四季の変化がある日本には季節の到来を感じさせてくれる生物や植物が数多くある。ウグイスやアブラゼミの初鳴き、桜の開花、イチョウの落ち葉…。身近にあって季節の変わり目をいち早く伝えてくれる▼気象庁が1953年に全国統一の観測方法で開始した「生物季節観測」は季節の遅れ進み、気候の違いや変化を的確にとらえる。2020年1月時点で全国の気象台・測候所58地点が植物34種目、動物23種目を対象に、開花や初鳴きなどを観測している▼観測データは地球温暖化など長期的な気候変動の貴重な指標にも活用されている。例えばクマゼミは主に近畿以南に生息していたが、現在は北限が関東付近まで移動しているそうだ▼気象庁は21年1月から動物の季節観測をすべて廃止し、植物は桜の開花・満開など6種目9現象に減らすと発表した。気象台周辺の生態環境が変わり、標本木の確保や対象動物を見つけるのが難しくなったのが理由という▼被害規模が大きな自然災害が多発する中、防災につながるデータや情報の重要性は高まっていく。気候の長期変化を把握する貴重な観測をやめてしまうのはもったいない。
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