2020年9月4日金曜日

【設計は梓設計、清水建設が施工】成田空港新ランプセントラルタワー、9月10日に供用開始

  成田国際空港会社が成田空港(千葉県成田市)に整備していた「ランプセントラルタワー」が完成した。耐震・免震対策を施し、業務に影響しないよう非常時の備えを徹底した。10日に供用を開始し、旧管制塔で行っているエプロン走行中の航空機の誘導や駐機場の割り当てといったランプコントロール業務を引き継ぐ。タワーの設計は梓設計。清水建設が施工した。

 タワーは旧管制塔の南側約100メートルに位置する。2017年2月に着工した。規模はRC・S造5階建て延べ1650平方メートル。1~2階の低層部と塔体がRC造、3~5階はS造。旧管制塔の北にある新管制塔からの視認性を確保するために高さは約60メートル(旧管制塔約64メートル)となった。1階は会議室、休憩室と仮眠室を2階に配置し、3階が研修室。4階は主に機械室で、5階がランプコントロールを指揮する中央運用室となる。建設費は約27億円。

 低層部は高強度コンクリートを採用したり、鉄筋を密にしたりした耐震構造。3階以上が免震構造で、直径60センチ、高さ30センチの円柱の免震ゴムを4カ所に配置し、オイル機構のダンパーがある。

 成田空港会社の宮田真行整備部建築グループマネージャーは「中央運用室などの安全と機能」を整備のポイントに挙げる。停電時でも機器や通信機材を確実に運用できるよう、72時間対応の自家発電や定電圧定周波数装置(CVCF)を備える。機器への影響を考慮し、空調は床吹き出しタイプとなっている。必要な機能に絞ったシンプルな形状にすることでコストを縮減した。

 内部のレイアウトをはじめ施設の使い方は、整備部とランプコントロール業務を担当する運用管理部などとできめ細かく調整してきた。3階は全周が見渡せる円形とし、5階の中央運用室はスペースをむだなく使うために五角形の旧管制塔と異なる方形を採用した。


 空港は高さを抑制した建物が多く、高層の建築工事は珍しい。現場作業では200トンクレーンの運用をはじめ工程を工夫した。建物の土台を強固にするため、4・5メートルの基礎を構築し、床と一体のマットスラブの品質にこだわった。

 1993年に完成した新管制塔に管制機能が移ったのに伴い、旧管制塔の13階で実施してきたランプコントロール業務は管制室のあった16階で行ってきた。タワーが供用することで、空港建設の「成田闘争」の歴史に登場する旧管制塔は隣接の事務棟とともに壊す。跡地の利用内容は未定。解体工事は三井住友建設が担当する。

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