2022年10月26日水曜日

復興庁/東日本大震災から10年間の政策総括、23年度の取りまとめ公表めざす

 復興庁は、東日本大震災からの復興を目指して発災から「第1期復興・創生期間」が終了した2020年度末までの10年間に講じた政策を総括する。政府の組織や法制度、支援メニューといった取り組みについて、変遷や進行状況を整理。復旧・復興事業での建設技術者や技能者の確保、資材調達、予定価格の適切な設定に向けて整備した制度メニューも盛り込まれる見通しだ。
 有識者会合の初会合を24日に東京都内で開き、議論を開始した。年度内に取りまとめ案を固め、来年度の公表を目指す。
 検討組織として「東日本大震災からの復興政策10年間の振り返りに関する有識者会議」を設置。座長にはボストンコンサルティンググループ日本共同代表の秋池玲子氏が就任した。議論を深め、南海トラフ巨大地震など今後発生が予想される大規模災害に備え、東日本大震災から得た教訓とノウハウを提示する。
 有識者会議の冒頭、秋葉賢也復興相は「大規模災害への対応時に教訓として活用できるよう、このタイミングでしっかりと10年間を振り返り、一元的な記録として残すとともに、今後の課題を残すことはわれわれの責務だ」と語った。
 復興政策の振り返りでは、復興庁だけでなく各府省の取り組みを含め復旧と復興に関する施策を網羅的にまとめる。復旧・復興事業で講じられた過去に例を見ない施策の評価や課題を整理。記録として後世に残す。
 取りまとめの構成案によると、住宅再建・復興街づくりの加速に向けて、東日本大震災に対応するため新たに設けられた制度や取り組みも検証。▽計画策定▽用地取得の迅速化▽埋蔵文化財発掘調査▽地方自治体や都市再生機構などによる発注者支援▽施工体制の確保▽住宅再建の加速化-などを振り返る。
 会議では有識者から、復興街づくりについて「以前よりも良くしたいと考え、世論もそれを支えるため、事業規模が過大になってしまうケースがあった」との指摘があった。事前復興の観点で発災前に復興街づくりの方針を決めておく必要があるとした。
 復興庁によると、発災から20年度末までの10年間で住宅再建や復興街づくり事業が完了し、津波被害を受けた沿岸部では製造品出荷額が発災前の水準に回復した。避難者数もピークの47万人から4万人まで減少した。

秋葉賢也復興相


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