建築物の写真を撮るのは難しい。被写体が大きく高くなるほど普通のレンズでは垂直性が失われ、全体が「ハ」の字形に写ってしまう。そうした写真を手に「素人だから」と自分を慰めることも▼撮影時に心掛けているのが、建物の周辺も撮ること。建物の中や外になるべく人がいる場面でシャッターを切るようにしている。おしかりを覚悟で書くと、人が写り込んでいない建物写真にはハの字写真よりも違和感を覚えてしまう▼建築写真で著名な村井修氏の作品は、建築だけにとらわれない幅広い視野や見方を教えてくれる。建築の成り立ちをもっと広く見て、日常生活や芸術など建築の背景としての周辺にも目を向ける。そんな写真家に自作を撮ってほしいという建築家も少なくない▼村井氏の故郷の愛知県半田市で写真展が始まった。市内の貴重な建造物5カ所を会場とする大規模な展覧会で、代表的な写真シリーズやポスターから初公開の作品まで鑑賞できる▼醸造や海運といった歴史の営みが残る半田の街を巡りながら、人を引きつける村井氏の感性と写真の魅力に触れてみてはどうだろう。10月16日まで。
村井修 半田写真展の情報はこちらから
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