古い砕石をかき出す
◇線路をより良い状態に/砕石5135立米入れ替え進む
東日本大震災と福島第1原発事故の影響で運休が続いているJR常磐線の一部区間のうち、福島県南相馬市の小高駅~磐城太田駅間の復旧工事が本格化している。施工は東鉄工業が担当。道床のバラスト(砕石)を交換する除染作業が進行中で、レールの調整や枕木の交換なども実施。来春の運転再開に向け、同社水戸支店原ノ町軌道工事所の桑名隆行所長は「線路をより良い状態に仕上げる」と力を込める。工事は、JR東日本水戸支社が発注した「いわき保線技術センター管内災害復旧(太平洋地震)その2工事(甲)」。現場は原発事故の避難指示解除準備区域に指定されている南相馬市内にあり、日中の作業が原則となっている。工期は5月7日から16年3月14日まで。
工事対象となる軌道(単線)は延長3893メートル。このうちトンネルと橋梁を除く3668メートルの道床を撤去・復旧するとともに、約200本のPC枕木の交換、延べ935メートルのレールの交換、4カ所の踏切修繕などを行う。
除染作業に位置付けられている道床撤去・復旧では、約5135立方メートルの砕石を入れ替える。古い砕石を軌陸バックホウでかき出し、軌陸ダンプに積み込んで運搬。新しい砕石を積んだ軌陸ダンプから降ろされた砕石を、4頭タイタンパー(四つの爪のある保線機械)を装備した軌陸バックホウで突き固めていく。
四つの爪で新しい砕石を突き固める
1日の作業量は約20人体制で約30メートル。小高駅から磐城太田駅に向かって作業が進んでおり、道床撤去・復旧の進ちょく率は12日時点で50%に達しているという。
営業している線路では、レールの伸びやゆがみを避けるため、夏季には道床の撤去・復旧作業を行わないのが基本だ。桑名所長は「この現場は災害復旧という使命がある。仕上げの工程でレールをしっかりと調整する」と強調。さらに「今年の夏は暑い。日よけテントの設置や定期的な水分補給など熱中症対策を徹底し、作業に当たっている」と話す。
桑名所長(右)と山田副所長
これから信号機や架線の復旧工事も本格化してくる。単線の中で複数の工事が同時進行するため、施工業者間で綿密な調整が重要になる。桑名所長は「より安全な施工に注意を払い、最後まで無事故・無災害を続ける」と意気込みを語る。山田学副所長は「公共交通機関の復旧に対する住民の期待は非常に高い。早期の運転再開に向け、無事故・無災害で仕事を全うしたい」と気を引き締める。
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