2021年8月18日水曜日

【回転窓】治山治水対策の必要性

  日本で初めて治山治水を説いた法令は「諸国山川掟(さんせんおきて)」と言われる。江戸幕府が洪水対策の一環として1666年に発した▼法令と言っても条文は三つだけで内容も簡明だ。森林の乱開発で土砂流出による災害が頻発していたため、草木の根株採掘を禁じ、河川上流の木立がない場所で苗木の植栽を推奨し、土砂災害に遭いやすい場所で新田開発の禁止などを定めた▼同じ頃、岡山藩の儒学者、熊澤蕃山も著書『大学或問(わくもん)』で山林と河川の整備を一体的に進めるよう説いている。蕃山は「近年山荒れ川浅くなって国土が荒廃しているのは不用意な開発の結果」として新田開発を禁じ、治水治山の具体策を記している▼先週末から日本列島に前線が停滞し、各地で洪水被害や土砂災害が発生している。長雨や突然の豪雨で眠れない日々を過ごされている方も多かろう▼8月の平均降雨量に対して4~5倍の雨が短期間に降る。地球温暖化に伴う気候変動としか思えない。これに対応するには、従来の治水対策だけでは難しい。治山治水対策への思い切った予算措置と迅速な対応を政府にお願いしたい。

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