2015年8月18日火曜日

【弘前城、動く】明治以来の石垣大修復で天守が引っ越し

工事に備え石垣に足場が組まれた天守。
2カ月がかりで仮天守台まで移動させる
国の重要文化財に指定されている青森県弘前市の弘前城で、石垣修復のために天守を移動させる曳家工事が始まった。16日に葛西憲之市長らが出席し、天守を地面から切り離す「地切り式」が行われた。重量400トンの天守は、途中で2度方向転換しながら、2カ月余りをかけて80メートル離れた仮設の天守台へ引っ越す。16年4月には移設先で内部を公開。元の位置に戻す再曳家は、2021年度の実施を予定している。

 弘前城の石垣修復は、14年度から10年がかりの計画。これまでの調査で石垣が外側に膨らみ、このまま放置すると地震などの衝撃で崩壊する危険があることが分かり、同市は明治以来100年ぶりとなる大規模工事の実施を決めた。

 石垣修復に必要な天守の仮移設は、「重要文化財弘前城天守曳屋工事」として、地元の西村組(弘前市、西村昭紘社長)が施工する。天守は9月4日までに22メートル動かした後、同15、16日の2日間で反時計回りに30度方向転換。同20~27日に30メートル移動させ、今度は時計回りに方向転換した後、24メートル動かして10月末までに仮天守台への引っ越しを終える。

曳家工事の経路。2度の方向転換で80メートル動かしていく
工事を指揮する同社の對馬悟常務は地引き式の後、「無事に天守と地面を切り離すことができた。第1段階はクリアしたが、今回の曳家は降ろす方が難しい」とコメント。細心の注意を払って工事を進める姿勢を示した。

 市は、石垣の大修復に合わせてさまざまなイベントを計画している。9月20~27日には「弘前城曳屋ウィーク」を開催。事前登録すれば天守を実際に引っ張ることができるという。展望デッキで曳家の様子や石垣修復の様子を間近で見ることも可能。葛西市長は「下乗橋から眺める天守の景観はしばらくお預けだが、今回の工事をイベントとして盛り上げ、弘前の魅力を積極的に発信したい」と話している。修復工事の情報は特設サイトまで。

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