◇心強い家族と防災の仕事にまい進◇
九州などに甚大な被害が出た2020年7月豪雨のさなか、ゲート開閉をはじめ筑後大堰の緊急対応に奔走した。停滞した梅雨前線の影響からの洪水を安全に流下させる措置。塩害の防除と、水道や農業への利水のために下げているゲートを20年度は6度も全開することになった。大堰は完成から35年になる。「被災者として報道される人たちが『家は大丈夫?』と心配してくれた」と発災当時を振り返り、「大きな励みになった」と使命感を一段と強くした。
祖父が土木技術者。幼いころの記憶にダムの写真がある。「不便をなくしたい」と土木の道を志し、大学の恩師の勧めで土木の幅広い仕事のある水資源機構で働くことを決めた。全国に転勤し、「技術を幅広く生かせる仕事がしたい」と考えてきた。最初の徳山ダムの現場はスケールに圧倒された。小石原川ダムの建設事業に従事した後、下流の筑後大堰に4月から着任した。
子供が3歳になるまでの育児休業や、小学生の間の勤務時間短縮といった子育ての手厚い支援措置を生かして、仕事と育児を両立させてきた。「周囲のサポート」に感謝し、これからも「時間が限られる中での生産性」にこだわる。後輩には「機会を逃さず、いろいろなことに取り組んで」とエールを送る。夫の仕事の都合もあり家族がそろって過ごせる時間は限られるが、「防災の仕事」に誇りを持ってくれる家族をとても心強く思っている。
(筑後大堰管理所主査、しもじま・みかこ)
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