田中和徳復興相は18日、3月11日で東日本大震災の発生から9年を迎えるのを前に、報道各社の取材に応じた。地震や津波の被災地、福島第1原発事故の影響で復興が遅れている被災地など地域の実情に応じた施策を着実に推進。「復興・創生期間」(2016~20年度)の最終年度となる重要な節目を控え「現場主義で丁寧に対応していく」と気を引き締める。
--復興・創生期間の仕上げの年に入る。
「地震や津波で被災した地域では公共インフラの整備をおおむね完了させる。住まいを再建して仮設生活の解消を目指す。原発事故の被災地域では引き続き帰還環境の整備を進めるとともに、復興五輪を契機に風評を払拭(ふっしょく)したい。復興庁設置法などを改正し、復興・創生期間後の復興にも万全を期す」
--帰還困難区域での避難指示の解除に向けた取り組みは。
「長い年月を要してもすべての帰還困難区域で避難指示を解除するよう責任を持って取り組む。まずは(同区域で)再び住めるようにする『特定復興再生拠点区域』に認定された区域の整備を着実に進める。認定されていない区域では、各地域の実情や土地活用の意向などを分析する。地方自治体の要望なども踏まえ、避難指示の解除に向け政策の方向性を検討していく」
--原発周辺の環境再生事業の進捗(しんちょく)は。
「除去土壌の中間貯蔵施設への搬入を21年度までにおおむね完了させる。20年度も19年度と同程度の輸送量を確保する。中間貯蔵施設の保管期限となる30年という約束を重く受け止めている。県外での最終処分に向け、除去土壌の減容化や再生利用に関する知恵を絞らないといけない。今後も地元のご意見を聞きながら努力していく」
--福島浜通り地域の国際教育研究拠点の周辺街づくりをどう進める。
「昨年11月に有識者会議がまとめた中間報告によると、国内外の人材を集積するには街づくりが重要だと提言している。研究拠点の整備に向け大学や企業などにヒアリングを行っているが、必要な生活環境についても丁寧に伺いたい。コンパクトな研究タウンを整備していく考えだ」
--昨年の台風19号では東日本大震災の被災地でも多くの被害が出た。災害の激甚化にどう対応する。
「大規模な自然災害が頻発する中、『想定外』という言葉はもう使えない。災害が起きたら、予算確保を含め早く手当てしていく。緊張感を持って対応していかなければいけない」。
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