東京都羽村市の住宅街に突如現れた巨大な建造物。覆われた分厚いシートをめくると鉄パイプの骨組みが見える。劇団「水族館劇場」の特設野外舞台「虹の乾坤(けんこん)」。夜な夜な壮絶な芝居が繰り広げられる仮設劇場は、演じる役者たちがすべて自らの手で造り上げた。見せ場をつくる数々の仕掛けを張り巡らせ、気迫のこもった演技で観客を待ち受ける。 仮設劇場は高さ約11メートル。内部はステージや100人以上が座れる客席を備えた大空間が広がる。4月初めに着工し、主要な役どころを務める劇団員らが連日3~5人ほどで建てた。建設現場などで働く仲間たちが時折サポートに入りながら、今月14日に公演初日を迎えた。 強風が吹く土地柄で、屋根のシートが引きちぎられるアクシデントもあったが、致命的な工程の遅延は免れた。棟梁(とうりょう)として現場をまとめた秋浜立さんは胸をなで下ろす。主要部材として使用する仮設の足場材を、以前の枠組み足場から最新型のくさび緊結式足場に変更し、作業スピードが格段に向上したという。劇...