2020年10月9日金曜日

【設計は後藤慶二、大正モダニズム建築の代表作】東京・中野区が旧中野刑務所正門の保存策検討

  東京・中野区は、建築家の後藤慶二(1883~1919年)が設計した「旧中野刑務所正門」の保存策を検討している。同正門は大正期のモダニズム建築を代表する作品として知られる。

 区は正門がある旧矯正管区用地を財務省から年度内に取得し、区立平和の森小学校の移転先として活用する考え。保存を求める声は強く、区は12月の区議会に方針案を報告し保存方法の考え方を明確にする方針だ。

 旧矯正管区用地の所在地は新井3の45の1。正門を含めた豊多摩監獄(後の中野刑務所)の設計を後藤慶二らが手掛けた。れんが造建築の中でも高水準の作品とされ、完成時の姿が良い状態で保存されている。

 区は正門の保存手法として、建物を解体せずに移築する曳家と現地保存の二つを検討。昨年に実施した学術調査では建物の真正性を確保するため「現地で保存されることが望ましい」との報告を受けている。一方区教育委員会は現地保存した場合、新校舎の建設用地が十分に確保できず、教育活動が難しくなると指摘。学校建設予定地以外で保存を望む考え方を示している。

 後藤慶二は明治~大正時代に活躍した建築家。構造と意匠の実験を進め、当時導入が始まった鉄筋コンクリート構造研究の先駆者として知られている。歴史的建築物と教育環境の整備をどう両立するのか。区は「文化財保護審議会や教育委員会、議会の意見をベースに、慎重に今後の方針を決めたい」としている。

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