2020年9月29日火曜日

【記者手帖】まずは社会構造から

  農林水産省のユーチューブチャンネルがちまたで話題という。職員自らが動画の企画や出演、編集をこなし、農林水産業や生産物などの魅力を発信。自由でゆるい、いい意味で官僚らしからぬ雰囲気が評判だ。中間管理職による決裁を不要にしたのが自由さの秘訣(ひけつ)の一つという◆現場で新しいことに挑もうとしても、旧態依然の価値観を持った決定権者につぶされることは往々にしてある。既成概念と戦うという意味で、女性活躍の分野でも同様のことが起きているのではないか◆建設業をはじめあらゆる産業で女性活躍に向けたロードマップや計画などをまとめている。ただ、その過程で一体何人の女性の意見を反映したのか。会議体の男女比はどれくらいだったのか◆組織で決定権を持つ上層部に女性が少ないというのは、新内閣の顔ぶれにも当てはまる。女性の活躍を考えるなら性別に関係なく能力で評価する、前段として能力を身に付ける機会や選択肢を均等にする必要がある。業界ごとで考えるより先に、抜本的な社会構造の問題と向き合わないといけない。機運醸成につながるような報道を心掛けたい。(ま)

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