2016年9月6日火曜日

【記者手帖】大胆な決断と冷静な判断を

東京都の小池百合子知事が、11月に予定されていた築地の中央卸売市場の豊洲新市場への移転に待ったをかけた。2020年東京五輪では選手や観客の足を担う臨海部と都心部を結ぶ都道環状2号線の整備ルートに築地市場があるため、事業に影響が出るのは必至。間に合うのか、関係者は気をもむ◆影響が及ぶのは五輪や建設業だけではない。市場で働く仲買人や飲食店への影響が最も大きいだろう。移転に向けて大型投資をした人や、移転を諦めて店をたたむ決意をした人。どちらも生活がかかっているだけに深刻だ◆生鮮品を扱う市場だから安全性の確保は最重要。建物の使い勝手についても問題を指摘する声が上がっていただけに、移転に慎重にならざるを得ないのは当然だろう。ただ、移転延期の影響を最小限に抑える具体策を事前に用意することも必要だったのではないか◆小池知事が「都民ファースト」を掲げて始動させた都政の大改革。改革には多かれ少なかれ必ず痛みが伴う。一つの決断が及ぼす影響は大きい。多くの都民が支持する新知事だけに、大胆な決断とともに冷静な判断も求めたい。(は)

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