世界経済フォーラムが発表した各国の男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2014」で142カ国中24位のオーストラリア。104位の日本に比べると女性の社会進出は進んでいると言えるが、建設コンサルタント業界の取り組みは道半ばのようだ。7月に日本コンサルティング・エンジニア協会(AJCE、内村好会長)が主催したセミナーで講演するため来日したオーストラリア協会(Consult Australia=CA)事務局長のメーガン・モットー氏は、「女性が活躍できないのは社会にとって大きな損失だ」と訴える。
CAは11年、会員企業の女性社員に関する調査を開始した。調査は隔年で行われ、各社が女性登用を進めるための課題を特定し、提言をまとめることが目的だ。集められたデータの対象となる従業員は11年が1万5000人、13年には1万9500人に増えるなど業界を網羅。課題を浮き彫りにする貴重なデータが得られたという。
13年に行われた最新の調査結果によると、業界で働く女性の割合は28・7%。これは全就業者の女性比率45・8%を大きく下回る。役員を含む管理職の女性比率は12・9%だった。全産業では女性管理職の割合が36・1%と世界の主要国でトップレベルにあることを考えると、「建設コンサルタント業界の取り組みには物足りないものがある」とモットー氏は話す。
調査では管理職をさらに細かく分析した。プロジェクトや地域のマネジャーといった第1段階の管理職では16・7%が女性で、11年の13・0%より拡大。ところが、よりシニアレベルに進むほど女性の割合が低くなる傾向が見られ、最高経営責任者(CEO)などを含むエグゼクティブ層では11年よりも約4ポイント後退してわずか2・2%という結果だった。
報告書は、11~13年の間に女性管理職の総数は増えているものの、女性がさらに上位職へ昇進できる道筋は未発達だと分析した。一方、取締役の女性比率が13年は11年より4・5ポイント増えて15・5%と明るい数字も見られ、女性取締役への社会的な期待に企業が応えた結果と考えられるとしている。
技術系社員に占める女性の割合を見ると、13年は24・3%。ほとんどの職位で11年から13年に女性比率の増加が見られた。入社2~3年の若手技術者は既に3割超が女性。経験豊富な最上位の技術職では、14・3%が女性だった。
CAは、技術者の男女比率に加え、給与格差も重要な問題だと考えている。調査によると、年齢や勤続年数、熟練レベルが同程度の男女の間でも給与に6~7%の差があった。報告書は、考えられる要因の一つとして、フィーが比較的安いとされる環境などの分野に女性技術者が多いことを挙げた上で、企業に対し同一労働同一賃金の徹底を促している。
「男性中心の経営文化に変化が必要」と話すモットー氏 |
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