2021年8月20日金曜日

【施工は鹿島JV、今秋に33基設置完了】秋田沖洋上風力、モノパイルの据え付け着々

プロジェクトでは風車を支えるモノパイルを33基施工する(秋田洋上風力発電提供)

  丸紅らが設立した秋田洋上風力発電(秋田市、岡垣啓司社長)が秋田県の秋田、能代両市沖で計画する着床式洋上風力発電施設で、基礎の据え付けが順調に進展している。EPCI(設計・調達・施工・据え付け)方式により、風車の基礎などを鹿島・住友電気工業JVが担当。SEP(自己昇降式作業台)船を用いた大口径鋼管杭「モノパイル」の打設などを4月に開始。計画する33基のうち8割強(7月末時点)を施工済みで、今秋に完了予定だ。

 「秋田港・能代港洋上風力発電施設建設工事」として、秋田港と能代港の港湾区域内に、ブレード直径117メートルの風車を合計33基新設する。総出力は138・6メガワット。風車を含めた全体完成は2022年12月を予定する。

 基礎工事のうち、鹿島がモノパイルや接続部材「トランジッションピース」の据え付け、海底部の洗掘防止工を、住友電気工業が海底ケーブルを手掛ける。

 施工に当たって鹿島は、英シージャックスの日本法人が保有するSEP船「ザラタン号」を日本船籍に変更して利用。800トンつり級のクレーンを搭載しており、シージャックスが持つ洋上風力の施工ノウハウと、鹿島の国内での洋上施工経験を融合させながら、1本当たり360~880トンという重量の巨大モノパイルを据え付けている。特に注意するのが杭の精度だ。鹿島の宮本久士土木管理本部再生エネルギー部長は「安全に事故無く、できるだけ確実に早く進めることを意識している」と話す。

発電施設の整備を支えるため、埠頭に資機材の保管拠点を設けている
(秋田洋上風力発電提供)

 モノパイル打設後に、キャップをかぶせるようにトランジッションピースを設置し、高強度のグラウトで充填する。洗掘防止として、石材を網に入れた構造物「フィルターユニット」などを設置する。

 打設は昼間に行うが、作業船のコストが高いため、準備など可能な範囲で夜間作業し、24時間体制で現場を動かしている。「苦労はあるが、今後に向けたかけがえのない経験になる。最後の1本が終わるまで慎重にいく」(宮本部長)という。

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