2020年9月29日火曜日

【回転窓】時代とともに変わるもの、変わらないもの

  家族で食卓を囲んでいた時、高校生の娘が「○○ってぱないよね」と言って、思わず顔をしかめてしまった。半端ではないを省略してぱない。意味は分かるのだがそこまで省略しなくても…、とつい思ってしまう▼先週文化庁が2019年度の「国語に関する世論調査」結果を発表した。国語が乱れていると思うかどうかを尋ねたところ「乱れていると思う」と回答した人は66・1%。2014年に実施した前回調査に比べ割合は7ポイント低下した▼日本語の乱れという指摘をよく耳にする。確かに6割以上の人が乱れを感じていたのだが、一方で「乱れていないと思う」という回答も3割あり人によって感じ方は違うと改めて思った▼言葉は時代によって変わるもの。はるか昔を生きた人が現代の会話を聞き、文章を読んだら頭の中に?マークが浮かぶだろう。ただ国語が乱れていると目くじらを立てても仕方がない。SNS(インターネット交流サイト)が日常生活に溶け込んだこれからは、表現はもっと自由に、多様になっていくはず▼とはいえ記者という言葉を扱う仕...

【記者手帖】まずは社会構造から

  農林水産省のユーチューブチャンネルがちまたで話題という。職員自らが動画の企画や出演、編集をこなし、農林水産業や生産物などの魅力を発信。自由でゆるい、いい意味で官僚らしからぬ雰囲気が評判だ。中間管理職による決裁を不要にしたのが自由さの秘訣(ひけつ)の一つという◆現場で新しいことに挑もうとしても、旧態依然の価値観を持った決定権者につぶされることは往々にしてある。既成概念と戦うという意味で、女性活躍の分野でも同様のことが起きているのではないか◆建設業をはじめあらゆる産業で女性活躍に向けたロードマップや計画などをまとめている。ただ、その過程で一体何人の女性の意見を反映したのか。会議体の男女比はどれくらいだったのか◆組織で決定権を持つ上層部に女性が少ないというのは、新内閣の顔ぶれにも当てはまる。女性の活躍を考えるなら性別に関係なく能力で評価する、前段として能力を身に付ける機会や選択肢を均等にする必要がある。業界ごとで考えるより先に、抜本的な社会構造の問題と向き合わないといけない。...

【施工は清水建設、復元完了は2022年3月】第一次大極殿院南門に金箔仕上げの屋根飾り設置

  国土交通省近畿地方整備局国営飛鳥歴史公園事務所が奈良市の平城宮跡歴史公園で復元を進めている第一次大極殿院南門に「鴟尾(しび)」と呼ばれる屋根飾りを取り付ける作業が28日、工事現場で行われた。 24日には西側の屋根にも鴟尾を設置しており、両端に美しい飾りがお目見えした。復元工事の設計・工事監理は文化財建造物保存技術協会、施工は清水建設がそれぞれ担当。来年夏ごろに素屋根の曳き屋工事が行われ、22年3月に南門の復元が完了する。 南門は第一次大極院殿の正門で、天皇が役人たちへの叙位やうたげを催した場でもあった。入母屋造(木造平屋)の二重門で高さは約20メートル、幅22・1メートル、奥行き8・8メートル。延べ面積は195・7平方メートル。南側にある朱雀門よりもやや小さい。 南門の復元工事は2017年11月から始まり、19年から奈良県など紀伊半島産のヒノキなどを加工した部材の組み立て作業が本格化した。順調に工事が進む中で、屋根の瓦の取り付け作業がほぼ完了し、両端に高さ1・5メートル...

【三井不レジとナイキジャパンが連携】東京・豊洲にスポーツパーク、10月10日オープン

  三井不動産レジデンシャルと大手スポーツ用品メーカーのナイキジャパンは、東京都江東区に期間限定のスポーツパーク「TOKYO SPORT PLAYGROUND SPORT×ART」をオープンする。 6995平方メートルの敷地に立体型ジャングルジムやバスケットボールコート、スケートボードコート、クラブハウスなどを配置。高低差を設けたランニングトラックで取り囲む。設置期間は10月10日~2021年9月20日を予定している。 所在地は所在地は豊洲6の4の1。設計はジーエー建築設計社が担当した。車いすのままシャワールームや遊具が利用できるなど、多くの人がスポーツを楽しめるようにした。バスケットボールコートやランニングトラックなどの床材は地球環境に配慮し、ナイキの余剰製造素材や使用済み製品を再利用した「Nike Grind」を採用してい...

【歩行者の利便性や回遊性が向上】変わる渋谷駅、西口連絡通路と再開発ビル接続デッキが供用

  東京・渋谷の渋谷駅西口で26日から二つの新しい歩行者通路の供用が始まった。 渋谷駅街区開発計画を進めている東急、JR東日本、東京メトロが整備した「西口連絡通路」と、道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発組合、東急不動産が整備した「渋谷フクラス接続デッキ」。渋谷駅と高層複合ビルの渋谷フクラスが地上2階でつながり、歩行者の回遊性が高まった。 連絡通路、接続デッキとも新型コロナウイルスの流行に配慮し供用開始を先送りしていた。施工は連絡通路は東急建設、接続デッキが清水建設。 渋谷駅の西口は旧東急百貨店東横店内の通路がJR線、東京メトロ銀座線、京王電鉄井の頭線の乗り換えで使われていた。西口連絡通路の供用に伴い同店内の通路は25日の終電で閉鎖された。今後同店の解体工事が本格的に始まる。 西口には関東地方整備局東京国道事務所が再整備した渋谷駅西口歩道橋がある。西口連絡通路から接続デッキを経て渋谷フクラス内の通路を通れば、国道246号の南側や桜丘町方面にアクセスしやすくな...

【社会・経済発展に貢献】2020年度選奨土木遺産に黒部ダムなど26件

  土木学会(家田仁会長)は28日、2020年度「土木学会選奨土木遺産」として26件を選定したと発表した。戦後の電源体制を支えた水力発電所用の大規模貯水施設で、トンネルや軌道など関連施設を含め難工事を経て完成した黒部ダム(富山県立山町ほか)などを選んだ。 選奨土木遺産は00年度に創設した。原則竣工後50年経過した交通や防災、農林水産業、エネルギー、衛生、産業、軍事などの用途に供された広義の土木関連施設を対象に、社会へのアピールや街づくりへの活用といった観点から選考委員会(天野光一委員長)が審査を行った。青銅製の銘板を授与する。 2020年度「土木学会選奨土木遺産」は次の通り。▽件名=〈1〉所在地〈2〉完成年〈3〉選定理由。 ▽金山ダム=〈1〉北海道南富良野町〈2〉1967年〈3〉中空重力式構造やフロート式取水塔など先駆的技術を採用神居大橋(北海道旭川市) ▽神居大橋=〈1〉北海道旭川市〈2〉1938年(58年、72年、81年に木部材など改修)〈3〉景勝地の神居古潭に架かるつ...

2020年9月28日月曜日

【回転窓】秋といったら赤とんぼ

  今年の夏はうんざりするほどの猛暑が9月上旬まで続いた。ここに来て気温は下がり連日の雨。季節はゆっくり秋に移っている。秋の風物詩はたくさんあるが、アキアカネをはじめとする赤とんぼを思い浮かべる方も多いのでは▼東京都内に居を移してから姿を見掛けなくなった赤とんぼ。涼しい場所を好むそうで、地球温暖化の影響で個体数が激減している地域もあると聞いた▼とんぼの生息状況を調べる方法はヤゴ(幼虫)の抜け殻や成虫を確認するのが一般的。天候などの影響を受けやすく手間も掛かるため、実際にどの程度減少しているのか広い範囲で継続的に把握するのは難しいようだ▼国立環境研究所と早稲田大学の研究チームが棒状の先にとまりやすい赤とんぼの性質に着目、安価な自動撮影装置を発明し屋外のモニタリング調査で実用性を確認した。赤とんぼの分布変化の実態解明にとどまらず生物多様性のデータ収集など活用の幅が広がるかもしれない▼温暖化による自然の変化を正確に捉え、原因などを分析することは早期の対策につながる。分野を問わずモ...

【新型コロナで変化の潮流】変わる働き方と住まい方、開発事業の計画見直し顕在化

  大手デベロッパーらが主導する開発事業で、計画を見直す動きが顕在化してきた。新型コロナウイルスの流行で働き方や住まい方が変化しつつあり、街づくりのニーズも今後変わっていく可能性がある。大手デベ各社は施設に導入する設備や機能、事業全体の用途配分の検討に腐心している。 不動産協会(不動協)の菰田正信理事長は「アフターコロナでどうなるのかを見据えて、(事業計画を)見直すケースが出てきていると思う」と現状を分析する。新型コロナが収束したとしても、「別のウイルスなどが5年、10年後にまた出てくる可能性は否定できない」と指摘。コロナ禍と同様の事態を見据え、建設するビルに強力な換気設備、非接触でエレベーターやエントランスに入場できるシステムなどの導入を「各社考えている」状況という。施設の造り込みによって「工期が伸びる事例も出てくる」との考えも示した。 ビル1棟の建設にとどまらない複合開発も「どの用途にウエートを置くか」(菰田理事長)再検討する事例が出ている。アフターコロナの街づくりで重...

【途絶えた往来、回復の道程は】東京都有識者会議、インバウンド復活へ対応模索

東京の名所から外国人観光客の姿が消えた  ◇受け入れ再開へ模索、国内観光のてこ入れも◇ インバウンド(訪日外国人旅行者)は復活するか-。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は観光産業に大打撃を与えた。世界中で人々の往来が途絶え、年3000万人を超えた日本国内のインバウンド需要は一気に消滅。ただ、観光分野の専門家や宿泊事業者からは先行きを楽観視する意見も。ウィズコロナの視点でインバウンドの受け入れ態勢を整える道筋を探っている。 「インバウンドは復活する。そのように皆さんの意見は一致している」。東京都庁で9日に開かれた観光振興に関する都の有識者会議。元観光庁長官で国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所代表の本保芳明氏はそう強調し、インバウンドを再び迎え入れるための態勢を準備し、国際的なプロモーションを継続するよう訴えた。 国を挙げてインバウンド振興に注力する中で「国内観光には無かった革新の手段を得てきた」と本保氏は指摘する。デジタルマーケティングや滞在型観光のノウハウを生か...

【凜】松江工業高等専門学校・芹川由布子さん

 ◇楽しみ学び続ける姿勢を◇ 自由な校風、部活動やコンテストなど充実した課外活動、学校生活をサポートしてくれる先生たち。高専の教員を目指したのは自らの経験があったからこそ。福井高専で土木を学び、金沢大学に進学して地震・防災を専攻して博士号を取得した。 松江高専に採用され着任したのは1月。「学生と身近に接することができること」がやりがいだと話す。自身が大きく成長できたのは15~20歳のころだった。だからこそ、多感な時期を迎えている学生に「楽しさやうれしさ、つらさや悲しいことなどいろいろな体験をしてもらいたい」と目を細める。 学業で大切になる卒業研究では「学生を外に連れ出して地域の方に触れ合ってもらう環境を用意したい」と考えている。学校というフィールドを飛び出し「地域という教材で防災を学んでほしい」という願いがある。 男社会だった建設産業も徐々に変わりつつある。高専で教壇に立ちながら「建設業に女性の活躍の場が多くあることを紹介していきたい」と強く思っている。 小学校から大学までバレーボー...

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】伊藤組土建(札幌市)「スタイリッシュで屋外作業に最適なデザイン」

  社員アンケートで変更を望む意見が多かったことを受け、2017年2月に作業服を一新した。こだわりのポイントは、自社のロゴマーク「ひしこ」の色と同じ「ひしこブルー」を採用したブルゾン。メモやペンが出し入れしやすいようにポケットの配置を工夫し、タブレットやスマートフォンが入る内ポケットも設けた。 屋外での活動に適した作業服に仕上げるため、夏用は薄く通気性の良い生地、冬用は厚くて保温性に優れた生地を選択。以前はなかった女性用のサイズもそろえた。 作業服と一緒にヘルメットと防寒着もリニューアルした。特に防寒着は冬が長く厳しい地域特性を考慮し保温性に重点を置いて制作。人の目に触れる機会の多い現場での着用を考え、作業服の上から着てもスマートに見えるようデザインにこだわった。 社員からは「以前よりスタイリッシュになった」「ポケットの配置が良く使いやすい」と評価も上々。ユニホームづくりに携わった総務部の薄木かなこさんは、「社内と業者との調整にかなり労力を費やしたが、社員が新しい作業着を着...

【駆け出しのころ】熊谷組執行役員経営企画本部長・川村和彦氏

 ◇悩みや苦労を成長の糧に◇ 早く一人前になりたいという思いが常にありました。就職活動ではさまざまな業界を回って働きがいがあり、自分が成長できそうな分野を絞り込んでいきました。 最終的には社会貢献を肌感覚で実感できるものづくりの中でも、インフラなどスケールの大きな仕事を手掛けるゼネコンを志望。当時は絶好調で海外事業に強く、社員の方々も伸び伸びと仕事をしている印象を受けた熊谷組に強く興味を引かれたのを覚えています。 最初に配属された東京支店では、都心区の建築・土木の現場を抱える工事所で勤務し、現場事務のことを学びました。技術・知識を何も身に付けていない状況で、まずは人の話を聞いて仕事を覚えようと無我夢中の毎日。上司や先輩たちに恵まれ、夜の部も含めて鍛えられました。 若いころは成長への焦りもあり、会社に十分に貢献できていないのではないかと悩んでばかり。毎月の給料から1万~2万円は書籍の購入費用に回すなど、とにかく自分に力を付けることに飢えていました。 入社4年目に東京支店の経理課に異動。...

2020年9月23日水曜日

【回転窓】ダムからの秋の贈り物

  日中も過ごしやすい季節になってきた。二十四節気の一つ秋分を迎えた4連休はマスク姿で感染症対策をしながら、少し遠出をした人が多かったようだ▼政府の観光支援事業「GoToトラベル」で東京発着の旅行商品の販売が始まった。高速道路会社は道路の周遊と宿泊がセットになるプランをPRしている。高級ホテルだけでなく、コテージやバンガローへの宿泊が補助の対象になるキャンプ場もあって、観光需要の回復に期待が掛かる▼岐阜県下呂市にある水資源機構の岩屋ダムが今年も流木を無料配布する。大雨や台風でダム湖に流れ込んだ木を有効に利用する取り組みの一つ。30センチほどの長さで配る▼流木は人気が再燃してきたまきストーブやたき火の燃料に最適だそう。昨年はトラックの荷台をいっぱいにして持ち帰った人もいた。今年は1人当たりの量を制限し、先着順の電話予約を管理所で10月5日から平日午前9時~午後4時に受け付ける▼たき火の暖かさが心地よく感じられるようになった秋の夜。大自然の中で何も考えず風に揺らめく炎をじっと見...

【ODA案件が9割超】19年度海外コンサル受注、アジア地域が過去最高の1045億円に

  国際建設技術協会(国建協、橋場克司理事長)がまとめた日本企業による海外建設コンサルティング業務の2019年度受注実績によると、地域別の受注額はアジア地域が1045・2億円(前年度比16・0%増)で過去最大となった。 総額の72・9%を占める。うち政府開発援助(ODA)案件は989億円。著しい経済成長を背景にアジア各国ではインフラ整備計画が潤沢で、特に鉄道をはじめ運輸交通分野の大型案件の受注がけん引した。 19年度の受注総額は1433・7億円(14・1%増)となり、過去最高を更新した。地域別に見ると、アジア地域の件数は370件と前年から9件減少したが、1件当たりの受注額は増え、受注額は前年の901・2億円から約144億円増加した。 9割超が国際協力機構(JICA)の円借款事業。「南北通勤鉄道事業」(フィリピン)、「ダッカ都市交通整備事業」(バングラデシュ)、「ヤンゴン-マンダレー鉄道整備事業(フェーズ2)」(ミャンマー)といった10億円以上の大型契約が全体を押し上げた。 ...

【10月着工、施工は東洋建設】稲毛海浜公園(千葉市美浜区)に海上ウッドデッキ整備へ

 千葉市美浜区の稲毛海浜公園のリニューアル事業を行っているワールドパーク連合体(千葉市美浜区)は、公園内にあるいなげの浜で「海へ延びるウッドデッキ」の建設に着手する。 延長90メートル、幅10メートルのデッキを砂浜から海に突き出す形で整備。上部にカフェやイベントスペースを設ける。砂浜にリゾート感を生み出し集客の目玉とする。施工は東洋建設。10月に仮設工事に入り、2022年4月の供用開始を目指す。 デッキは海上部分の延長が約47メートル。砂浜から徐々に高くなり末端部は5・2メートルの高さになる。満潮時でも海水につからない。カフェやイベント空間として活用し、車いす用のスロープも設ける。 計画によると11月に基礎杭工を開始する。21年3月ころに床板設置、ウッドデッキ敷設、舗装工に入る。浜部の整備、カフェの設置などを経て22年3月末までに工事を終える。事業費は約6・4億円。このうちウッドデッキ本体の工事費約5・9億円を千葉市が支出。カフェなどの整備費約5000万円は同連合体が負担する。 市は...

【民間事業者、分割募集から一括募集へ】築地市場跡再開発、事業者選定の方針転換

  東京都の小池百合子知事が18日に開会した2020年第3回都議会定例会の所信表明で、旧築地市場(中央区)の跡地開発の検討状況を明らかにした。 小池知事は「先行整備とそれに続く本格整備の事業者を2022年度に一体的に募集する方向で実施方針を検討していく」と表明。東京五輪・パラリンピック開催延期の影響で当初の段取りが崩れ、民間事業者の選定方針を転換する。 跡地開発を4段階に分けて進める方針は、昨年3月に策定した「築地まちづくり方針」に明記されている。ゼロ段階は20年ごろ、第1段階は22年ごろ、第2段階は20年代半ば、ゼロ段階の再整備となる第3段階は周辺インフラの整備状況を踏まえて民間事業者を募集することを想定していた。ただ当時から段階ごとに分割募集せず、一括募集する可能性も除外してはいなかった。 跡地は東京五輪・パラリンピック時に車両基地として利用する。都は当初、19年度にゼロ段階の事業実施方針を策定し、開発を担う民間事業者を募集する予定だった。だが五輪などの開催延期で土地の貸し付けが...

2020年9月18日金曜日

【回転窓】女性からの視座

  韓国の女性作家チョ・ナムジュ氏の小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)が映画化され10月に公開される。家事や育児に追われる女性が主人公。幼少期から就職活動、社会人の折々の場面で、女性という理由で困難を強いられる姿を描いている▼「どうして他人に施しをするみたいな言い方するの?」。妊娠して退職を決意した時、夫から「手伝う」と言われ、いらだちを隠さず主人公が言い放ったせりふだ▼統計データや実際の事件もモチーフに取り入れ、ドキュメンタリーのように時代を切り取っている。多くの共感を呼び韓国では130万部を超すベストセラーに。邦訳も20万部を超え話題になった▼隣の国でこれほどまでにパラレルな女性差別が起きているとは驚きだった。日本の女性読者からこうした声が寄せられているそうだ。頭で分かったつもりになっても、実際の行動と隔たりがあるケースは枚挙にいとまがない。男性が本当の意味で理解し切れていないのだろう▼だからこそ相手の立場から想像する努力が必要。自分の当たり前に固執しすぎる...

【Torch Towerは高さ約390m】東京駅前常盤橋プロジェクト(東京都千代田区)、街区名は「TOKYO TORCH」

  三菱地所は17日、JR東京駅前で推進する複合開発「東京駅前常盤橋プロジェクト」の計画概要を公表した。 街区の名称は「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」とし、総延べ約74万平方メートルの施設群を設ける。施設群のうち最大規模の延べ約54万平方メートルの「Torch Tower(B棟)」は、三菱地所設計で設計が進んでいる。施工者は決まっていない。 計画地は千代田区大手町2、中央区八重洲1にまたがる約3・1ヘクタール。三菱地所が個人施行者を務める「大手町二丁目常盤橋地区第1種市街地再開発事業」で、整備が進んでいる。 B棟は地下4階地上63階建て延べ54万4000平方メートル。高さ約390メートル。主用途はオフィス。低層部に店舗や、MICE(国際的なイベント)に対応する約2000席のホールを配置する。約100室の国際級ホテルを高層部に誘致する。地上1~8階を結ぶ、延長約2キロの空中散歩道や、約2500平方メートルの屋上庭園も整備する。2023年度の着工、27年度の竣工を...

【名古屋中心部に新名所誕生】久屋大通公園北・テレビ塔エリア、きょうオープン

  三井不動産ら4社グループが全国最大級のPark-PFI(公募設置管理制度)で整備してきた名古屋市の中区と東区にまたがる久屋大通公園北・テレビ塔エリア「Hisaya-odori Park(ヒサヤオオドオリパーク)」が18日にオープンした。公園内には24棟の商業施設、水盤、芝生広場などがあり、名古屋の新しい観光スポットに生まれ変わった。 グループの構成企業は三井不動産と大成建設、日建設計、岩間造園。市の事業者募集で2018年2月に選定され、19年1月から工事を進めてきた。 久屋大通は都心の栄地区を南北に貫く幅員100メートルのシンボル道路。中央部が都市公園になっている。市は、リニア中央新幹線開業を見据え、公園の再整備を栄地区再生の起爆剤に位置付けていた。 北・テレビ塔エリアは、このうち外堀通から錦通までの延長約1キロで、面積約5・4ヘクタール。再整備では、テレビ塔を中心に南北を結ぶシンボリックな都市軸を形成。テレビ塔が映り込む水盤、防災拠点にもなる芝生広場などを配置した。商...

2020年9月17日木曜日

【回転窓】ご飯のおかわりは勘弁を

  安倍内閣が16日午前の臨時閣議で総辞職し、同日午後の衆参両院本会議で菅義偉自民党総裁が第99代、63人目の首相に指名された▼第2次安倍内閣発足から約7年8カ月にわたり官房長官を務めた菅新首相。新型コロナウイルス対策と経済立て直しを両立しながら、外交や安全保障など山積する課題に取り組むことになる▼安倍晋三前首相の在職日数は第1次政権を含む通算で3188日、第2次政権以降の連続で2822日に達した。選挙に強く国政選で6連勝するなど、「安倍1強」体制で盤石の政権を築いた▼内閣のスポークスマンとして連日午前と午後に記者会見でさまざまな情報を発信し、「令和おじさん」としても知られた菅新首相。リーダーとしての手腕が注目されるが、総裁選などの場で安倍路線を引き継ぐ意向を示しており、独自色をどれだけ出していけるのか▼質問に真正面から答えず微妙に論点をずらし答弁する。法政大学の上西充子教授が名付けた「ご飯論法」が国会審議や記者会見などでこのところ目立つようになった。久々の首相交代。はぐら...

【凜】水資源機構筑後川下流総合管理所・下嶋みか子さん

 ◇心強い家族と防災の仕事にまい進◇ 九州などに甚大な被害が出た2020年7月豪雨のさなか、ゲート開閉をはじめ筑後大堰の緊急対応に奔走した。停滞した梅雨前線の影響からの洪水を安全に流下させる措置。塩害の防除と、水道や農業への利水のために下げているゲートを20年度は6度も全開することになった。大堰は完成から35年になる。「被災者として報道される人たちが『家は大丈夫?』と心配してくれた」と発災当時を振り返り、「大きな励みになった」と使命感を一段と強くした。 祖父が土木技術者。幼いころの記憶にダムの写真がある。「不便をなくしたい」と土木の道を志し、大学の恩師の勧めで土木の幅広い仕事のある水資源機構で働くことを決めた。全国に転勤し、「技術を幅広く生かせる仕事がしたい」と考えてきた。最初の徳山ダムの現場はスケールに圧倒された。小石原川ダムの建設事業に従事した後、下流の筑後大堰に4月から着任した。 子供が3歳になるまでの育児休業や、小学生の間の勤務時間短縮といった子育ての手厚い支援措置を生かして...

【中堅世代】それぞれの建設業・266

休日は子どものころから続けている釣りを楽しむ ◇納得するまで仕事にこだわる◇  「すみません、もう一回やらせてください」。トランシーバーから岡村誠一(仮名)さんの申し訳なさそうな声が響いた。関西地方のサッカースタジアムに取り付けた可動式屋根の最終テスト。多くの関係者が終わるのを待っていたが、設計担当として納得するまでテストを繰り返した。中途半端な仕事はしたくなかった。2003年冬の夜、寒風吹きすさぶ屋根付近に登っての作業。眼下には夜景で有名な地方都市のきらびやかな姿が浮かんでいた。街のにぎわいが伝わってくるようだった。 山形県出身。地元の高等専門学校で電気電子工学を学んだ。「建築的要素があって何より動くのが面白い」と、1995年に開閉式屋根の施工を手掛ける現在の勤務先に就職した。初めて開閉屋根の設計を手掛けたのは小学校や幼稚園、プールなどが入る東京都内の複合教育施設だった。 現場に入って2日目。先輩からいきなり「悪いがあとは1人でやってくれ」と仕事を任された。先輩は別の大型...

【やっぱり!マイユニホーム!!】日本道路「サステナブルに使いやすさを追求」

 日本道路が31年ぶりにユニホームをリニューアルした。新ユニホームは鮮やかな色合いのブルーを採用したジャケットが特徴。社員の意見を積極的に取り入れデザイン変更を重ねたり、専門メーカーの知見を応用したりなど、着心地の良さや機能をとことん追求した。素材に植物由来の繊維を採用し「サステナブル社会への貢献」にも気を配っている。 刷新したのは作業服、防寒服、ヘルメット。防寒服は薄いながらも保温性に優れ、冬季の屋外作業で寒さから社員を守る。ヘルメットは上部に設けた三つの通気孔で蒸れを防止。上着とパンツの両方に反射材を取り付け夜間の視認性を高めることで、暗い場所や夜間の作業で安全確保につなげる。 企画と製作は総合スポーツ用品メーカーのアシックスジャパンが担当。スポーツウエアで蓄積したノウハウを応用し動きやすさや着心地の良さをユニホームに落とし込んだ。生地は東レが開発した素材。原料にサトウキビの廃糖蜜を含む植物由来のポリエステル繊維を採用している。 1日から着用を開始した。まだまだ日は浅いが「パンツ...

【駆け出しのころ】ガイアート取締役執行役員常務営業統括部長・深澤直樹氏

  ◇仲間の支えで困難克服◇ 高校までは建築士に憧れていましたが、大学で土木工学の偉大さを知りました。就職先はゼネコンも考えましたが、指導教授の勧めもあり熊谷道路(現ガイアート)に入社しました。 研修後、同期4人が北海道支店に配属されました。私が唯一の道内出身者だったこともあり、当時の支店長から最北の猿払作業所勤務を命じられました。道内でも厳しい気象の地域で、ストーブを使わない日は年に数日ほど。夜は明かりがなくなり一面漆黒の世界を見て、この先やっていけるだろうかと不安になったのを覚えています。 最初は合材工場の担当となり、品質管理などを任されました。小さいころから好奇心旺盛だったので、とにかく聞いて仕事を覚えました。所長や先輩たちは厳しい面もありましたが、私の問いに丁寧に答えてくれました。仕事への姿勢と熱意、使命と責任感を学び技術者として根底の部分が養われました。 4年目からは現場代理人として国関係の工事を中心に回りました。オホーツク海に面する道北エリアは気象的に過酷な環境...

2020年9月11日金曜日

回転窓/ホテルの進路

  新型コロナウイルスで苦境にあえぐホテル業界。昨秋開業した大型ホテルの関係者が「費用ばかり出ている」と嘆いていた。期待していたインバウンド(訪日外国人旅行者)需要が雲散霧消し、稼働率は2割に届かない状況にあるという▼帝国データバンクの調査によると新型コロナを原因とした倒産が全国で500件に達した。ホテル・旅館は53件で1割を占める▼東京都新宿区のビジネスホテルは、SNS(インターネット交流サイト)などへの写真付き投稿を条件に、無料宿泊できるキャンペーンを期間限定で展開。「どうせ空室なら無料で良さを知ってほしい」と決断したそうだ▼ホテルチェーンはネットワーク環境などを整えてテレワーク対応プランを設けたり、コワーキングスペースの一時利用とセットで提供したりと対応を模索中。ホテルのラウンジなどを有効活用する試みも進む▼ホテルとオフィスが緩やかに融合する姿は見方を変えると新たなシェアリングとも言える。少子高齢化や成熟社会を見据えた試行錯誤とも重なりそうだ。固定観念に縛られることな...

【複合アリーナとして2024年春復活へ】横浜文化体育館、58年の歴史に幕

6日に閉館した現在の文体。50年以上にわたって親しまれた  「ハマの文体(ぶんたい)」の愛称で長年市民から親しまれた横浜文化体育館(横浜市中区不老町2の7)が6日に閉館し、58年の歴史に幕を下ろした。1964年の東京五輪バレーボール競技やプロボクシング世界タイトルマッチなど数々のビッグイベントの会場になり、地域スポーツ大会などにも対応する使い勝手の良い施設だった。解体後はアリーナやホテルなどの集客施設を併設する複合スポーツ施設に生まれ変わる。新施設は2024年4月のオープンを予定している。 文体は1962年5月、横浜港開港100年の記念事業の一環として落成した。実業家で衆院議員や横浜市長も務め、「市民スポーツの父」と呼ばれた平沼亮三(1879~1959年)の功績をたたえ、平沼記念レストハウスが併設されている。設計は久米建築事務所(現久米設計)、施工者は大林組。 施設はRC造3階建て。本館は40メートル×48メートル、広さ1920平方メートル、高さ13メートル。観客席は2階1...

【大規模開発3件の都市計画素案公表】虎ノ門一丁目東地区は延べ13万㎡規模に

 東京都港区の虎ノ門一丁目東地区市街地再開発準備組合が計画するプロジェクトの概要が明らかになった。オフィスや商業など、延べ約13万平方メートルのビルを建てる。年度内にも国家戦略特別区域計画の認定を受け、2021年度をめどに本組合へ移行。22年度の着工、25年度の竣工を見込む。 4日に開かれた内閣府東京圏国家戦略特別区域会議の「東京都都市再生分科会」に都市再生特別地区の都市計画素案が報告された。計画地は虎ノ門4、5、8(区域面積約1・1ヘクタール)。東京メトロの虎ノ門駅に近接する。 建物規模は地下5階地上30階建て延べ12万6000平方メートル。高さは約180メートル。低層部に店舗を配置。ビジネス支援施設やカンファレンス、交流ラウンジなどで構成する「(仮称)虎ノ門イノベーションセンター」も入れ、エリアの国際競争力を強化する。 中高層部はオフィスとなる。電線の地中化や虎ノ門駅へのアクセスを高める地下通路の整備などにも取り組む。準備組合の活動を支援する「事業推進パートナー」は、日本土地建物...

【BIM駆使し航空機展示施設を建設】東急建設、「FLIGHT OF DREAMS」の施工動画公開

  東急建設は10日、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用して施工した中部国際空港(愛知県常滑市)の複合商業施設「FLIGHT OF DREAMS(フライト・オブ・ドリームズ)」の施工過程を紹介する動画を動画投稿サイトのユーチューブで公開した。 「フライト・オブ・ドリームズ」はボーイング787初号機の展示をメインとする複合商業施設として2018年10月に開業。建設中の建物内に巨大な機体をけん引するトーイング作業は全日本空輸、機体を展示用の高さに固定するジャッキアップ作業はボーイング、建設工事を東急建設が担当した。 ポイントとなったのは機体を建物までけん引する際の障害物と、建物内での移動中に機体が接触しない動線を明らかにすること。建物と機体との空間が数十センチで計画された建物は、正確な現状把握とわずかな誤差も許されない施工計画が求められた。これらの課題を解決するため、BIMを活用した。 3Dスキャナーで計測した現況測量データをBIMモデル化し、バーチャ...

【累計30道県544地域に】政府、指定棚田地域に5県12地域を追加

石垣が美しい福島の棚田  政府は、棚田を核とした地域振興を支援する「指定棚田地域」に「福島の棚田」がある長野県飯山市瑞穂村など5県12地域を8月20日に追加した。関係省が補助事業で補助率のかさ上げなどを講じ、棚田の保全につなげる。 指定条件は20分の1以上の傾斜を持つ棚田が1ha以上ある地域。都道府県の申請に基づき、総務、文部科学、農林水産、国土交通、環境5省が棚田地域振興法に基づいて指定し公示した。 今回の追加により、指定地域は累計30道県544地域になった。山や谷あいの傾斜地に設けた棚田は、農産物の供給だけでなく国土や水源の保全、良好な景観の形成や伝統文化の継承など多面的な機能を持っている。ただ、地形的な条件で保全にコストがかかり、農業の担い手の不足も相まって荒廃の危機に直面している。そのため、政府が棚田を核とした地域の振興を支援している。今回指定された地域があるは△福島△長野△愛知△岡山△香川ーの5...

2020年9月9日水曜日

【回転窓】SI単位

  いまや荷重や応力などの単位と言えばニュートン(N)だが、国際単位系(SI)が導入された当初、コンクリートの圧縮強度を何十Nと言われても違和感があった▼SIが建設業に導入されたのは1999年ころ。それまで圧縮強度は1平方センチ当たり何キロと表示されていた。それが1桁違う数字に。例えば1平方センチ当たり600キロは1平方ミリ当たり60N。強度の数字が1桁違うと堅さのイメージが湧かなかったのを覚えている▼SIに移行する90年代、東京都内を中心に超高層ビルが相次ぎ建設された。柱に使う超高強度コンクリートを各社が競うように開発し、独自の混和材などで圧縮強度をどこまで伸ばせるのかしのぎを削っていた▼先週末、台風10号のニュースで台風の規模を表す単位としてヘクトパスカル(hPa)が使われていた。その時、昔はミリバールだったが、いつ代わったのかと思い、調べたらSI導入と同じ時期に変更されていた▼人の記憶とは実に怪しいものだ。当時ヘクトパスカルへの変更は大々的に報道されていたのにもかかわ...

【職人さん、お待ちしてます】ジョイフル本田、千葉県船橋市にプロショップ2号店

 ジョイフル本田は、工具や金物、作業服などを扱う職人向けのプロショップ「本田屋」の2号店として「船橋夏見台店」を千葉県船橋市に出す。建設業の職人をターゲットに工具、作業服の品ぞろえに力を入れる。専門商品など2・5万品以上をそろえる。10日に開業する。 所在地は県道288号線沿いの夏見台5の12の25。1階は店舗、2階が事務所のS造2階建て、売り場面積は753平方メートル。建物を取得し改装した。工具は電動500品などハイスペックな商品を含めて1万3000品、作業服はブランド服1200品、安全靴200品など3000品を取り扱う。「自分の店」と思ってもらえるよう顧客の意見や要望に配慮する。 本田屋は「職人の店」がコンセプト。ホームセンターの売り場ではニーズに対応しきれないプロの職人に寄り添おうと1号店の「千葉都町店」を2018年3月、千葉市中央区に出した。ユーザーのニーズを踏まえ、扱う商品の幅を広げ大幅に数を増やした。2号店は多店舗展開を視野に入れた仕様で、売り場面積を200~300坪程度...

2020年9月8日火曜日

【回転窓】豪雨対策の切り札に

  6日夜から7日明け方にかけ、非常に強い勢力で九州の西岸沖を北上した台風10号。猛烈な風雨が各地を襲い、鹿児島県や宮崎県、長崎県などでは襲来前から厳重な警戒態勢がとられた▼けが人や家屋の損壊、停電などの被害が報告されており、約87万世帯の182万人に避難指示、約320万世帯の約694万人に避難勧告が出された。熊本県の球磨川流域は7月の豪雨で土砂災害が多発。傷が癒えない中での大型台風襲来に地域の方々も眠れぬ夜を過ごしたはず▼豪雨災害の頻発でにわかに注目されているのがダムの役割だ。政府は国や自治体が管理し、本来洪水対策を目的にしていない「利水ダム」を活用して洪水防止につなげようとしている▼想定を超える降雨量になるケースは増加傾向にある。大雨で貯水量が限界に近づき流入量と同じ分を下流に放流する「緊急放流」だけでなく、事前にダムの貯水量を減らして大雨に備える「事前放流」で豪雨に対処しようとしている▼ダムの放流は下流域で浸水被害が発生する恐れもあり慎重な判断が必要になる。整備済みの...

【自然と人工の融合表現】神宮前六丁目地区再開発(東京都渋谷区)、ビル外装デザインを公表

 神六再開発(東京都渋谷区、小澤広倫社長)と、権利者・特定事業参加者としてプロジェクトに参画している東急不動産は、東京都渋谷区で計画している再開発事業で整備する再開発ビルの外装・屋上デザインを公表した。 自然と人工が共存する原宿・表参道エリアのイメージをデザインに込めた。外装・屋上デザインは平田晃久建築設計事務所が手掛けた。 外装のコンセプトは「KNIT DESIGN(まちを編む)」。古と新、外と内の融合など未来につなげる街づくりをイメージした。外装のガラスは、周辺の景観を反射して映し出す「umi」エリアと、建物内の店舗などが確認できる「shima」エリアで構成。それぞれが反射で混ざり合い共存する姿を表現した。 「神宮前六丁目地区第1種市街地再開発事業」の計画地は神宮前6の10003085平方メートルの敷地に地下2階地上10階建て延べ1万9330平方メートルのビルを建設する。商業・公共公益施設や鉄道用変電施設、駐車場などの機能を入れる。 11月にも着工し2022年度の竣工を目指す。事...

【記者手帖】大きな手帖

  「記者手帖」というこのコーナー。編集業務を担当する全国の記者が輪番制で担当し、数カ月に一度、順番が回ってくる。日ごろの取材活動を通じて見聞きしたことや感じたことを書きつづる◆タイトルに反して取材活動で手帳は使っておらず、A3サイズの壁掛けカレンダーを手帳代わりにしている。当月と翌月を切り離し、前月と合わせた3カ月分を半分に折りたたんで携帯している◆入社当時、お世話になった先輩記者が使っていたのが1カ月のスケジュールを俯瞰(ふかん)できるタイプの手帳だった。それをまねてアレンジした。愛用しているカレンダーは字の大きな自分でも予定を書き込める十分なスペースがある。かさばらず軽いのも魅力だ◆取材先で取り出し予定を確認していると「大きな手帳ですね」と不思議がられることがある。そんな時は「実はカレンダーなんですよ」とうれしそうに伝える。1カ月たった後に見返し、今月もよく働いたと一人悦に入る。コロナ禍で対面取材が難しい。そんな時だからこそ、カレンダーが予定でびっしり埋まるくらい取材...

【循環のみち下水道賞を受賞】アルビレックス新潟と新潟市、デザインマンホール蓋で広報活動

  サッカーJリーグのアルビレックス新潟がホームタウンの新潟市と共同で展開したデザインマンホールによる広報活動が、2020年度国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞(広報・教育部門)」を受賞した。 「下水道の日」の10日から市内で記念イベントを開催。30日までJR新潟駅南口広場など市内2カ所にデザインマンホールを設置するほか、マンホールカードも配布する(無くなり次第終了)。 デザインマンホールは昨年の新潟開港150周年記念事業の一環として、JR新潟駅前などに期間限定で設置した。開港をイメージしたデザインで、追い風を受けて航海する船の帆にはアルビレックス新潟のエンブレムを描いた。人感センサーにより、人がマンホールに近づくと勝利に向けた選手のメッセージが鳴り響く仕掛けで、日本初の公道上の「しゃべるマンホール」として注目された。 国交省の循環のみち下水道賞は、下水道を活用した健全な水循環や資源・エネルギー循環の創出で優れた取り組みを表彰してい...

【凛】ウィルオブ・コンストラクション営業推進部・中山春来さん

  ◇ギャップを武器に信頼獲得◇ 建設技術者を中心にした人材派遣会社に入社し2年目。営業担当として、とにかく深く考え一度決めたら迅速に動くことを心掛けている。あらゆる職種に通じるが、実践できる人は少ない。 入社後に担当したのは求職中の技能者と面談し、顧客である建設会社の現場に派遣する仕事だった。 男性が多い建設業界。営業活動では「女性じゃ話にならない。男性の人いない?」など心無い言葉を何度も投げ掛けられ、性別の壁を感じた。 サポートする技能者はこちらの話に耳を傾けてくれない。顧客の信頼もなかなか得られない。どうすればいいのか困り果て、考え抜いた末にギャップを武器にする方法を思いつく。「男性よりも建設業界のことを勉強し、動き回れば良い印象が広がるはず」。分からないことがあればとにかく「職人さんや顧客にたくさん質問した」という。 単身赴任者には会社が生活用品などを支給している。通常は郵送だが、自分の手で赴任先まで届けた。今では当初担当替えを要求した人から「中山さんの方が俺をよく...

【中堅世代】それぞれの建設業・265

 地盤を理解し把握するには技術の研さんが欠かせない ◇対話が成長の原動力に◇ 「あらゆる構造物は地盤と接している。地質の状態を把握しなくては質の高いインフラは生まれない」。地質調査会社に勤務する川崎隆さん(仮称)は、ある地方都市で発生した大規模な陥没事故を教訓に、目に見えない地質リスクの可視化が建築物や構造物の品質には欠かせないと部下に説く。地球温暖化の影響でほぼ毎年、日本列島を襲う局地豪雨や台風。相次ぎ発生する土砂災害を少しでも減らそうと地質調査に奔走する。 ものづくりに没頭していた少年時代。学生のころは理数科目が得意だった。当時は珍しい「海洋工学」がメインの学部がある地元の国立大学に進学。ゼミを担当した指導教授と一緒になって、海洋資源の発掘調査にのめり込んだ。就職活動を迎えた時期に知人から地質調査会社を紹介された。当時は就職氷河期。「これも何かの縁」と思い現在の会社に就職した。 入社後に配属されたのは関東一円を管轄する埼玉県内の支店だった。主な仕事は団地建て替えに伴う地...

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】田中組(札幌市中央区)「高機能素材で保温性と機能性を追求」

  2019年秋に防寒服とレインウエアを新調した。各現場ごとにバラバラだった防寒服を、社名とロゴマークを刺しゅうした防寒服に統一。「周辺住民への会社のアピールと社員の協調性・一体感が強まった」と現場社員からも好評だ。 同社の制服を長年手掛けている札幌白衣と何度も打ち合わせ。実際に現場で働く社員からのアンケートを基に、社内イメージアップ検討委員会で議論し決定した。 現場で働く社員が温かく動きやすいようにと高機能素材を使用。防寒服に使用する光電子繊維は、体温を吸収して遠赤外線を効果的に体に放射することで快適な温度を保ち、ブルゾンより温かく、コートよりも動きやすい形に仕上がった。 レインウエアは空気や水蒸気の透過を防ぎ、薄くても保温性が高いディアプレックス素材を使用。春先や秋口、雨天時を想定した全天候型ウエアとして活用しており「アウトドアにも活用できそうだ」とデザインの評価は高い。 総務部の佐坂真寿美次長は「現場での着用はもちろん、会社で参加している数々のイベントでも全員で着用し...

【駆け出しのころ】大林組執行役員デジタル推進室長兼iPDセンター所長・岡野英一郎氏

 ◇目標持ちステップアップを◇ 学生時代、世界を股に掛ける大型案件のプロジェクトマネジャーに憧れを抱きました。新設大学の1期生だったので社会人の先輩がいない中での入社となりましたが、自分で苦労を背負うところにチャンスがあるのではと思いました。 入社後、建築見積部門の積算課に配属され、数カ月が過ぎたころに顧客の工場で爆発事故が発生。顧客支援の事故対応のため、私も含めて全国から人が集められました。近隣の住宅街にも被害が及んだことから、家屋の被害調査や補修工事などに当たりました。最後まで残って事故対応に取り組み、被害者の方々に怒られてつらいなとも感じましたが、その時に辛抱した経験はその後に役立っています。 入社2年目に担当した岸和田文化センターの建設工事では、いろいろなことを学びました。とにかく早く現場のことを覚えたい一心で、上司や先輩たちから業務を任され、学びの場を与えてもらっていることに当時は幸せを感じていました。 学んだすべてが技術者としての基礎になっています。所長には「考えて仕事を...