気象庁が東京・虎ノ門の新庁舎に移転した。虎ノ門は政府が1875(明治8)年に気象と地震の観測を開始し、当時の東京気象台が皇居北部に移転するまで置かれた場所。大手町の旧庁舎から138年ぶりに創設の地に戻った▼気候変動の影響などを受け自然災害の激甚化、頻発化が叫ばれる中、気象庁の役割も一段と重要性が増す。自然災害から人々の安心・安全を守る気象観測の要として、より精度の高い情報を迅速に発信することが求められる▼このほど文部科学省と共同で公表した報告書「日本の気候変動2020」。日本の気候が地球温暖化で今世紀末にどう変わるかを、2種類の気温上昇シナリオ別に予測。どちらの場合も猛暑や大雨が増え、温室効果ガスの排出を削減する緩和策に努めなければ、災害発生リスクがさらに高まる見通しが示された▼8日に閣議決定した政府の追加経済対策では、防災・減災や国土強靱化の取り組みを推進。2兆円の基金を設立し、脱炭素化で革新的な研究開発を行う企業支援も盛り込んだ▼気象に関わる社会的課題は増大する一方。関連機関はもちろん、個人の行動が問われている。
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