2019年11月11日月曜日

【「照明の文化を継承したい」】照明デザイナー・石井幹子氏が文化功労者に

 ◇代表作に東京タワーやレインボーブリッジ◇

 東京都内のランドマークである東京タワーやレインボーブリッジの照明を手掛けたデザイナーの石井幹子氏が10月29日、文化功労者に選ばれた。橋梁や大規模建造物のイルミネーションにとどまらず、自由自在に光を操るパフォーマンスなど幅広い領域を開拓。文化功労者の決定を受け、石井氏は照明が持つ可能性がさらに広がるよう、力を注ぐとの思いを語っている。

 石井氏は1962年に東京芸術大学を卒業した後、65~67年にフィンランドへ渡り、照明設計事務所に勤務した。帰国後の68年に独立し、石井幹子デザイン事務所を立ち上げた。89年に東京タワーのイルミネーションで頭角を現した。90年に大阪府で開かれた国際花と緑の博覧会の「光ファンタジー電力館」、レインボーブリッジのデザインが高い評価を受け、北米照明学会の大賞を受賞した。

代表作の一つである「東京タワー」の証明
(写真提供:石井幹子デザイン事務所)
海外作品も数多く手掛け、豪州の「メルボルンセントラル」(91年完成)の照明デザインに関わった。仏パリで行われた「日仏交流150周年記念プロジェクト」(2008年開催)や「日本・スイス国交樹立150周年記念」(14年)のイベントなどにも携わった。幻想的な世界観を演出した創作活動が評価され、00年には紫綬褒章を受章した。

 文化功労者の決定を受け、石井氏は「橋梁や建物などの構造物をより引き立たせる照明デザインの分野で評価されたことは大変喜ばしい」とコメント。国内外での活動を通し、今後は「新素材をうまく組み合わせながら、日本が持つ照明の文化を継承していきたい」と話す。

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