、バウ・フィジック デザインラボ〈東京都千代田区〉)。12月上旬に契約し、履行期間は2025年11月28日まで。業務委託提案上限額は3億5351万8000円(税抜き)。26年度に実施設計、27年度に工事着手。31年度の開館を目指す。概算工事費は約336億円(税込み)と試算している。
 プロポーザルには77者が応募。75者が1次審査を通過し、69者が技術提案書を提出した。第1段階で30案、第2段階で11案を選び、公開プレゼンテーションに進む5案に絞り込んだ。受託候補者、次点以外の最終審査には北澤伸浩建築設計事務所(横浜市都筑区)、昭和tデYetBJV(昭和設計、tデ一級建築士事務所〈名古屋市中区〉)、日建設計が参加した。審査委員長は青木淳氏(AS主宰、京セラ美術館長)が務めた。
 建設地は地下鉄東西線の国際センター駅に近接するせんだい青葉山交流広場(青葉区青葉山2の1ほか)の敷地面積1万8748平方メートル。延べ床面積は最大3万2000平方メートル程度とし、音楽ホールは2000席規模の大ホールと音響を重視した350席程度の小ホール、災害文化の創造拠点となる震災メモリアル機能や広場エリアを設けた複合施設を整備する。
 受託候補者に選定された藤本壮介建築設計事務所は複合施設のコンセプトに「たくさんの/ひとつの響き」を掲げ、多様な記録と活動がつながる場所を提案した。技術提案書によると、地下1階地上4階建て延べ3万1388平方メートルの規模で、大ホール空間をコンサート時のサラウンド型、合唱コンクール時のプロセニアム型、オペラ、舞台演劇時の4パータンに加え、壁を開放することで建物全体がサラウンド型の劇場に拡張。メモリアルコンサートなど年数回を想定し、音楽を介して建物全体で5000人規模の人がつながる場所を打ち出した。メモリアル施設は、東日本大震災の記憶や経験は「ひとくくりにでできないもの」として、常時展示やアーカイブ、市民活動と多目的交流、企画展示などの機能が有機的な連動を図るようグラデーショナルな配置とした。
 仙台市青葉区の日立システムズホール仙台で8日に開いた最終審査を終え、青木委員長は「音楽ホールと震災メモリアルが融合する先例がないタイプの建築であり、ここにしかない、日常的に行ってみたい場所になることが求められた。5案全てが高いレベルだった」と総評。受託候補者は「震災に対するそれぞれの経験や観点を空間につくり込み、音楽を通じフレキシブルに対応する計画で、新しい公共的な場所という意味でもふさわしい。仙台に事務所を置きプロジェクトに関わる姿勢」を高く評価した。審査結果を受け、郡和子市長は「今日、重要な一歩を踏み出した。対話を重ね、杜(もり)の都のシンボルとして、仙台にしかない施設整備を着実に進めていきたい」と締めくくった。




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清水建設/超高層現場に高効率昇降機、大容量・高速化を実現

 清水建設は国内最高の垂直搬送性能を備えた工事用エレベーター「SEC5000-RS」を、三成研機(埼玉県日高市、野田裕二社長)やエスシー・マシーナリ(横浜市瀬谷区、樋口義弘社長)と共同開発した。超高層ビルの建設現場で資機材の搬送や作業員の移動を効率化する。1号機は清水建設を代表企業とするJVが高さ284メートルのビルなどを施工している日本橋1丁目中地区第1種市街地再開発事業(東京都中央区)の現場で実装済み。2、3号機は同社が東京駅前で施工する国内最高層385メートルのトーチタワー新築工事の現場(同)に適用することが決まっている。
 新たな工事用エレベーターは清水建設が基本機能の企画と設定、実機の性能調査を担当。三成研機が実験装置の基本設計と製作、エスシー・マシーナリが仕様の検討や実験をそれぞれ担当した。
 仕様は内寸が幅5・8メートル、奥行き2・16メートル、高さ3メートル。最大積載荷重を5・0トンとし、高さ300メートルまでの垂直搬送性能を実現した。汎用(はんよう)されている最大積載荷重3・0トンタイプに比べ搬器床面積は1・6倍の12・53平方メートルになる。ボード積載量に換算すると3倍の6山(1山当たり800~900キロ)、作業員換算で約1・7倍の76人が積載できる。
 昇降速度は駆動装置の高機能化で分速110メートル、10%の高速化を実現。積載荷重に応じた可変速制御にも対応し、3トン時まで分速110メートル、3~4・5トン時に同100メートル、4・5~5トン時に同90メートルと変速。軽積載時に駆動装置に生じる余力を昇降速度のアップに割り当てる仕組みとなる。
 搬器の大容量化や可変速制御に合わせて高機能化させた駆動装置の騒音軽減にも工夫を凝らし、従来の3・0トンタイプより低騒音とした。
 清水建設は大都市圏の賞高層ビル現場を中心に、今回開発した工事用エレベーターの拡大を目指す。




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ID&EHD/より良い都市へ総合的に支援、民間への提案型営業強化

 ID&Eホールディングス(HD)は、都市をより良くしていくための対応策を提案する「グッドシティ・イニシアチブ」と呼ぶ取り組みを始めた。特設ウェブサイトを開設済みで、ロンドンや東京など世界10都市から将来的な都市構想のワークショップを実施していく。スマートシティーなどを念頭に、民間らへの提案型営業につなげていく。都市の課題解決につながるソリューションをワンストップで提供してきた総合力を、より上流から発揮する方向性だ。
 主要事業会社である日本工営や海外子会社で建築設計を手掛けるBDPらグループ各社が連携する。実施に当たっては、人と人との結び付きや効率的な移動の確保、戦略的で地域に根付いたデザインなど都市が抱える10の課題と、それらへの見解を提示。ウェブサイトでは課題に対する取り組み事例や、グループが持つ都市向けソリューションも紹介している。
 ベストプラクティスを研究するために都市の定点観測も進める。▽ロンドン(英国)▽マンチェスター(同)▽東京(日本)▽上海(中国)▽デリー(インド)▽ロッテルダム(オランダ)▽トロント(カナダ)▽ニューヨーク(米国)▽リマ(ペルー)▽ダブリン(アイルランド)-の10都市からプログラムを始める。
 同社は2024年7月から3カ年を対象とする中期経営計画で、事業間の共創による事業領域拡大や、民間市場への本格参入を掲げている。ID&EHDの新屋浩明社長は6日に東京都内で開いた決算説明会で、「技術力を結集し提案型の営業をやっていく。地域開発や再開発は官へのアプローチが大きかった。民間投資の意欲も旺盛で、大企業にもアピールしていく方向性だ」と述べた。




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2024年9月9日月曜日

凜/ガイアート東北支店・宍戸小夏さん、出会った縁を大切に

 宮城県利府町で進む宅地造成工事の現場で施工管理業務を担当している。大学で専攻したのは教育学。建設業とは畑違いの分野だが、好奇心旺盛な性格もあり卒業後に「ものづくりに携わりたい」と思い、建設系派遣会社に登録した。
 初めての建設現場はガイアートが手掛けていた新設コンクリート舗装工事。「作業員の方とのコミュニケーションが楽しく、頑張ってみようという気持ちになった」。時間が経過しても思いは変わらず会社からの勧めもあり、出会った「縁を大切にしよう」と4月から正社員として新たな一歩を踏み出した。
 技術者としての仕事は学びと出会いの連続で「すべてが新鮮で楽しい」とはにかむ。娘の意外な選択に最初は「務まるのか」と心配顔だったお母さんも、今では「かっこいいよ」と背中を押してくれるようになった。自分に期待し、助けてくれる周囲の人たちへの感謝を忘れず、点滴穿石の気持ちで努力したいと思っている。
 当面の目標は、できるだけ早く資格を取得し「仕事を任され、信頼される技術者になる」こと。女性の活躍をできるだけ多くの人に知ってもらうため、けんせつ小町のリーダー役も全うしたいと願っている。前向きな気持ちがあれば毎日が充実する。
 文系出身でも活躍できる仕事として、女性も「安心して挑戦してほしい」と明るく話す。
 (ししど・こなつ)




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19年台風15号から5年/千葉県が建協・自治体と連携強化、初動対応など教訓生かす

 千葉県の広い範囲で大規模な建物被害や停電をもたらした2019年9月の台風15号から5年を迎えた。情報収集や初動体制などの問題が浮き彫りとなったことから、県は建設業協会や各自治体との連携を強化。今年8月の非常に強い台風7号発生時には早くから災害対策本部を立ち上げた。5年前の教訓を生かし、「アクションをしっかりと取ることができた」と四童子隆県土整備部長は語る。
 「令和元年房総半島台風」と命名された台風15号は、千葉市で観測史上1位となる最大瞬間風速57・5メートルの記録的な暴風をもたらした。全壊した家屋は391棟、半壊・一部破損は7万6483棟に上る。浸水の被害も大きく、230棟に及んだ。強風によって送電線の鉄塔や電柱の損傷・倒壊、倒木などで配電設備が故障。首都圏をはじめとする地域で大規模な停電が発生し、最大約93万4900戸が被害を受けた。
 復旧に向け、国の要請を受けた千葉県建設業協会や関東甲信越地方の建設業協会は、ブルーシートの調達や被災家屋への設置作業を実施した。倒木の撤去や自衛隊と連携した活動を行うなど、地域の守り手としての活動に取り組んだ。
 電力網の復旧には難航した。現場の被害状況の確認作業などに時間がかかったことで停電が長期化。これに伴い断水や通信障害の規模が拡大したため、地域住民の生活に大きな影響を与えた。
 災害復旧に遅れが出た背景には、自治体の被災情報の収集体制がうまく整っていなかったことや、初動体制に遅れがあったことがある。県は非常時にリエゾン(現地情報連絡員)として県職員を市町村に派遣する制度を導入。自治体への応援態勢を構築することで、被災情報の共有・連絡体制を強化した。
 房総半島台風の経験から得られた教訓は、8月中旬に発生した非常に強い台風7号の対応に生かされている。事前に国土交通省関東地方整備局が音頭をとって関係者会議を立ち上げ、大規模停電発生時の迅速な復旧に向けて準備。初動対応に遅れがないよう、台風が千葉県に上陸する前から災害対策本部を設置した。市町村との連携では、地域リエゾンの派遣を実施し、各自治体の災害対策本部に参加。県との連絡体制を強固にした。幸いにも台風はそれる結果となった。
 四童子県土整備部長は「(各機関と)情報共有して臨めたのは大事なポイントだ」と振り返る。続けて同下旬に発生した台風10号に対しても、規模は異なるものの災害対応の体制を整えた。
 この5年で県が培ってきた災害対策が、近年の台風に生かされ始めている。地域間や業界団体との連携をさらに深め、より確実な対応が求められる。




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東京都/武蔵野公園にスケートボード場整備、25年度に利用開始

 東京都は府中市の都立武蔵野公園で、11月上旬までにスケートボード場の建設工事に着手する。広さは約1100平方メートル。地面を舗装し、ハーフパイプ状のランプのほか、ターンの練習ができるクオーターランプなどを設置し、初心者でも楽しめる施設にする。年度内に完成し、2025年4月以降の利用開始を目指す。都民から公園の中で気軽にスケボーを楽しみたいという声が寄せられていた。
 武蔵野公園の所在地は府中市多磨町2。スケボー広場は園内の東側にある噴水前のスペースに、南北方向に長い長方形の形で整備する。周囲をフェンスで囲み、他の公園利用者との接触事故を防ぐ。東西に設置したフェンスの外側には園路を確保し、スケボー広場利用者以外の動線を確保する。
 広場はスケボーのほか、インラインスケート、ローラースケートにも対応。ランプのほか、ジャンプ台やレールなど初級者向けのセクションを14基設置する。利用できる人数などは他の施設も参考にしながら今後決める。
 今回整備する噴水前の広場は従来、一定のルールの下でスケボーの利用が可能だった。都は8月下旬、近隣住民に向けて現地で工事の説明会を開催。担当者によると「特に反対の意見はなかった」という。
 今回整備するスケボー場の基本・実施設計は緑政計画研究所が担当。都は施工者選定の入札公告を早期に公表する予定だ。工事契約は10月下旬~11月上旬を見込んでいる。工事費用は未定。
 都立公園で初心者でも利用できる専用広場を配置しているのは現在、世田谷区の駒沢オリンピック公園だけ。都は多摩地域の都立公園にも専用広場を1カ所造る方向で検討を続けてきた。




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ユアテック/安全確保と品質向上で技術開発加速、電線圧縮接続作業など支援

 ユアテックは、工事施工の最前線に立つ作業者の安全確保や生産性向上を目的に、支援技術の開発に力を注いでいる。高所で行う電線や光ファイバーの接続など日常的に多い作業をターゲットに専用器具の新規開発や性能向上などを推進。架空送電線工事に従事する作業員(ラインマン)向けにも、動きやすさなど重視した新しいスーツの実用化を目指している。
 実用化が近いもののうち電線の圧縮接続作業に使用する工具は、高所作業車のバケット内で使用する。片手に圧縮工具を持ちもう片方で電線とバルーンスイッチを支える方法は、作業者の負担が大きく指を挟んだり、気温の変化などでスイッチが誤作動したりするケースもあった。
 これまでの事故事例や現場の要望を踏まえ、長年使われていたバルーンスイッチを2段階操作の無線スイッチに変更。作業負担を軽減しつつ指を挟む事故の回避につなげる。開発と現場試行を繰り返し2年程度の時間で実用化が可能なレベルに到達。高所作業車の更新に合わせ順次切り替えてく計画だ。
 ラインマンが500キロボルトの超高圧架空送電設備で工事を行う場合の作業スーツも改良に取り組んでいる。送電線の工事は静電気がたまった状態で作業をすると、強力な放電が起こって事故になる場合がある。このため導電性作業服の着用が義務付けられているものの、通常の作業服の上に導電性のある作業服を重ね着していたため、夏場の暑さや作業前の準備、動きにくさなどに課題があった。
 ラインマンは高所作業に従事し、高い技術や高度な技能が求められる。スペシャリストを支える取り組みとして、同社は作業服の重ね着が解消できる新型スーツを開発した。要求性能を満たす機能の一体化はハードルが高く、実用化レベルに到達するまで「4~5年がかかった」(技術開発センター)という。作業服の切り替えに合わせ更新していく計画で、送電線工事従事者の負担軽減につなげていく。
 テレビ共聴用光ケーブルの引き込み作業で使用するケーブル掴線器も現場導入が可能な段階にある。光ケーブルを住宅などに引き込む時、作業員は細いケーブルを手で持ち、落とさないようにしながらつなぐ。ケーブルは適度な緩みが必要で、引っ張りすぎると断線する恐れもある。
 細いケーブルが保持できる専用の工具があれば両手が自由になって作業効率が高まり、生産性の向上や作業負担の軽減につながる。既に試作品を現場に貸し出しており、年度内には製品化が可能な段階にある。新しい掴線器を協力会社などに購入してもらい現場の働き方改革に役立てる計画という。
 引き続き同センターと各部門が連携し、テーマの抽出や研究・技術開発の進捗などを情報共有し、効率的な時流に合った取り組みを推進する。屋内外を問わず深刻化している夏場の熱中症対策も重要項目に位置付け、大学との共同研究などで効果的な方策を探る。




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2024年9月6日金曜日

大阪府/モノレール延伸事業の債務負担330億円に増額、28~30年度に期間延長

 大阪府都市整備部は大阪モノレール延伸事業の債務負担行為の限度額を約180億円増額し、総額約330億円とする補正予算を財政当局に要求している。対象期間も2028~30年度に延長する。これらの変更を含む24年度一般会計補正予算案(2号)は19日に開会する9月定例府議会に上程される。
 増額と期間延長は事業費の増加や開業目標の延長などに対応するもの。府の建設事業評価審議会が「事業継続が妥当」と判断したことから、これまでの限度額149億8207万円に180億4793万円を追加した上で本年度に必要な工事を発注する。予算が承認されれば、支柱や鋼軌道桁の建設工事などを追加発注していく。
 大阪モノレール延伸事業は、現在の終着駅の門真市駅(門真市新橋町)から南へ延伸し、東大阪市若江西新町までの約8・9キロを結ぶ計画。松生町駅、門真南駅、鴻池新田駅、荒本駅、瓜生堂駅(いずれも仮称)の5駅を新設する。このうち荒本駅の駅舎建設工事(一般競争入札〈WTO対象〉)は現在公告中。入札参加申請を17日まで受け付けている。11月14日に開札する。
 全体の事業費は前回事業評価時の約786億円から約1442億円とほぼ倍増する。29年度としていた開業時期も33年度に延長。23年度末時点の主な進捗率は詳細設計が約8割完了、支柱建設工事が約6割発注済み。用地買収は約8割が契約済みとなっている。
 同部では大阪モノレール延伸事業以外に、自動運転バスの導入に向けた走行試験を実施する新モビリティ推進事業も盛り込んでおり、6586万円を要求。環境整備工事費に1591万円、走行試験経費に4995万円を配分する。




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マツダ/広島地区社員寮を統合建て替え、設計・施工はフジタ

 マツダは4日、広島地区にある技能系従業員向け社員寮について、既存の五つの寮を統合し、広島市南区小磯町(現第1小磯寮)に新たな寮を建設すると発表した。RC造10階建ての居住棟と平屋の食堂棟で構成、総延べ床面積は約2万9000平方メートル。設計・施工はコンペで選定したフジタが担当する。10月から既存施設を解体し、2025年4月に本格着工、27年10月に完成させ4月の運用開始を目指す。
 広島市南区にある技術系従業員向け社員寮は築50年以上が経過しており、入寮する従業員の住環境の改善による従業員満足度の向上や人材確保に資する魅力的な住環境の提供が課題となっていた。今回建設する新寮では、各個室の居住空間や設備の充実を図るとともに、交流の場となるラウンジやトレーニングルームなども設置し、快適で充実した寮生活を送れるようにする。地域貢献として、独立した建物となる食堂棟を開放し近隣住民も利用できるようにする。
 統合対象となる寮は、大州寮・松風寮(南区大州)、第1小磯寮・第2小磯寮(南区小磯町)、大原寮(南区向洋大原町)。新寮は、第1小磯寮跡地に整備する。マツダでは、今後も「ひと中心」の価値観の下、働きやすさと働きがいを追求することで従業員が誇りを感じて働ける環境づくりを進めるとしている。




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いであ/メコン川のプラスチックをモニタリング、経済的・簡便な手法を構築

 いであは、メコン川を流れるプラスチックのモニタリングで経済的かつ簡便な手法を構築した。河川を流れる直径5ミリ以上のマクロプラスチックと、同5ミリ以下のマイクロプラスチック、魚類生体内に含まれるマイクロプラスチックが対象。マクロプラスチックへの対応では、三つのモニタリング方法を組み合わせた方法を採用した。水質調査や漁業調査に組み込みやすく、結果が比較可能な手法を提案し、実務者への実地研修も行った=写真(いであホームページから)。
 カンボジアら4カ国が加盟する国際機関「メコン川委員会(MRC)」が、河川のプラスチック汚染の実態把握や、モニタリングに関する統一的な手法を規定した文書(プロトコル)の作成、実地研修を柱としたプロジェクトを進めている。その一環で業務を受注していた。
 マクロプラスチックに対しては、生物採取用ネットによるサンプリングと漁網でのサンプリング、既存構造物での目視調査を組み合わせて実施する。マイクロプラスチックに関しては、日本の環境省による「漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和ガイドライン」を参考にしたサンプリング方法を採用。水草の繁茂が激しいことを踏まえ、航路の選択や水草流入時の対処法を加えるなど工夫を凝らした。
 魚類生体中のモニタリングは、下流全域で生息し、かつ1年を通して捕獲される魚類を対象に選定。さまざまな食性や生息域を持つ種を含めることで、摂取量の違いを考察できるようにした。
 メコン川は海洋へのプラスチック流出量が世界で最も多い河川の一つと言われている。MRC加盟国でモニタリングが実施されれば、より明確に汚染状況を把握でき、その結果を政策にフィードバックして、より効果的な汚染源対策が可能になるとみている。




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ポリウス/国産建設用3Dプリンター量産へ、25年夏納品分・9月11日から予約受付

 建設用3Dプリンターを手掛けるPolyuse(ポリウス、東京都港区、岩本卓也代表取締役、大岡航代表取締役)は5日、国産建設用3Dプリンター「Polyuse One」の先行受注販売の予約を開始すると発表した。量産製造モデルで、11日から受け付ける。導入への総合的支援を含めた販売価格(税込み、送料込み)は3300万円を想定するが、オプションなどにより変わる可能性がある。先着30台。2025年夏ころから順次納品する予定だ。
 耐久試験や検査を実施済みで、自由度の高い積層意匠を実現する。キャスターにより容易に移動でき、折り畳めるタイプとなっている。据え付けや折りたたみの時間は5分程度で柔軟に現場に対応する。
 展開時の3Dプリンターの大きさは、全幅3980ミリ×奥行き3590ミリ×高さ2650ミリ。造形サイズは全幅3000ミリ×奥行き2500ミリ×高さ1900ミリ。重量は560キロ。
 同社は建設用3Dプリンターの試作機を10台規模で展開し、土木・建築分野で施工実績を積み重ねてきた。昨年には国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されている。
 11~13日に大阪市住之江区のインテックス大阪で開かれる建設DX展(RXJapan主催)で展示する。25年5月にも先着70台で受注予約を受け付け、26年春ころから納品する予定としている。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166843
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2024年9月5日木曜日

スコープ/複合噴射攪拌協会、「リングジェット」「HCM」の2工法を広く普及へ 

 新しい深層混合処理工法の普及を目指して「複合噴射攪拌協会」(山崎淳一会長)が活動を本格化させている。機械撹拌(かくはん)と複合的な高圧噴射を併用することで、小型の機械で大口径の地盤改良ができる点が特徴。生産性向上や環境負荷の軽減も期待できる。発注者や建設コンサルタントらにPRし認知度を高めて、幅広い場面で貢献していく。
 扱うのは、円筒状の高強度改良体を形成する「リングジェット工法」と、撹拌翼を組み合わせて大口径改良体を効率よく造成する「HCM(ハイブリッド・コントロール・ミキシング)工法」。大口径での改良が増えているが、大型機械の使用が主流で施工場所などに制約がある。脱炭素社会への貢献も求められている。こうした課題を解決していく狙いだ。
 リングジェット工法は、セメントスラリー式小型地盤改良機で、改良径1800ミリで円筒状(リング状)の高強度改良体を構築する。撹拌翼端部の3カ所から下向きに高圧噴射する。円筒形状にすることで圧縮強度が高まり、支持力が30%増加する。曲げ剛性も2倍になる。既に軟弱地盤対策の現場に適用されている。
 断面全体を改良する従来のスラリー撹拌工法と比較して、造成量が減るのもポイントだ。改良径1600ミリの従来工法と比較すると、撹拌時間を40%削減し、固化材量を20%減らすことができる。セメント使用量や施工時間の短縮により、カーボンニュートラル(CN)にも寄与する。
 HCM工法は、固化材スラリーを噴射できる特殊ノズルと、より広い範囲でスラリーを噴射する撹拌翼を組み合わせた機械で施工する。短時間で改良体を構築できる。改良径1600ミリや、同2200~2400ミリに対応する。固化材スラリーを高圧で噴射するため、土塊が砕かれて均一に混合でき、品質が高まる。
 改良体の外周から1メートルの離隔で、地中変位は最大数ミリに抑えられ、周辺地盤への影響を低減できる。施工機械の運転に伴う単位改良土量当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が最大50%程度削減できるとしている。
 両工法とも適用先には、盛り土の安定・沈下対策や構造物の支持力確保、橋台背面の側方移動防止対策などを見据える。
 リングジェット工法の模型実験などを支援した愛知工業大学の渡邉康司准教授は「合理的な施工が実現できる。さらに良い工法になることを期待している」と話す。カタログや技術積算資料を作成しており、積極的にPR活動を展開していく。

 □山崎淳一会長に聞く/高効率施工で強靱化と脱炭素に貢献□
 今後の展望について、山崎淳一会長(三信建設工業社長)に聞いた。
 --協会設立の狙いは。
 「今までなかった技術を広めていくことがメインの目的だ。機械撹拌では、大きな機械で大口径の改良体を深くまで造ることが主流になっている。しかし、日本は広いところばかりではない。施工条件を考えた時に、より小さな機械で施工できる工法の必要性が高い。課題解決に貢献したい」
 --リングジェット工法への取り組みは。
 「従来技術は円柱状で改良するが、リングジェットは外側を中心に円筒状にするのが特徴だ。同じ外形でも曲げ剛性を高めて、より少ない改良材で同様の支持力を確保する。結果的により小型な機械で施工ができる。技術資料や積算資料を作成済みで、設計の基本的な考え方もまとめた。第1号工事もできており、実績を積み上げていく」
 --HCM工法に対しては。
 「小型の機械でより大きな径の改良体を造る目標で開発した。外側に噴射することで、より大きな改良体を形成する。実大実験を行い、これまでの機械噴射と同等の性能や品質が得られることを確認済みだ。周囲の変位をかなり抑制できるのも特徴で、周りへの影響を抑えながら近接施工できる」
 --今後に向けては。
 「国土強靱化が求められている中で、より適応性の高い技術を提供していくことがわれわれの役目だ。セメント量を削減できるため、CNに大きく貢献できる。材料価格の上昇に対してもメリットがある。7月に第1回総会を開き、事業計画と予算が承認された。発注者や設計者に知ってもらうため、これから講習会を実施していきたい」
 「NETIS(新技術情報提供システム)への登録も目指す。スタートは二つの工法だが、新しい技術ができてくることも期待している。将来的に機械撹拌や高圧噴射と並ぶように複合噴射攪拌システムが発展できるよう取り組みたい」。




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2024年9月4日水曜日

回転窓/国際空港の魅力向上を

 関西国際空港が1994年9月4日の開港から30周年を迎える。当時は世界でも珍しい完全24時間運用の海上空港。アジアと米欧を結節するハブ空港として成長してきた▼運営する関西エアポートによると、国際線を利用した7月の外国人旅客数は単月で過去最多の約167万人。来年4月に開幕する国際博覧会(大阪・関西万博)の影響でさらに増えるだろう▼ハブ空港化が経済に波及する効果は大きい。世界各国のメガ空港では国際線の発着を増やすため、滑走路の増設や旅客ターミナルの拡張などが競うように相次いでいる▼周辺のアジア各国を見ると、シンガポールのチャンギ空港で第5旅客ターミナルが計画中。香港国際空港では22年に供用した第3滑走路に合わせ新旅客ターミナルが建設されている▼海外のメガ空港はチャンギ空港にある高さ40メートルの屋内滝のように見どころ満載なスポットが充実し、深夜に営業する商業施設や飲食店も多い。単なる利用だけではなく空港そのものが目的地として魅力にあふれる施設になっている。日本もインバウンドのさらなる増加には世界に誇れる国際空港の存在が欠かせない。




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2024年9月3日火曜日

回転窓/天下の回り物の価値

 新しいデザインのお札が発行されて2カ月。財布の中には新旧デザインのお札が混在するようになり、店舗での支払時にどのお札を渡せばいいのかと一瞬戸惑ってしまう▼肖像をはじめとするお札の様式は財務省、日本銀行、国立印刷局の3者で協議し、最終的には日銀法に基づき財務大臣が決定する。同局のウェブサイトによると、日本初の肖像入りのお札は、1881(明治14)年に発行された「改造紙幣壱円券」。古代神話に登場する神功皇后が描かれた▼肖像の選び方に法令等の制約はないが、なるべく精密な写真を入手でき、品格があって国民各層に知られ、その業績が広く認められている人物だとか。肖像の採用は、顔や表情のわずかな違いにも気が付く人の目の特性を利用した偽造防止も理由の一つ。現在のお札は明治以降の人物から選ばれている▼世の中はキャッシュレス時代で電子マネーの利用が常態化し、現金を使う機会は減りつつある。それでも現金の持つ価値はデジタルのものより重く感じる▼金は天下の回り物-。人の間を巡る紙幣・貨幣を対面で受け渡すことで、お金の大切さや稼ぐ苦労も実感できよう。




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2024年9月2日月曜日

回転窓/頼れる和製ミント

 今年の夏も厳しい暑さで制汗・デオドラント商品の売れ行きが好調だったよう。スプレーやシートタイプのものなど多くの種類が売られている▼中でも汗を拭き取り、肌をサラサラにして清涼感が得られる汗ふきシートの人気は高い。ゼネコンの方によると、汗ばむことの多い現場では季節を問わず、若手を中心とした人たちに欠かせないアイテムだという▼日本で昔から香料や抗菌、制汗、気分転換になどさまざまな用途で使われてきたのがハッカ油。シソ科の多年草の総称である「ミント」の一種ハッカから抽出する。香り成分が虫よけにもなる▼ミントの学名「Mentha」は、ギリシャ神話の妖精「メンタ」に由来する。一説に冥王の妃から嫉妬されたメンタは踏みつぶされ、湿地のハーブに変えられてしまう。悲しい筋書きだが「打たれてなお芳香を増す美しい少女のたとえは、なんとよくできた物語なのかと思わずにはいられない」と前田京子氏は『はっか油の愉しみ』(マガジンハウス)に書いている▼9月の気温も全国的に平年より高い見込み。暑さに気がめいる時は、和製ミントのハッカに頼るのもいい。




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