南アルプストンネルの施工位置図 |
同社の柘植康英社長は27日の定例記者会見で「今回の契約締結は中央新幹線の本格工事に着手する第1弾として、新たな一歩を踏み出すものだ」と述べ、リニア新幹線の建設区間の中でも最大の難所と見られる南アルプストンネルの着工への意気込みを語った。
契約額や参加者数などの選定経緯については、施工者を選定中の「南アルプストンネル新設(長野工区)」など今後の工事契約に影響を及ぼすため、非公表にすると説明した。
山梨工区の工事場所は山梨県早川町。山梨・静岡・長野県にまたがる標高3000メートル級の山岳地帯に構築する南アルプストンネル(延長約25キロ)のうち、東側の一部区間(同約7・7キロ)の工事となる。山梨工区には最大土かぶりが1000メートル以上の区間が含まれ、高度な施工技術が求められる。工事内容はNATMによる本線トンネル(幅約13メートル)、その他先進坑、非常口など。工期は2025年10月31日まで。
非常口を掘削して本線トンネルを掘り進める。事業説明会資料によると、早川町内には3カ所(新倉地区)の非常口を設置する計画。非常口周辺に工事ヤードを設け、コンクリートプラントや資材置き場、濁水処理設備、受変電設備などを整備する。リニア新幹線品川~名古屋間(路線延長285・6キロ)では、総工費5・5兆円を投じ、27年の開業を目指す。昨年12月に品川と名古屋の両ターミナル駅の準備工事に着手。品川地区では既設駅舎の直下に開削工法でターミナル駅を構築する工事の施工者の選定作業(指名見積もり方式)を現在進めており、15年度内に着工する予定。
このほか公募型見積もり競争により、南アルプストンネルの長野工区のほか、「中央新幹線名城非常口新設」の施工者の選定手続きを進めている。南アルプストンネルで残る静岡区間(トンネル延長約8・9キロ)については、現在検討中の大井川流域の水環境保全対策(導水路トンネル)の具体化などを踏まえ、発注手続きに入る方針。工区の設定に当たり、本線トンネルと導水路トンネルを一括または分割して発注するかは未定。今秋にも開く有識者委員会の会合で導水路トンネルの詳細ルートが明示される見通しだ。
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