2021年2月8日月曜日

【駆け出しのころ】高砂熱学工業常務執行役員東京本店長・土谷科長氏

  ◇積極的に挑戦しやり切る◇

 就職先を考えた時にメーカーなどで働くよりも、さまざまな現場で異なる仕事に携われる建設業が自分には向いているかなと感じました。

 縁あって高砂熱学工業に入社し研修後、5月の大型連休明けに東京・渋谷にあった公共施設の建設現場に配属されました。現場は設備工事が始まる前だったため、7月ごろまでは会社で図面関係の業務に従事。作業に本格着手する前に、先輩から「現場に行ってスリーブ(さや管)を入れてこい」と指示され、一人で現場に向かいました。現場の職人に聞けば大丈夫ということでしたが、その職人も新人だったため、互いに戸惑いながら作業したのを覚えています。

 1年目は何かを教わったというよりも、とにかく目の前の仕事に無我夢中で取り組みました。設備工事を監督する立場なので、年上の職人にも「ちゃんと作業するように」と指示を出したら、「若造が生意気に何言っているんだ」とよくどやされました。

 若手時代の思い出深い建設現場は、入社5年目に携わった東京駅に近い事務所ビル。着工後、オーナーの要望で当初の設計から施設用途などが大幅に見直されました。初めての所長で社員は自分一人。建物の設計を担当した会社は意匠系だったため、設計変更に伴う設備関係の設計と見積もりもすべて、一人でこなしました。

 仕様などを決める会議や打ち合わせは当時、午後10時に始まって夜中すぎまでかかることがしばしば。現場事務所に泊まり込むこともあり、一人現場で休めないことから体調管理には特に気を付けていました。

 必死に作業を進めてきたのですが、建物の竣工が間近に迫った時期に設備工事で大きな漏水が発生。普通なら竣工に間に合わないところを、建築担当のゼネコンなど現場関係者らの支援のおかげで、なんとか工期通りに作業を終えることができました。それまで一生懸命に取り組んできた姿を周りが評価し、支えてくれたのだと感じています。

 設備工事では複数の機材や機器などを自分なりに組み合わせ、いろいろなやり方を提案することが可能です。30代前半に担当したホテルの建設現場では作業工程を短縮するため、機材を地組みしてからつり上げる工法を検討し、メーカーやゼネコンの協力を得て採用してもらいました。

 下調べをして、自分で現場作業のストーリーを組み立てる。個の発想で現場を変えられ、答えが一つでないことが設備工事の面白み。若手社員には目の前の仕事が自分の思ったようにいかなくても、諦めずに試行錯誤しながらやり切ってほしいです。

入社13年目、現場担当者らとの懇親ゴルフで
(前列右から2人目が本人)

 (つちや・のりなが)1983年北見工業大学工学部応用機械工学科卒、高砂熱学工業入社。執行役員東京本店副本店長、同横浜支店長を経て2020年4月から現職。北海道出身、59歳。

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