チームひまわりメンバーの(左から)杉山さん、緒方さん、宮川さん、伊沢さん、鈴木さん
◇女性活躍現場や製品情報特集
建設業で女性が輝ける環境づくりをサポートしようと、建設物価調査会(土渕昭男理事長)の女性職員でつくる「チームひまわり」が発足した。メンバーは8人。それぞれ別の部署から垣根を越えて参加。月刊誌の総合物価版「建設物価」で毎回特集号を組み、女性が活躍する現場や行政の関連施策、現場の女性向けの商品や価格情報などを紹介する。チーム名には、太陽に向かうひまわりの花のように女性が活躍できる明るい建設業にとの願いを込めたという。(編集部・岩本英司)
チームひまわりの最初の活動になったのは、女性が活躍する現場のアピール。日本建設業連合会(日建連)が登録・紹介する女性技術者・技能者のチーム「なでしこ工事チーム」の第1号が活躍する「東京外環自動車道田尻工事」(千葉県市川市、施工=大成建設・戸田建設・大豊建設JV)の現場を取材し、「建設物価」8月号にその様子をリポートした。
取材に当たった緒方友美さん(建築調査部建築調査二課)は、「トイレがきれいだったり、イルミネーションを設置してイメージアップを図ったりと、女性の皆さんがいろいろ協力して明るい現場作りを行っていたのが印象的だった」と振り返る。
特集記事のページは、ピンク色を基調にし、丸めの文字を採用するなど工夫を凝らした。「『建設物価』は、雑誌の性格上、どうしても固いイメージがある。チームひまわりの企画は、一人でも多くの方に読んでいただけるよう視覚的にも目に入りやすくなるよう心掛けた」と語るのは、企画記事の編集作業に当たった伊沢佳織さん(事業普及部編集課主任)だ。
緒方さんと共に外環道田尻工事の現場取材に行った杉山奏澄さん(土木調査部土木調査一課)は、「自分と歳が変わらない入社2~6年の女性たちが頑張って働いているのを見て、良い刺激になった」と話す。現場の女性たちの仕事ぶりを紙面で紹介しながら、それを自身の業務にも役立てていきたいと考えている。
最新の9月号では、国土交通省の担当者に寄稿してもらい、昨年8月に同省が業界団体と共同で策定した「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」や、女性技術者の登用を促すモデル工事、トイレをはじめとする現場環境改善に向けた取り組みなどを紹介している。
「建設物価」は、建設工事で使われるさまざまな資機材の価格情報を提供する媒体で、業界内で広く活用されている。この特色を生かし、現場で働く女性向けの商品やその価格情報も今後、順次紹介していきたいという。
鈴木理香子さん(コスト調査部コスト調査三課課長代理)は、現場を取材し、ゼネコンとメーカーが話をしながら女性が使いやすい工具の開発に取り組んでいたのを目の当たりにした。例えば、「夏場は、ヘルメットのひもで日焼けの跡が目立ってしまう。これをふせぐため、ひもを透明にすることなどの工夫を凝らした事例がある」。これから、現場で働く女性の悩みを解消する商品の開発事例を数多く紹介していきたいと意欲を見せる。
建設現場ではこれまで女性用の作業着が少なく、男性用のSサイズを着用する女性も少なくなかったとされる。
見た目には分からなくても、女性と男性とでは体形が違うため、着心地が気になって仕事に集中できないという悩みもあったという。
工具一つとっても、男性の体力を前提にした重量だと女性が持ち運ぶのが難しい場合もある。こうした課題を一つ一つ解決していくことが、女性も男性も働きやすい現場環境につながっていく。
チームひまわりでは、現場で女性が働くために考案されたさまざまな製品を女性の視点から紹介しながら活用を促していく方針だ。製品のメーカーに、紹介記事を新たな製品開発の参考にしてもらうなど相乗効果にも期待を寄せる。
建設業での女性の活躍を推進するため、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」に加え、日建連は女性技術者・技能者の愛称「けんせつ小町」を考案。その名を冠した現場環境マニュアルの作成や、女性が活躍する現場の見学会を催すなど、官民を挙げて取り組みが活発化している。
こうした活動を調査会としてもサポートしようと、女性職員による建設業の女性のための取り組みとして始めたのがチームひまわりだ。
リーダー役の宮川結城さん(事業普及部出版企画課主任)は、「これまで他の部署の人たちと仕事をすることはほとんどなかった。チームひまわりという横のラインを持てたことで、気軽に情報交換ができるようになった」ことも大きな成果と捉えている。
メンバーは現在、総合職の8人だが、全国にいる女性職員を順次募り、業界のイメージアップにつなげる取り組みをさらに推進していきたいという。
建設物価調査会「チームひまわり」建設業での女性活躍を支援するプロジェクト
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