改正建設業法で規定された「労務費に関する基準(標準労務費)」の作成や運用に向けた検討が本格的に始まった。中央建設業審議会(中建審)の下にワーキンググループ(WG)を設置し、10日に東京都内で開かれた初会合=写真=で議論の前提となる基本方針について委員間で合意した。具体的な金額設定など基準作成の議論に終始せず、実際に契約当事者間で活用されるよう運用面に重点を置く。=2面に関連記事
WGの設置は、改正業法の一部規定が1日施行し中建審に標準労務費の作成・勧告権限が付与されたことを受けた措置。建設工事の発注者・受注者、元請・下請といった立場が異なる委員で構成する。利害関係から生じる目線の違いを踏まえ、国土交通省は会合で、標準労務費の▽目的▽活用・運用▽作成-の三つの観点から基本方針案を提示。まずは検討の方向性で認識を共有し、次回から個々の論点を詰めていく。
標準労務費の活用方法を分かりやすく示し、中小事業者や一人親方も含む契約当事者にあまねく理解・活用してもらうことで運用面の実効性を高める。具体的な基準の作り込みでも「正確さ」よりも「使いやすさ」を重視。現行の契約実務に沿って1トンや1平方メートルといった単位施工量当たりの金額で設定することを基本とし、工種や規格の違いによる細分化は最小限にとどめる。これにより標準労務費に基づく見積もりと書面での契約を業界慣行とする。
制度の理解・活用を一方的に周知するのではなく、業界団体と連携した活用促進に取り組む。下請による技能者への賃金の支払いを担保する方策も同時に措置。建設Gメンなどによるルール順守の検証を通じ、まじめな事業者や発注者が不利益を被らないようにする。
適切な労務費・賃金の目安は、公共工事設計労務単価に相当する賃金を支払うための原資が行き渡る水準とする。生産性向上のインセンティブが失われない仕組みとし、労務費の低減によるコスト競争の余地を残す必要性も確認。設計労務単価を基礎とした労務費の行き渡りと賃金の支払いを前提としつつ、受注者が物的労働生産性(単位時間当たりの施工量)を向上させ労務費を下げた場合、その分を競争力として発揮できるような工夫を講じる。
最初から完全な基準を目指さず、いったん公表した後でも必要に応じ修正を加える「アジャイル(俊敏な)型」の考え方を取り入れる。すべての職種・工種で一斉に作成するのではなく、準備が整った職種から順次、検討する考え。各専門工事業団体などと意見交換を別途実施し、WGに成果を反映させていく。
from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166977
via 日刊建設工業新聞
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