2020年11月5日木曜日

【回転窓】エーゲ海の教訓

 地中海の北東部にあたるエーゲ海。ギリシャ側のバルカン半島とトルコ側のアナトリア半島に囲まれ、大小約2500もの島々が浮かぶ多島海として知られる▼活発な火山活動により、噴火や地震、津波などの自然災害が頻発するエリアでもある。高度に発達した文明を持つ人々のおごりが神の怒りに触れ、地震と津波によって一昼夜で海中に沈んだとされるアトランティスの伝説も残る▼先月30日、エーゲ海を震源とするマグニチュード7・0の大きな地震が発生。津波による被害も出ている。特に甚大な被害に見舞われたトルコ西部イズミルでは、家屋倒壊や津波被害で少なくとも数千人が住む家を失ったという▼今回の地震で被災したトルコ、ギリシャの両国首脳は電話会談で互いに弔意を伝え合い、ツイッターの投稿で団結の姿勢を強調。東地中海の管轄権などを巡り険悪な関係にあった両国だが、災害対応での連携を優先させる▼どれだけ文明が発達しても、自然災害の脅威をなくすことは難しい。「自助・共助・公助」による災害に強い国づくりは各国共通の課題。慢心せず、世界が団結して脅威に立ち向かってほしい。

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