仙台市は「(仮称)国際センター駅北地区複合施設基本設計業務」の委託先を決める公募型プロポーザル(WTO対象)で受託候補者に藤本壮介建築設計事務所(東京都江東区)を選定した。次点は、山田紗子建築設計事務所(東京都新宿区)+BPDL+佐藤慎也研究室JV(構成=山田紗子建築設計事務所、バウ・フィジック デザインラボ〈東京都千代田区〉)。12月上旬に契約し、履行期間は2025年11月28日まで。業務委託提案上限額は3億5351万8000円(税抜き)。26年度に実施設計、27年度に工事着手。31年度の開館を目指す。概算工事費は約336億円(税込み)と試算している。
プロポーザルには77者が応募。75者が1次審査を通過し、69者が技術提案書を提出した。第1段階で30案、第2段階で11案を選び、公開プレゼンテーションに進む5案に絞り込んだ。受託候補者、次点以外の最終審査には北澤伸浩建築設計事務所(横浜市都筑区)、昭和tデYetBJV(昭和設計、tデ一級建築士事務所〈名古屋市中区〉)、日建設計が参加した。審査委員長は青木淳氏(AS主宰、京セラ美術館長)が務めた。
建設地は地下鉄東西線の国際センター駅に近接するせんだい青葉山交流広場(青葉区青葉山2の1ほか)の敷地面積1万8748平方メートル。延べ床面積は最大3万2000平方メートル程度とし、音楽ホールは2000席規模の大ホールと音響を重視した350席程度の小ホール、災害文化の創造拠点となる震災メモリアル機能や広場エリアを設けた複合施設を整備する。
受託候補者に選定された藤本壮介建築設計事務所は複合施設のコンセプトに「たくさんの/ひとつの響き」を掲げ、多様な記録と活動がつながる場所を提案した。技術提案書によると、地下1階地上4階建て延べ3万1388平方メートルの規模で、大ホール空間をコンサート時のサラウンド型、合唱コンクール時のプロセニアム型、オペラ、舞台演劇時の4パータンに加え、壁を開放することで建物全体がサラウンド型の劇場に拡張。メモリアルコンサートなど年数回を想定し、音楽を介して建物全体で5000人規模の人がつながる場所を打ち出した。メモリアル施設は、東日本大震災の記憶や経験は「ひとくくりにでできないもの」として、常時展示やアーカイブ、市民活動と多目的交流、企画展示などの機能が有機的な連動を図るようグラデーショナルな配置とした。
仙台市青葉区の日立システムズホール仙台で8日に開いた最終審査を終え、青木委員長は「音楽ホールと震災メモリアルが融合する先例がないタイプの建築であり、ここにしかない、日常的に行ってみたい場所になることが求められた。5案全てが高いレベルだった」と総評。受託候補者は「震災に対するそれぞれの経験や観点を空間につくり込み、音楽を通じフレキシブルに対応する計画で、新しい公共的な場所という意味でもふさわしい。仙台に事務所を置きプロジェクトに関わる姿勢」を高く評価した。審査結果を受け、郡和子市長は「今日、重要な一歩を踏み出した。対話を重ね、杜(もり)の都のシンボルとして、仙台にしかない施設整備を着実に進めていきたい」と締めくくった。
from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166954
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