新型コロナウイルスで苦境にあえぐホテル業界。昨秋開業した大型ホテルの関係者が「費用ばかり出ている」と嘆いていた。期待していたインバウンド(訪日外国人旅行者)需要が雲散霧消し、稼働率は2割に届かない状況にあるという▼帝国データバンクの調査によると新型コロナを原因とした倒産が全国で500件に達した。ホテル・旅館は53件で1割を占める▼東京都新宿区のビジネスホテルは、SNS(インターネット交流サイト)などへの写真付き投稿を条件に、無料宿泊できるキャンペーンを期間限定で展開。「どうせ空室なら無料で良さを知ってほしい」と決断したそうだ▼ホテルチェーンはネットワーク環境などを整えてテレワーク対応プランを設けたり、コワーキングスペースの一時利用とセットで提供したりと対応を模索中。ホテルのラウンジなどを有効活用する試みも進む▼ホテルとオフィスが緩やかに融合する姿は見方を変えると新たなシェアリングとも言える。少子高齢化や成熟社会を見据えた試行錯誤とも重なりそうだ。固定観念に縛られることなく持続可能性を高める道を探る必要があるのだろう。
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