2020年2月10日月曜日

【駆け出しのころ】五洋建設執行役員土木部門担当・近藤敬士氏


 ◇当事者意識で問題解決を◇

 子供のころは地元の海や山が遊び場で、体を動かすことが好きでした。将来の仕事はデスクワークをしたくないと父親に伝えると、「それなら土木の仕事だろ」と言われたのを覚えています。大学の授業での水理学はどちらかと言えば苦手でしたが、海のそばで育ったこともあり、海上土木のマリコンで働きたいと考えていました。

 縁あって入社した五洋建設では、まず中国支店の設計部へ配属になり、1年ほど土圧の計算やケーソンの設計などを担当した後、広島県福山市を流れる芦田川に架かる山陽自動車道の橋梁工事現場に異動しました。それまで設計部にいたこともあり、現場での数値計算なども任されましたが、新人では十分に対応できず専門書などを買い込んで勉強し、現場以外の先輩技術者などにアドバイスや指導をいただきました。

 構築する10基の橋脚のうち、最後の2基は測量から下請業者への指示、検査など一連の業務をすべて任されるなど、ハードな現場でスパルタ的に鍛えられましたが、土木技術者として成長できたと思います。

 その後も福山市内の官民の陸上、海上土木の現場を5年ほど回りました。それなりの自信が付くと、現場に愛着を感じるようになります。これからも現場にずっと携わっていこうと思っていたところで、中国支店の計画部門に異動となってしまいました。現場の施工管理と異なり積算や施工計画の検討では、外部技術者とのネットワークを広げることができました。上司には、打ち合わせしてすぐ手を動かそうとするとしかられたことを思い出します。

 実業務に入る前に、頭の中で時間をかけて考えを巡らせ、十分に情報を集めて整理した後、資料作成などのアウトプットに取りかかるという基本動作を学びました。また、「24時間、頭を使い続けろ」ともよく言われました。上司に負けたくないという思いが湧き上がり、技術士の資格を上司が取得した年齢よりも早く取ってやろうと熱心に勉強しました。夜の付き合いもハードでしたが、自然とやる気にさせてくれる上司でした。

 働き方改革が叫ばれる中、若い人たちには一日中、仕事のことを考えろとは言えません。けれども何事も「当事者意識」を持って取り組んでほしいと思います。現場所長を務めた原子力発電所の関連工事では、若手に地盤の耐震強化のためのアイデアを出してもらい、実際工事に取り入れて当事者であることを意識してもらいました。

 知識や経験が足りなくても社内には多くの人材がおり、教えてもらうことができます。一人で抱え込まず、主体的に問題解決に取り組む姿勢が何より大切です。

入社1年目、協力会社の方と芦田川橋梁の工事現場で(右側が本人)
(こんどう・けいじ)1986年芝浦工業大学工学部土木工学科卒、五洋建設入社。北陸支店土木部長や土木部門土木本部土木部長、土木本部副本部長などを経て2019年4月から現職。宮崎県出身、56歳。

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