担当大臣が受け取りを拒否したところで報告書の内容が消えてなくなるものでもないが、夫婦の老後資金に「2000万円が必要」と試算した金融庁の金融審議会市場ワーキンググループの報告書がさまざまな波紋を広げている▼この老後資金問題。2000万円という数字が独り歩きしている感が否めない。人生100年時代とは言うが、試算で挙げた95歳まで皆が生きるわけではない(2017年の日本人男性の平均寿命は81・09歳)▼さらに、毎月の平均収入と平均支出の差を「不足額」としているが、お金持ちが毎月たくさん支出すれば単純計算での平均値は上昇するので、試算自体が無意味との指摘もある▼審議会の報告書は長期での積み立てや分散型の投資など高齢者にマネープランの見直しを求めることが狙いだったようだ。しかし社会保障政策を巡る議論に発展し、炎上状態となった▼毎月50万円もらえるが生きがいのない生活と、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方ない生活のどっちがいいかという電車の中づり広告の文面が不評を招き、こちらも炎上した。そもそも「豊かな生活」とは、どんな生活か?
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