2022年10月20日木曜日

日建連/施工データ連携プラットフォーム実装へ/協調領域3テーマで実用化目指す

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は建設DXの一環で、施工分野の多種多様なデータが相互活用できるオープンプラットフォームの社会実装に力を注ぐ。東京大学大学院がi-Constructionシステム学寄付講座(主宰・小澤一雅特任教授)で進める建設産業全体の協調領域や標準システムの構築に協力。当面は施工管理や出来高管理、安全管理の合理化を図る。最終的には施工全般で必要なデータの利活用やアプリケーションの開発に横断して連携できる「データ・システム連携基盤」の開発、実用化を目指す。
 日建連は同寄付講座で3月に発足した協調領域検討会と連携。「協調領域ワーキンググループ(WG)」を設け、施工分野に特化したオープンデータプラットフォームの在り方を議論している。
 複数の企業連携によるシステムの共同制作やデータの共有によって開発効率を高める「個別技術の協調開発」も推進。同寄付講座の設立当初から開発してきた▽データ・システム連携基盤を介した躯体の出来形・品質管理に関するデータ連携(幹事会社=大林組)▽受発注者間DXに向けたブロックチェーン技術及び連携基盤の導入検証(清水建設)▽災害事例データの連携基盤構築に向けた課題検討(鹿島)-の3テーマで実用化を目指す。いずれも複数の企業が参加。日建連は体制整備の一環で3テーマ別に協調領域WG傘下のサブWGを設けた。
 大林組らは躯体の施工管理で扱うさまざまなデータを集約し、アプリで活用できるシステムを開発。アプリのデータを相互利用するために、出来形計測を一例にデータ授受のルールとなるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)素案の作成を目指す。業務フロー効率化や新しいアプリの開発促進につながることを期待している。
 清水建設らが開発したシステムは受注者が現場で収集する3Dモデルの出来形計測データを発注者の監督・検査に直接活用し、実地検査の省略などを図る。本年度に国の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)を活用し、試行用にシステムを開発する。さらに同社以外が施工する複数の現場でも試行を目指す。この中で協調領域に組み込むべきシステムの可否を協議し判断する。
 鹿島らは労働災害事例をAIで解析し、類似作業の災害事例を原因や状況、時系列別にグラフ表示するシステムを開発。建設業全体のデータ・システム連携基盤を構成する安全管理分野のアプリの一つとして位置付ける。
 日建連は、同寄付講座の第2期が終了する2024年9月末ごろまでに協調技術や一部の施工分野を対象としたデータ・システム連携基盤などの現場試行を行い、実用化に向けた取り組みを加速させる。将来的には国土交通省などの発注者との連携も視野に入れている。



source https://www.decn.co.jp/?p=147121

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