2016年9月27日火曜日

【記者手帳】豊洲市場問題から考える

 外部の専門家会議の提言と異なり、土壌汚染対策の盛り土が施設直下にはされていなかった豊洲新市場の問題で東京都が大きく揺れている。詳細な経緯や理由は-。テレビや新聞は真相をめぐる報道を連日繰り広げている◆問題を最初に指摘したのは都議会共産党。その後、他の政党も独自の調査を次々敢行した。マスコミ、議会、都の3者が発信する情報が錯綜し、その慌ただしさが世間の不信感を一層高めているようにも見える。危ぶまれるのは、都が対策は万全としてきた豊洲市場での問題発覚で、他の公共事業にも疑念を持たれはしないかということだ◆特に世間の注目度が高い2020年東京五輪の競技会場整備などは、矛先が向きやすい事業の一つではないか。証拠もない一方的な疑惑には取り合う必要はないだろうが、建設業界としても、理不尽な批判が行われないよう気を引き締めておきたい◆全国では、地震や台風被害からの復旧支援で多くの建設業者が奔走している。「日本経済をけん引する」と自負する東京が、建設業の足を引っ張るような事態にだけはなってもらいたくない。(も)

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