東日本大震災から10年を迎えようとしている。発災当時、電話による安否確認が増えたため固定電話や携帯電話の発着信に規制が掛かり、家族や会社となかなか連絡が取れなかった。あの時の不安は今も鮮明に覚えている▼災害時でも「公衆電話」は通信規制や停電の影響を受けないと後日、友人に教えてもらった。通信規制の対象外として優先的に扱われる「災害時優先電話」で、停電時もNTTの通信ビルから電力が供給されるため硬貨があれば利用できる▼災害時優先電話は全国一律の設置基準に基づき約11万台が街中にあり、企業などが独自に設置する約4万台を含め計15万台が置かれている。だが携帯電話の普及に伴い、この20年間で利用回数は50分の1になったという▼利用が落ち込んでいる公衆電話。総務省が台数削減の検討に入ったと聞いた。街中の台数を減らす一方で、災害時の避難所に重点的に配備し効率運用ができるようにするそうだ▼公衆電話を使ったことのない世代も増えている。いま一度その使い方や身近に設置されている場所を確認し、いつ起こるか分からない災害に備えることが大切なのではないか。
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