2022年10月24日月曜日

中外製薬/新研究拠点(横浜市戸塚区)が竣工、23年4月に本格稼働予定

 中外製薬が横浜市戸塚区で建設していた新研究拠点が15日に竣工した。創薬や中分子化合物の製剤研究を担う。国内創薬研究の従来拠点だった富士御殿場研究所(静岡県御殿場市)と鎌倉研究所(神奈川県鎌倉市)を統合した。総投資額は1718億円。研究者やスタッフなど約1000人が勤務する。本格稼働は2023年4月を予定している。
 竣工した「中外ライフサイエンスパーク横浜」(LSP横浜)は、柏尾川を挟んで東西に分かれている。所在地は西側が戸塚町216、東側が上倉田町79の1(総敷地面積は15万8600平方メートル)。建物はS造地下1階地上6階建てを最大に計16棟、総延べ11万9500平方メートルの規模。設計は日本設計と鹿島が、施工は鹿島と大洋建設(横浜市戸塚区、黒田憲一社長)が担当した。
 LSP横浜は、メインの研究施設がある西側に7棟、地域住民向けのグラウンドなどを整備した東側には9棟ある。各建物には免震や耐震構造を取り入れた。災害時に、地域住民の避難場所として一部を開放し防災拠点にする。
 中外製薬は20日にメディア向けに西側敷地にある7棟の見学会を開いた。研究エリアと居室棟は、300メートルに及ぶ廊下「スパイン」で結ばれている。研究者やスタッフがスパインで出会って交流し、イノベーションが創出されることを狙う。実験棟には、実験を自動化できる「ラボオートメーション」を整備する。地域の児童・学生がバイオテクノロジーに親しめるように、講義スペースや実験室も用意。外装は施設周辺の建物と調和するよう、ブラウンやベージュなどのアースカラーを基調にした。
 日本設計の担当者は「各棟で統一感を損なわないよう、設計者間の打ち合わせを密にした。スパインは安心感を与える曲線や流線を多く取り入れた」と説明した。
 東側敷地には研究棟のほか、グラウンドやテニスコートなどを整備した。地域住民が利用できるように5243平方メートルの土地を横浜市に提供するという。
 見学会の終了後、中外製薬の飯倉仁執行役員研究本部長は「理想的な施設になった。最先端の研究所でありつつ、住民に愛される研究所にしていきたい」と話した。
 同社鎌倉研究所は、免疫関連疾患治療薬など創薬研究をしていた。北側部分(敷地面積3万5359平方メートル)を更地にし、25年後半に高砂香料工業に売却する予定。南側部分(敷地面積5万3945平方メートル)は、現況のまま23年9月に長谷工コーポレーションに売却するという。富士御殿場研究所はがん疾患治療薬の創薬研究などを手掛けていた。閉鎖後の売却先などは未定としている。



source https://www.decn.co.jp/?p=147209

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