2020年11月11日水曜日

【回転窓】コロナ下でのアイデア

 「拾えるものは根こそぎ拾ってやれ」。横山秀夫の小説『臨場』に登場する検視官である主人公の口癖だ。テレビドラマになったのでご存じの方も多かろう▼臨場はその場所に臨むとの意だが、警察組織では事件現場で初動捜査に当たることを指す。余り聞き慣れない言葉だが建設業界でも最近よく耳にする▼「遠隔臨場」。ウエアラブルカメラなどによる映像と音声の双方向通信を使用して、事件現場ではなく建設現場で段階確認や材料確認、立ち会いを行うことと、国土交通省の試行要領に書かれていた。コロナ下での「密」を防ぎ、受発注者双方で業務の効率化を狙ったものだ▼コロナ禍がもたらした新たな働き方はさまざまなアイデアを生んでいる。岡山市北区に本社を置くまつもとコーポレーションは「ムービングオフィス」を3台導入した。現場事務所の代わりになる改造車で、車内には机や電源、空調設備などが整備されている▼同社の溝渕善彦氏によると「現場職員が本支店に戻って事務作業する手間が省ける」という。現場で働く人たちの負担が少しでも緩和されるアイデアが次々と出てくることを期待したい。

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