2024年9月9日月曜日

19年台風15号から5年/千葉県が建協・自治体と連携強化、初動対応など教訓生かす

 千葉県の広い範囲で大規模な建物被害や停電をもたらした2019年9月の台風15号から5年を迎えた。情報収集や初動体制などの問題が浮き彫りとなったことから、県は建設業協会や各自治体との連携を強化。今年8月の非常に強い台風7号発生時には早くから災害対策本部を立ち上げた。5年前の教訓を生かし、「アクションをしっかりと取ることができた」と四童子隆県土整備部長は語る。
 「令和元年房総半島台風」と命名された台風15号は、千葉市で観測史上1位となる最大瞬間風速57・5メートルの記録的な暴風をもたらした。全壊した家屋は391棟、半壊・一部破損は7万6483棟に上る。浸水の被害も大きく、230棟に及んだ。強風によって送電線の鉄塔や電柱の損傷・倒壊、倒木などで配電設備が故障。首都圏をはじめとする地域で大規模な停電が発生し、最大約93万4900戸が被害を受けた。
 復旧に向け、国の要請を受けた千葉県建設業協会や関東甲信越地方の建設業協会は、ブルーシートの調達や被災家屋への設置作業を実施した。倒木の撤去や自衛隊と連携した活動を行うなど、地域の守り手としての活動に取り組んだ。
 電力網の復旧には難航した。現場の被害状況の確認作業などに時間がかかったことで停電が長期化。これに伴い断水や通信障害の規模が拡大したため、地域住民の生活に大きな影響を与えた。
 災害復旧に遅れが出た背景には、自治体の被災情報の収集体制がうまく整っていなかったことや、初動体制に遅れがあったことがある。県は非常時にリエゾン(現地情報連絡員)として県職員を市町村に派遣する制度を導入。自治体への応援態勢を構築することで、被災情報の共有・連絡体制を強化した。
 房総半島台風の経験から得られた教訓は、8月中旬に発生した非常に強い台風7号の対応に生かされている。事前に国土交通省関東地方整備局が音頭をとって関係者会議を立ち上げ、大規模停電発生時の迅速な復旧に向けて準備。初動対応に遅れがないよう、台風が千葉県に上陸する前から災害対策本部を設置した。市町村との連携では、地域リエゾンの派遣を実施し、各自治体の災害対策本部に参加。県との連絡体制を強固にした。幸いにも台風はそれる結果となった。
 四童子県土整備部長は「(各機関と)情報共有して臨めたのは大事なポイントだ」と振り返る。続けて同下旬に発生した台風10号に対しても、規模は異なるものの災害対応の体制を整えた。
 この5年で県が培ってきた災害対策が、近年の台風に生かされ始めている。地域間や業界団体との連携をさらに深め、より確実な対応が求められる。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166907
via 日刊建設工業新聞

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