1930年に創業し、90年以上にわたって道路舗装の仕事に携わってきた前田道路。民間の小型工事に強みを持ち、工事部門は一般道路や高速道路、空港の整備やコンビニエンスストアの駐車場などといった身近にある舗装工事、製品部門はアスファルト合材の製造販売が主体となる。工事と製品の供給を自社で行うことでさまざまな工事に対応している。
同社が採用活動で求める人物像は「何事にも前向きに情報を吸収する力や、素直に相手の意見を聞き入れるコミュニケーション能力のある人材」。現場の施工管理は、工事で携わるさまざまな関係者に的確な指示ができる対話能力や経験が必要になる。人事部の採用担当者は「施工管理は常に同じ現場で働くわけではない。異なる現場でもコミュニケーションをとれる高い対話能力が必要だ。そのためには、若いころに先輩や上司からのアドバイスを素直に受け止められる人材が望ましい」と話す。
採用活動では多くの学生にエントリーしてもらうため、インターンシップ(就業体験)、企業説明会などで学生とのコミュニケーションの機会を積極的に設けている。今年は新型コロナウイルスの流行を受けウェブ説明会の実施などで、学生とのつながりを深めている。今後は中途も含めたリファラル採用の強化を予定しており、応募人数・採用人数の確保を目指す。
同社の人材育成制度で特徴的なのが、技術系新入社員を対象とした1年間の長期研修だ。同社は若手社員の離職の抑制や、現場配属後の新入社員の負担軽減などを目的に19年度から新入社員研修を長期化した。1年間の研修で現場に必要な知識や資格の取得などに取り組んでいる。
従来は1、2カ月程度の研修を経て現場に配属していた。しかし、現場での業務に必要な知識を十分に習得しないまま現場に配属されることで新入社員がキャパシティーオーバーに悩んだり、離職してしまったりすることが課題だった。手厚い研修で離職率が改善するなど、徐々に効果が出てきているという。
より良い人材に来てもらうため、福利厚生の充実に取り組んでいる点が同社のアピールポイント。同社は近年、若い社員の生活面での負担を軽減する各種制度の拡充にも取り組んでいる。同社が18年度に導入した奨学金返還支援制度は10年間の間に奨学金最大120万円を会社が支給する。「繰り上げ返済ができることで若手社員の安心材料となっている」(人事部担当者)という。
子育て世帯への支援も強化している。2019年度からは多子扶養手当を拡充した。従来の制度では第3子以降の子が18歳になるまで1人当たり月額2万5000円を支給していた。現在は第2子も月額1万円を手当として受け取れるようにしている。
就職活動中の学生に向けて採用担当者は「建設業界は人々が安心して生活をする上で欠かせない仕事で、これからより技術的発展が求められる業界。前田道路はものづくりの会社だが、その中でも人を育てることに力を注いでいる」と同社の魅力を強調する。「より多くの方との出会いを大切にしているので、前田道路への応募を待っている」(人事部担当者)。
〈新卒採用概要〉
【新卒採用者数】 男性67人(うち技術系53人)、女性4人(4人、2020年度実績)
【3年以内離職率】20・3%(17年度新卒)
【平均勤続年数】 男性16・6年、女性9・4年(19年3月末時点)
【平均年齢】 40・2歳(19年3月末時点)
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