東京都内で14日に遠泳大会が開かれた。舞台は荒川。川泳ぎの猛者たちが1・5キロを泳ぎ切った▼東京・下町の方にとって荒川は原風景の一つかもしれないが、その歴史は浅い。理由は人工的に造られた川だから。きっかけは1910年に発生した大洪水だ。堤防の決壊などが相次ぎ東京水没と言われる事態となった▼甚大な被害を教訓に明治政府が人工河川として整備したのが現在の荒川放水路。パナマ運河建設に従事した土木技師の青山士が陣頭指揮を執った。「この世を私が生まれた時よりもより良くして残したい」。青山はこの言葉をモットーにしていた▼荒川と隅田川の分岐点には、増水時に流量を調節する岩淵水門(東京都北区)を設けた。現在は2代目が活躍中だ。当初整備された初代水門は8月、重要文化財に指定された▼来月12日は通水開始100周年の節目。水門周辺で安全祈願や企画展示、見学・体験会などのイベントが予定されている。これまで一度も決壊することなく流れ続け、沿川都市の発展を支えてきた。この当たり前をしっかり引き継ぐ--。そうした決意を現代に生きるわれわれは持ち続けるべきだろう。
from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167207
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