2021年2月25日木曜日

【回転窓】賃上げへの覚悟

  多くの企業で新しい事業年度が始まる4月に向け、労働組合が賃金引き上げなどの労働条件で経営者側と団体交渉を行う春闘。例年2月までに労組が要求内容を示し、企業からの回答が3月に出そろう▼全国中央組織の労働団体や産業別組織の指導・調整の下、労使交渉が進む現在の春闘方式は、1950年代に始まったとされる。戦後の復興から高度成長、バブルといった景気動向、社会環境の変化が、団体交渉にも影響を及ぼす▼コロナ下で迎えた2021年の春闘交渉は、従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)で要求段階から見送りや前年割れの労組が目立つ。業績悪化や先行きの不透明感が強まり、賃上げムードは低調のようだ▼国土交通省が先週公表した公共事業の積算に使う新たな公共工事設計労務単価で、前年度を下回った単価を据え置く特別措置を講じた。コロナ禍の影響などを単価下落の要因とし、特別措置を通じて技能者の賃上げを後押しする▼価格競争の激化が懸念される建設市場。担い手確保に欠かせない技能者の処遇改善の流れを反転させぬよう、業界全体の覚悟が一段と問われている。

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