2021年8月30日月曜日

【大戸川ダム事業再開へ】国交省が概算要求に関連費計上、22年度本体設計着手へ

大戸川ダムの建設予定地
(国交省近畿地方整備局提供)

  国土交通省は凍結されていた大戸川ダム(大津市)の建設事業を再開する。26日に公表した2022年度予算の概算要求に、関連経費17億53百万円を計上した。地質や環境を調査した上で、ダム本体などの設計に着手する。国交省は調査・設計で4年、工事に8年程度かかると見積もっている。20年代後半に工事が本格化する見込み。事業費は約1080億円と試算している。

 建設予定地を通る県道16号大津信楽線の付け替えや家屋移転は、事業の凍結前に完了している。22年度以降、堤体や仮排水トンネルといったダム関連施設、林道の付け替え道路の設計などを実施する。工期の見通しは民主党政権時に実施したダム事業の検証過程で試算していた。

 国交省は08年、淀川水系の河川整備計画改定で関係府県に意見を照会した。大戸川ダムは「一定の治水効果は認めるが、優先順位の問題から計画に位置付ける必要はない」との共通認識が示され、着手を見送っていた。

 水害の被害が拡大しているここ数年の状況を受け、再度ダム建設を盛り込んだ変更案を作成して4月に関係府県へ照会。合意が得られたため6日に計画を改定した。新計画はダムが環境に与える影響を最大限回避するため、必要な調査を実施した上で本体工事に移ると規定した。

 大戸川ダムは洪水調節を目的とした重力式コンクリートダム。堤高67・5メートル、総貯水量2210万1000立方メートルを計画し、洪水調節量は約2190万立方メートルを見込む。

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