2020年9月1日火曜日

【回転窓】種の保存と絶滅と

 小笠原諸島だけに生息していたシジミチョウの仲間、オガサワラシジミが絶滅の危機にひんしている。環境省と東京都が人工繁殖していた個体が先月、全て死亡してしまったそうだ▼国の天然記念物で絶滅危惧種に指定されていた品種。かつては小笠原諸島に多数生息していたが、外来種のトカゲ・グリーンアノールに捕食されるなどして激減。母島だけで少数が確認できていたが、2018年6月以降、野生種は姿を消した状況だった▼自然繁殖が困難になった後、都と環境省は05年から多摩動物公園(東京都日野市)と新宿御苑(同新宿区)で人工繁殖を試みていた▼絶滅の危機が高まったのは今春に入ってから。近親交配の影響なのか有精卵の割合が急減し、多摩動物公園で20世代目に当たる幼虫が全て死亡して繁殖の道が絶たれた。飼育中に死亡あるいは衰弱した個体は液体窒素で凍結保存され将来の復活に備えているという▼世界自然保護基金(WWF)の調査によると、1600年以降に絶滅が確認できた生物は700種以上という。絶滅のスピードを抑制するために何ができるのか-。いま一度考える必要がありそうだ。

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