都市河川でドローン飛行の社会実装に向けた検討、調査が加速している。産学官でつくる「TOKYOドローンウェイ研究会」は、物流や河川インフラの監視などでの実装を目指し、知見の収集や課題整理に取り組んでいる。24日には東京都中野区の神田川上空で飛行実験を実施。ドローンが河川域を空撮する様子を近隣の中高生や報道陣に公開した。 研究会は▽中央大学手計研究室▽国際航業▽中野区▽東京都-の4者で組織する。同日の実験は都市河川での物流、インフラメンテナンスの活用を想定した基礎調査として実施。神田川中野富士見橋から和田見橋までの区間でドローンをテスト飛行し、空撮データの3Dデータ化を試した。 実験には近隣の都立富士高校、同校付属中学校の生徒、教職員約40人も招き、ドローン飛行の様子などを見学してもらった。両校の勝嶋憲子統括校長は「ドローンが安定感を保って飛ぶ姿はなかなか見ることができないので感動した」と語り、生徒にとって有意義な体験になったと謝意を示した。 研究会は物流での将来的な活用を念頭に、ドローンの自動運転に必要となる情報基盤の構築を目指している。実験後、中央大学理工学研究所の加藤拓磨客員研究員(中野区議会議員)は、「落下リスクや電波障害への懸念、ビル風による障害があり安定飛行は難しい」と都市部でのドローン飛行の課題を指摘。「迷惑がかかりにくい極めて安全な飛行ルートを考え、河川上空で飛ばすことになった」と実験の背景を説明した。 河川でのドローン飛行は橋梁などインフラの維持管理でも活用メリットが高い。行政機関のニーズにも対応できるよう、画像解析技術の向上、空撮に関するマニュアル作成にも取り組んでいく。同日の実験は国土交通省の「河川上空を活用したドローン物流の更なる活性化に向けた実証実験」の採択を受けており、今後国がまとめるドローン飛行に関する支援策などにも実験成果が反映される見込みだ。 国際航業先端技術・事業開発部調査企画グループの塚越悠太氏は「ある程度の高さからテスト撮影し、河道内だけでなく樹木や電線データも含めて3Dデータ化することができた」と実験内容に手応えを示した。同グループの近藤建斗氏は「良いデータを取ることができた。解析した上で区や都にも共有し、今後どういった計画を立てられるかを考えていきたい」と展望した。
テスト飛行するドローン。使った期待は米国製 テスト飛行を見学する都立富士高校、付属中学校の生徒たち
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