静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川流域で発生した大規模な土石流災害から3日で1カ月を迎える。地域建設業の懸命な作業で土砂やがれきの撤去が進み、市は一部区域で立ち入り禁止を解除した。
国の応急工事も進んでいる。ただ住宅の被害が多発し被災者の生活再建は見通しが立たない。地元の建設業団体は公共土木施設の応急対策などに限られる災害協定の範囲を見直し、個人の暮らしを再建する貢献でも新しい支援の在り方が必要と訴えている。
被災地では国土交通省が県の要請を受け、直轄で逢初川水系の緊急砂防工事に取り組んでいる。24時間態勢で地盤の動きを監視しながら二次災害の防止を徹底しつつ、既設堰堤や土石流発生起点(源頭部)の土砂撤去、仮設ブロック堰堤の設置、砂防堰堤の新設などを計画する。
県は復旧・復興に向けた推進体制として「逢初川下流域復旧・復興チーム」を発足。河川工事や港に流入した土砂の撤去などを急ぐため、今月から本格的な調査などに着手する。伊豆山地区にある県営七尾団地の駐車場を使い、2年後をめどに災害公営住宅の完成を目指す。
土石流災害で全壊や半壊といった被害が集中したのが住宅。静岡県建設業協会(静岡建協、石井源一会長)傘下の三島建設業協会(三島建協、小野徹会長)によると、地元市町と結ぶ災害協定は地域建設業の活動範囲が公共土木施設の応急工事などに限られる。地域建設会社が住宅で発生した災害ごみの排除や搬出などを行うのは制度面で難しい。
静岡建協で環境・災害対策委員長を務める三島建協の土屋龍太郎副会長(土屋建設社長)は「市町の災害対応は国や県と異なり住民との関係が深い」と指摘。新たな役割として「災害協定に市民の暮らしに関する事項を加えてほしい」と訴える。当面は県の市長会に呼び掛けていく。
国交省の防災担当者によると、災害協定の内容は裁量権が比較的大きい。各地で自然災害の発生頻度が増す状況で、地域の守り手として建設業に求められ、果たすべき役割をもう一度考える必要がありそうだ。
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