2015年8月7日金曜日

【古き良き時代の美に浸る】東京都庭園美術館、9月23日までアール・デコの邸宅美術館展

アール・デコの粋が集められた旧朝香宮邸の大客室
 東京都庭園美術館は、7月に国の重要文化財に指定された「旧朝香宮邸」(東京都庭園美術館本館)の建物に焦点を当てた「アール・デコの邸宅美術館 建築をみる2015+ART DECO COLLECTORS」展を開催している。本館では、内装と一体的にデザインされたオリジナルの家具や調度品を展示し、竣工当時の邸宅の様子を再現。新館ではアール・デコ作品収集家のコレクションを紹介する。戸田建設が協賛している。
 旧朝香宮邸は、1933年に皇族の朝香宮鳩彦王・允子夫妻の邸宅として建設された。設計は宮内省内匠寮工務課が担当し、主要な部屋の内装設計をフランス人芸術家のアンリ・ラパンが手掛けた。施工は戸田組(現戸田建設)が担当。当時流行していたアール・デコ様式を余すことなく表現し、日仏の建築家・芸術家のコラボレーションの結晶とたたえられている。同邸は、竣工から50年後の1983年に庭園美術館本館としてオープンした。

旧朝香宮邸のシンボル「香水塔」
 今回の展示では、本館の各部屋に同美術館所蔵のオリジナルの家具などを配置し、邸宅建築としての旧朝香宮邸本来の姿を再現する。来場者に当時の暮らしぶりを想像させる仕掛けの一つとして、1階の大食堂には、大きなダイニングテーブルの上に皿やナイフ、フォークなどの華やかなテーブルウエアを装飾した。
 このほか、ラパンがデザインした同館のシンボル「香水塔」の構造や製法などを、3次元データを基にした映像などで解説する。

ラリックが手掛けた正面玄関のガラスレリーフ
 新館では、アール・デコに魅了された日本国内の個人コレクターの伊勢彦信氏、大村清一郎氏、松本ルキ氏が所有するポスターやガラス、銀器や彫刻、家具などのコレクションを紹介。ガラス工芸で有名なルネ・ラリックの作品も数多く展示する。
 会期は9月23日まで。入場料は一般が800円、大学生(専修・各種専門学校を含む)が640円、中・高生と65歳以上が400円。開館時間は午前10時~午後6時(金曜日のみ午後9時まで)。平日は本館内の写真撮影が可能。休館日は第2、第4水曜日。

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