◇成長する姿が感じられるように◇
入社後に配属された名古屋市発注の雨水貯留管建設現場に従事し、2年が過ぎた。シールドトンネルの建設に携わり「目標だった自己成長を少しは感じられるようになりました」と話す。
出身は埼玉県。実家の建て替えを目の当たりにし、間取りの絵を描くのが好きな子どもだった。「ものづくりにあこがれたのはその時がきっかけでした」。あこがれを現実にしようと、法政大学デザイン工学部に入学、土木を学んだ。就職先には「勉強したことを納得でき、自分の幅も広がる仕事に就きたくて」、迷わずゼネコンを選んだ。
ただ、建設関係とは無縁の家庭環境。「女性がゼネコンに入って何をするの」と両親は猛反対だった。初めての土地で、仕事に悩んだ時は両親に電話する。「今でもあまり理解が得られていないので、嫌なら帰っていらっしゃいと言われ、反発してしまいます」。しっかり者で、負けん気に火を付ければ、さらに頑張る娘の性格を知っての親心かもしれない。
上・下流2本のトンネルを構築する現場はこの夏、掘進作業が完了し、大きなヤマを越えた。シールドマシンの到達には2本とも立ち会えた。「すごくラッキーでした。仕事がうまくいかなくて苦しい時もありましたし、測量が間違っていたら自分の責任と思い、不安だらけでしたので、計画通りに到達する瞬間を見て、本当に感動しました」。
入社当時、現場の女性技術者は一人だけ。先輩たちにも戸惑いがあったかもしれない。でも、呼び方が「愛ちゃん」から、大きな声で「内田」と言われるようになり、「技術者として少しずつ認めてもらえている」と思えるようになった。「周りの人たちはプロフェッショナル。いろいろなことを学び、もっと自分を成長させたい」と向上心旺盛だ。
女性が活躍する社会への転換は、建設業界でも大きなうねりになり、会社の女性技術者も増えてきた。「後輩ができ、変えていく役割を担っているんだなと感じます。これから建設業界を目指す人たちが、安心して入ってこられるようにしていきたいですね」と自覚する。
最後に「まだ、自分の将来ビジョンを思い描けないんですが、たくさん経験を積んで、働き続けるのが夢です」と語ってくれた。
(中村中部雨水幹線下水道築造工事作業所、うちだ・あい)
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