2020年12月16日水曜日

【回転窓】身近な美しい景色

  紅葉が終盤を迎え、イチョウ並木では黄色いじゅうたんを見掛けるようになった。冬の訪れを前に木々たちも準備を開始したようだ▼20年前に元マラソン選手で、今も解説者として活躍する増田明美さんに取材したことがある。ランナーから見た道路づくりを聞いたのだが、その時印象的だったのが、競技中に見たナナカマドの紅葉の美しさが忘れられないという話▼札幌市で開かれた大会でのこと。数十キロ走り、少し疲れたところで沿道に植えられ赤く染まったナナカマドを見て「まるで頬を染めたクリスマスツリーのようだった」と。そう思うと急に疲れが取れ一気に走れたという▼競技中、先頭集団から遅れずるずると後退していく時、前を走る選手の背中とその間の道路しか見えなくなる。それで視線がどんどん下がり、足が重くなっていくという。どんなにつらい時も視線を落とさず、周りを見る余裕が大切なのかもしれない▼政府はGoToトラベルの全国一斉の一時停止を決めた。年末年始の旅行を楽しみにしていた方もいただろう。だが、今は我慢の時。周りを見渡せば身近にも美しいものがたくさんあるはずだ。

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