まきを背負って読書をする子ども時代の二宮金次郎の像。家の仕事を手伝いながら一生懸命に勉強し、より良い生活を目指す姿を表す。学校の校庭で見掛けた人も多かろう▼像が設置されたのは戦前、模範的な少年として修身(現在の道徳)の国定教科書によく取り上げられたことなどが要因のようだ。金次郎のように立派に育ってほしいと願う親心から、全国的に像を設置する動きが広がった▼像に込められた思いを現代の子どもたちが素直に受け取るかどうか。「昔の子は学校に行けなくてかわいそう」「歩きながら本を読むのは危ない」などのマイナスイメージを持つ子も少なくないようだ。今の教育方針にそぐわないといった声から像を撤去するケースもあると聞く▼金次郎の地元・神奈川県小田原市に4日開業する複合商業施設「ミナカ小田原」の広場に、映画「二宮金次郎」の夫婦像が設置された。映画を通して功績や教えを深く知ってもらいたいとの願いが込められている▼厳しい緊縮策による奉公先の財政再建や独特の仕法で農村の復興を成し遂げた改革者。伝えることの難しさと大切さを郷土の偉人から学びたい。
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