現場上空に送電線が横断する難工事となった |
◇供用線近接、上空には送電線◇
名古屋港全体のコンテナ貨物の約3分の1を取り扱う鍋田ふ頭コンテナターミナル(愛知県弥富市)。ふ頭に接続する道路の利便性向上を目的に名古屋港管理組合が進める「鍋田ふ頭進入道路3号橋上部築造工事(その2)」が佳境を迎えている。現場が供用中の道路橋に近接しているのに加え、橋梁上部に送電線が横断する難工事だが、施工をメーンで担当するIHIインフラシステム(IIS、堺市堺区、井上明社長)は、一つの橋に2種類の架設工法を採用することで乗り切った。
工事では、鍋田ふ頭(起点)から県道名古屋西港線(終点)までを結ぶ延長2・3キロの鍋田ふ頭進入道路のうち、起点から3番目の鋼橋を築造。現在の1方向1車線を2車線に拡幅する。橋長は184メートルで、総幅員は12・4メートル。形式は鋼2径間連続鋼床版箱桁橋。施工はIIS・瀧上工業・加藤建設JVが担当している。工期は13年11月12日~15年12月25日。
現場は、既に供用中の道路橋に近接して架設するのに加え、橋梁上部を周辺のごみ焼却施設(八穂クリーンセンター)向けに7・7万ボルトの送電線が横断しており、一般的な工法では安全面への配慮から交通規制が必至だった。そこでIISは、交通規制を回避するために送電線の位置を境に橋梁を2分割し、それぞれ別の工法で架設を行った。
細心の注意を払って鋼桁の架設を行っている |
先行架設する終点側から約3分の2(長さ120メートル、重量830トン)に当たる部分には、「旋回横取り工法」と呼ばれる工法を採用した。送電線を回避した位置に設けた作業ヤードで橋梁を地組みし、ボルトの締め付けや溶接などを行った後、終点側を回転軸として回転角度15度で旋回。23・5メートルを移動した。
地組みする際は、作業ヤードを広く確保することができなかったため、組み立てた桁の上に架設用の150トンづりクローラクレーンを載せ、架設と前進を繰り返した。
残りの3分の1(長さ64メートル、重量480トン)で採用したのは、「縦送り横取り工法」。送電線から離れた作業ヤードで組んだ橋梁を、縦方向に23・5メートル送り出した後に、13・5メートル横方向に移動させ、先行架設した桁と接続して所定位置に据え付けた。
現場で作業を指揮する入江賢所長は「発注者は当初、交通規制も視野に入れていたようだが、当社の提案が評価され、交通を妨げることなく施工できた」と話す。一つの現場で2種類の工法を採用する難しい工事となったが、「細心の注意を払って施工に臨んだ」。
進ちょく率は94%(7月22日時点)。工事の山場は乗り切ったが、「無事故無災害で工事を完成させたい」(入江所長)とあらためて気を引き締めている。
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