来夏の東京五輪・パラリンピックで使用する競技会場の仮設オーバーレイ(観客席やプレハブ、テント、設備類など)の簡素化に伴う経費削減額が約150億円に達することが分かった。
仮設観客席の整備を取りやめてリース費用を削減したり、施設内部の改修を最低限にして工事費用や施設の賃借期間を抑制したりする。各会場で工事再開に向けた契約変更手続きを進めている。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は先月、国際オリンピック委員会(IOC)と52項目で大会運営を簡素化することで合意。7日のIOC理事会では暫定的な概算値として簡素化に伴う経費削減額をトータルで約300億円と報告した。大会延期や新型コロナウイルス対策にかかる追加費用も別途精査中。費用分担を含めた新たな予算を年内にも示す予定だ。
仮設オーバーレイの簡素化は競技に影響しない範囲で行う。例えばバレーボール会場の有明アリーナ(江東区)では大会後に設置予定だった恒設のロールバックチェアを先行整備し、仮設観客席のリース費用を削減。ウエートリフティング会場の東京国際フォーラム(千代田区)ではウオームアップエリアを縮小することで既存壁の撤去・復旧工事を省き、工事費を削減するとともに施設借り上げ期間を短縮する。
仮設オーバーレイの当初契約はマラソン会場の札幌大通公園を除く43会場で締結済み。当初契約額の合計は約1202億円(税込み)。今後、簡素化の内容に応じ契約を変更する。
大会運営簡素化の主な項目と、経費削減額の試算結果は次の通り。
▽各会場の仮設オーバーレイの仕様の見直しやサービスレベルの引き下げ=約150億円▽競技会場や選手村のルックの削減=約10億円▽聖火リレーの実施方法の簡素化=約8億円▽大会関係者の人数の調整=約10億円▽組織委スタッフの要員計画の最適化=約30億円。
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