建築家の安藤忠雄氏が神戸市の都市公園・東遊園地(中央区加納町)に整備し、市に寄贈する児童図書館「こども本の森 神戸」の建設工事が起工し、12日に同所で地鎮祭が開かれた。
子どもたちに読書で豊かな感性を養い次代を担ってほしいという思いから安藤氏が設計を手掛け、工事監理も行う。神事には安藤氏や神戸市関係者、施工を担当する竹中工務店など関係者が多数出席した。工期は2021年12月まで。22年春にオープンする予定。
建設場所は東遊園地の南側エリアで、規模はRC造2階建て延べ約600平方メートル(建築面積約600平方メートル)。外装はコンクリート打ち放し仕上げ、内部には木製壁面書架を計画する。蔵書数は約2万冊を予定し、広く寄贈を受け付ける。
図書の貸し出しはしないが、本を持って外に出て園内で自由に読めるようにする。東遊園地では市がPark-PFI(公募設置管理制度)で再整備を計画しており、にぎわい創出の相乗効果が期待される。
神事前に神戸市の久元喜造市長が報道取材に応じ、「安藤氏のご厚意に深く感謝申し上げる。阪神・淡路大震災の鎮魂モニュメントがある東遊園地で図書館が整備される意義は大きい。外で読書ができる、多くの人に開かれた公園として再生することを願っている」とコメントした。神事では安藤氏が鋤、竹中工務店の難波正人取締役兼執行役員副社長が鍬をそれぞれ入れ、工事の安全を祈願した。
神事後の会見で、安藤氏は「山と海に囲まれた美しい神戸の街で、子どもたちには幼少期にスマートフォンばかり触るのではなく、読書を通じて強く育ってほしい。三宮駅からやや離れた立地条件も、歩くことで子どもたちを強くする。震災の記憶・教訓を受け継ぎながら、20~30年後に図書館が東遊園地にあって良かったと思ってもらえれば幸いだ」と語った。
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