2020年10月22日木曜日

【トイレに間仕切り、段ボールで】複合災害に備え、紙製品への関心高まる

  非常時に備えて紙製の災害対策用品を提供する動きが活発化している。軽量で運搬と備蓄がしやすいのに加え、リサイクルが可能ながら可燃ごみとして処分もできるのが利点。避難所の間仕切りやトイレに利用してもらおうと、行政機関や労働者が多く働く工場、一般向けにアピールする団体や企業が多い。

 自然災害が激甚化する中でコロナ禍に見舞われ、自然災害と感染症の複合災害への対応が求められており、備えの行方が注目される。

 岐阜県各務原市の建設会社のインサイトワーク(中嶋真嗣代表取締役)は組み立てタイプの防災トイレ「FUKU・福」を開発した。3種類の強化段ボール製の底板、測板、ふた付き便座の三つのパーツを組み合わせることで1分かからずに完成させられる。重量は1・5キロ(組み立て時)。380ミリ×455ミリ×105ミリのサイズで備蓄できる。

 5回分の防臭袋がセットになっている。同社は内装工事やリフォームを行っている。空間デザインも手掛ける中で、災害の増加を踏まえ紙製のトイレを開発することにした。近く市のふるさと納税の返礼品になるという。

 建設事業の経験や技術を生かした製品開発に取り組んでいる東京都中央区のカワハラ技研(川原愉代表取締役)は、備蓄型の組み立て式個室トイレ「ほぼ紙トイレ」を製品化した。工具を使わず2人で20分ほどで組み立てられる。耐水紙を用いており、屋外に設置可能。すべての部材を焼却処分できる。中小企業の新規性のある商品やサービスの普及を促す東京都の2019年度トライアル発注認定制度の対象に選ばれている。

 両社は東京都江東区で21~23日に開かれる危機管理産業展に出展した。インサイトワークは初めて参加した。展示会には全国建設業協同組合連合会(全建協連)が参加し、群馬県建設業協会が開発した避難所用の段ボール製間仕切り「KAMIKABE(かみかべ)」をアピールした。全建協連は傘下の組合や自治内などにかみかべを提供している。展示ブースを訪れたある医療関係者は、すき間がないために冬季の避難生活の質の向上に役立つとの見方を示した。女性が多く働く工場の管理者が非常時の対策用品として高い関心を持ってくれたという。

 避難所の質とともにコロナ禍で衛生機能が課題になっている。避難所の管理者や製品開発の担当者は非常時の処分までを含めた紙製品の利便性に改めて関心を寄せており、複合災害に備える製品やサービスの投入が続きそうだ。

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