2020年9月8日火曜日

【回転窓】豪雨対策の切り札に

  6日夜から7日明け方にかけ、非常に強い勢力で九州の西岸沖を北上した台風10号。猛烈な風雨が各地を襲い、鹿児島県や宮崎県、長崎県などでは襲来前から厳重な警戒態勢がとられた▼けが人や家屋の損壊、停電などの被害が報告されており、約87万世帯の182万人に避難指示、約320万世帯の約694万人に避難勧告が出された。熊本県の球磨川流域は7月の豪雨で土砂災害が多発。傷が癒えない中での大型台風襲来に地域の方々も眠れぬ夜を過ごしたはず▼豪雨災害の頻発でにわかに注目されているのがダムの役割だ。政府は国や自治体が管理し、本来洪水対策を目的にしていない「利水ダム」を活用して洪水防止につなげようとしている▼想定を超える降雨量になるケースは増加傾向にある。大雨で貯水量が限界に近づき流入量と同じ分を下流に放流する「緊急放流」だけでなく、事前にダムの貯水量を減らして大雨に備える「事前放流」で豪雨に対処しようとしている▼ダムの放流は下流域で浸水被害が発生する恐れもあり慎重な判断が必要になる。整備済みのインフラを有効活用する取り組みとして注目したい。

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